去年の観光庁の免税制度拡充の発表により、飲料業界は魅力的なインバウンド市場へと変わっています。また、それに伴いアサヒやサントリーなど大手飲料メーカーは訪日外国人観光客の集客に向けて様々な取り組みを行っています。

では、大手飲料メーカーこれまでにどのようなインバウンド対策を行ってきたのでしょうか?

 

成長が見込まれる飲料業界におけるインバウンド市場 免税制度拡充も追い風に

2014年10月1日に観光庁の発表により消費税免税制度が拡充され、免税に適用される対象物が広がり、新たに食品類、飲料類、薬品類、化粧品類などを含む消耗品も免税の対象になりました。

翌年2015年5月1日には、同じく観光庁の発表により免税対象金額が引き下げられ、これにより以前であれば免税対象になる金額が10,000円超であったものが5,000円まで引き下がりました。

この免税緩和の影響もあり、訪日外国人観光客の飲料類の購入額も伸びています。日本政策投資銀行のデータによれば、訪日外国人観光客の飲料類に対する支出が増えています。飲料類はこれから成長が見込めるであろうインバウンド市場であるということが言えるでしょう。

そのような状況下にある飲料業界。大手飲料メーカーこれまでにどのようなインバウンド対策に取り組んできたのでしょうか。企業別にご紹介します。

 

アサヒグループの試み:「対話型自動販売機」の実験、インバウンド対策用ヒントブックの作成など

2015年12月21日のアサヒグループホールディングス株式会社によるニュースリリースによると同社・アサヒ飲料株式会社では株式会社野村総合研究所と共同で「対話型自動販売機」の実証実験を開始しました。(実証実験は2016年2月15日で一旦終了)

2016年1月6日から2016年2月までの期間、訪日外国人観光客が多く訪れる東京・浅草の雷門近くに「対話型自動販売機」を1台設置しました。使用方法は、

  1. 訪日外国人観光客が「対話型自動販売機」に話しかける。
  2. 音声認識サービスによって端末内でテキストに変換。
  3. それに対する回答が再度音声に。

という仕組みになっています。これにより訪日外国人観光客とのリアルタイムでの会話が実現します。

今回の試みについてアサヒグループホールディングスは、

本年(訪日ラボ注:2015年)5月から「インバウンド消費実態調査プロジェクト」を立ち上げ、インバウンド市場や訪日外国人の消費実態等の調査を進めてきました。調査結果の1つに、訪日する外国人は、気軽に自動販売機への関心は高いものの、日本語表示を理解できないため、購入を躊躇したり、特定商品の購入に偏ってしまったりする傾向があることがわかりました。そこで、最新の音声認識技術を活用し、訪日外国人に対して、英語や中国語による日常会話のような感覚で詳細な商品情報を提供することで、商品に対する理解を促進することとしました。-アサヒグループホールディングス株式会社 ニュースリリースより引用一部省略

とのことで、訪日外国人観光客の自動販売機への関心に目をつけ、インバウンド収益につなげようという流れです。

また、同社グループのアサヒビール株式会社は「飲食店おもてなしヒントブック」も作成しました。全国の飲食店へインバウンド対策に関するヒントや情報提供も行っています。

 

ポッカサッポロフード&ビバレッジ:自動販売機を活用したインバウンド対策を実施。商品情報がスマホにより多言語で閲覧可能

2016年07月29日のニュースリリースによると、ポッカサッポロフード&ビバレッジでも自動販売機を活用したインバウンド対策を行うとしています。

富士ゼロックス株式会社が提供するスマートフォンアプリケーション“SkyDesk Media Switch”を活用し、同社の飲料類をスマートフォンで撮影することでその商品の「栄養成分」「原材料」「アレルギー物質」「商品概要」の情報が確認できます。商品情報は、英語、中国語、韓国語、日本語の4ヶ国語でそれぞれ表示され、7月末から順次テスト展開しています。

 

サントリー:山崎蒸溜所が訪日外国人観光客に人気 ブランド力で勝負か

サントリー山崎蒸溜所 レビュー欄 TripAdvisorより引用

サントリー山崎蒸溜所 レビュー欄 TripAdvisorより引用

サントリースピリッツ株式会社が運営する「サントリー山崎蒸溜所」。日本、訪日外国人観光客の来場者ともに、主に山崎ブランドや、サントリーのウイスキーづくりに強く興味、関心を持っていることが多く、それらの来場者向けに日本最高クラスのウイスキーテイスティングを含めた工場ツアー、各種イベントを行っています。

下記の記事でも取り上げたようにサントリー山崎蒸溜所は訪日外国人観光客の人気スポットとなっています。観光口コミサイト「TripAdvisor」でも多くの訪日外国人観光客のレビューとともに高い評価を受けています。さらに同サイト発表の「行ってよかった!工場見学&社会科見学ランキング2016」でも上位にランクインしています。

これらの訪日外国人観光客による人気をうけ、より快適に見学できるよう、パンフレットの多言語化(英語・中国語)や、製造工程見学のオーディオガイド整備(英語・フランス語・中国語)などを行っています。蒸溜所を訪る全ての来場者に、山崎ブランドやサントリーウイスキーのファンになってもらえるよう、「Yamazaki」のブランド力を駆使しサントリーの訪日外国人観光客への知名度向上を狙っています。

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伊藤園:主要空港内のサービスが訪日外国人観光客に人気 日本の伝統である「茶」のセールス強化

日本の伝統として訪日外国人観光客からの人気も高い「茶」。伊藤園では同社の主力商品である「茶」を通じてインバウンド収益確保を目指しています。同社決算説明会資料によると訪日外国人観光客の利用が多い新千歳空港国際線旅客ターミナル内に茶専門店である「伊藤園」を初出店。試飲しながら「おいしいお茶のいれ方」を体験できるスペースも設けており、訪日外国人観光客に人気となっています。

また、同社では2014年9月より羽田空港国際線旅客ターミナルの商業施設「江戸小路」で「茶寮 伊藤園」をオープン。2015年は対前年売上金額49%増となっておりこちらも人気の様子です。

成田空港にある専門店「FaSoLa 伊藤園」でも2015年対前年売上金額34%増を記録しており、伊藤園のメイン商品であるお茶を前面に売り出したインバウンド対策が功を奏しているといえます。

 

まとめ:自動販売機や多言語化に目を付けたインバウンド対策、「和」を前面に押し出したブランド化戦略などを実施

先述の通り、大手飲料メーカーはインバウンド収益確保に向けて様々な取り組みを行っています。購入時の多言語化、商品の情報提供、「和」を感じることのできる商品の開発、宣伝などがポイントになってきます。魅力的なインバウンド市場へと変貌した飲料業界。これからの動向にも注目です。

 

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