訪日外国人観光客の増加を背景に、鉄道業界では様々なインバウンド対策に乗り出しています。

近畿日本鉄道では、車両を豪華に仕上げた観光列車の導入を始めます。26日、同社は、大阪阿部野橋(大阪市)から吉野(奈良県)間を運行する観光特急を報道陣に公開。9月から運行が開始されます。

主なターゲットは、裕福なシニア層と訪日外国人観光客。車内設備を豪華にすることで、長距離移動も快適になり、また車窓から美しい景色も楽しむことができることから、訪日外国人観光客への観光PRにつながるとしています。JR西日本とJR東日本も、来年から同様の豪華寝台列車の運行を始めます。

このように、訪日外国人観光客誘致へ様々なインバウンド対策を進める鉄道業界。小田急電鉄株式会社では訪日タイ人観光客誘致へ、タイ・バンコクに新事務所を開設することを発表しました。

 

タイ・バンコクに新事務所開設 訪日タイ人観光客をターゲットにインバウンド対策を開始

小田急電鉄株式会社のプレスリリースによると、2016年9月27日から、同社はタイ・バンコクに、駐在員事務所を開設します。主な目的、活動内容とは、

  1. 現地旅行会社やメディアに向けた小田急電鉄の商品の売り込み
  2. 現地旅行博覧会などを通じて、タイ人へ小田急電鉄に関する情報提供の実施
  3. タイ、または近隣東南アジア諸国での情報収集

この3つです。

小田急電鉄は、「東南アジアのハブ」と呼ばれるタイ王国の首都 バンコクに新事務所を開設することで、タイの旅行会社との関係性強化、タイや近隣東南アジア諸国に関するリサーチを進め、新宿、箱根、江の島・鎌倉をはじめとする小田急電鉄沿線への一層の誘致を進めていくとのこと。

新事務所を開設することにより、タイでのセールスを強化し、インバウンド収益に繋げる狙いが見えます。それでは、今回、小田急電鉄はなぜ、訪日タイ人観光客にターゲットを絞ったインバウンド対策を開始したのでしょうか?

 

きっかけは訪日タイ人観光客数の増加:前年比21%の伸び+タイ語版Facebookページは80,000件のいいねを獲得

日本政府観光局(JNTO)がリリースする訪日外客数の統計によれば、2015年の訪日タイ人観光客はおよそ80万人。2014年から2015の伸び率は21%で、今年1月~7月においては、前年同期比で15%の伸びを記録しており、すでに約55万人が訪日しています。タイでの訪日ブーム、観光ビザの緩和の影響もあり、ここ数年間で訪日タイ人観光客の数が堅実な伸びを見せています。

また、小田急電鉄タイ語版Facebookでは約80,000件のいいねを獲得しています。小田急線沿線の箱根などの観光スポットの写真や、小田急電鉄が展開している訪日タイ人観光客向けサービスの告知などが投稿されており、多数のリアクションも見受けられます。

インバウンドにおけるタイ市場の拡大、そしてFacebookページでの反響の大きさといったこれらの背景があり、小田急電鉄はタイ市場でのビジネスチャンスをにらみ、訪日タイ人観光客誘致へ力を入れはじめたものと思われます。

タイでの訪日旅行ブームの背景については以下の記事で詳細に説明しています。
<関連リンク>

 

既存の「電話通訳サービス」に「タイ語」も追加。訪日タイ人観光客に人気の「富士箱根パス」のリニューアルも

小田急電鉄は新事務所開設に加え、訪日タイ人観光客へ向け、タイ語による「電話通訳サービス」も導入。2016年10月1日より小田急線全線や、新宿・箱根エリアにおいて実施されます。

以前は、「英語」「中国語」「韓国語」「スペイン語」のみの対応でしたが、今回、訪日タイ人観光客誘致活動の一環として、「タイ語」対応のサービスも加わった形です。

また、小田急電鉄は、2016年4月1日に、訪日外国人観光客向けの割引周遊券「富士箱根パス」をリニューアルしました。

このリニューアルにおいても訪日タイ人観光客向け誘致強化を実施。案内パンフレットの多言語化を「英語版」「韓国語版」「中国語繁体字版」「中国語簡体字版」に加え、「タイ語」の5言語対応にしました。

富士・箱根エリアはゴールデンルートに組み込まれていることもあり、東アジア・東南アジア圏の訪日外国人観光客に人気があります。訪日タイ人観光客の増加と、小田急電鉄のタイ市場対策強化もあり、今後小田急沿線エリアでの訪日タイ人観光客向け誘致強化が進んでいく可能性が高いものと思われます。

 

まとめ:訪日タイ人観光客増加に着目。現地でのセールス強化、タイ語対応によるインバウンド対策を実施

先述の通り、小田急電鉄では、訪日タイ人観光客の増加に着目し、

  • タイ現地でのセールス強化
  • 「電話通訳サービス」やタイ語版パンフレットの発行などタイ語対応

の2つを軸としてインバウンド対策を進めてきました。訪日タイ人観光客の増加やFacebookでのタイ人からの反響を見る限り、これから訪日タイ人観光客にターゲットを絞ったインバウンドビジネスは注目を集めるかもしれません。

 

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