2020年の「東京オリンピック」開催に向けて訪日外国人観光客数が大幅に伸びている中、さらなる訪日外国人観光客誘致へ向け、国内の企業や自治体は様々な取り組みを行っています。

その中でも「郷土料理」と「日本文化」を活用し、インバウンド誘致を狙う「ガストロノミーツーリズム」が注目を集めています。

日本観光振興協会、日本旅行業協会(JATA)が主催する大規模な旅行博「ツーリズムEXPOジャパン」では、訪日旅行、国内観光、海外旅行をテーマとしたシンポジウムのプログラムを提供しています。

2016年の「ツーリズムEXPOジャパン」では、国内観光シンポジウムの一環として、「ガストロノミーツーリズムで地域を元気に」と題し、ガストロノミーツーリズムが紹介されています。

この「ガストロノミーツーリズム」、一体どのようなものなのでしょうか?

 

ガストロノミーツアーリズムとは「食文化」と「伝統文化」を活用したツアーリズム:インバウンド誘致の鍵に

「ガストロノミー」とは、文化と料理の関係を考察することを意味します。日本では、美食術、美食学とも訳され、ガストロノミーを実践する人を、食通あるいはグルメなどと呼びます。

つまり、「ガストロノミーツーリズム」とは、「食文化」と「伝統文化」を活用したツアーリズムを指します。

平成28年に発表された、観光庁による「訪日外国人観光客消費動向調査」では、訪日外国人観光客が、「訪日前に期待していたこと」に関するアンケート調査が取り上げられています。

訪日外国人観光客が、訪日前に期待していたこととして、「日本食を食べること」「旅館への宿泊、温泉入浴の体験」「自然・景勝地観光」「日本の歴史・伝統文化体験」などが、上位に挙がっていることが確認できます。

ここから、「日本食」や「日本独自の文化、伝統の体験」に、訪日外国人観光客のニーズがあることがわかります。

インバウンド誘致を進める場合、「ガストロノミーツアーリズム」のような「食文化」と「伝統文化」の組み合わせは、キーワードになることが予測されます。

最近では、一般企業からも「ガストロノミーツアーリズム」を推進する動きが出てきています。

 

ぐるなびとANA総研が「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」発足へ

9月23日の日本経済新聞によると、ANAホールディングスの子会社である「ANA総合研究所」(以下、ANA総研)は、飲食店情報サイト「ぐるなび」と共同で、「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」を設立すると発表しました。

10月3日から、運営が始まり、日本観光振興協会が運営に協力します。

温泉地の魅力を郷土料理とともに発信:訪日外国人観光客誘致へ

今回の「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」の発足は、ガストロノミーツーリズムをもとに、「伝統文化」として全国の温泉を、「食文化」として各地域の郷土料理を活用し、訪日外国人観光客誘致を促進することが目的です。

具体的な活動内容としては、自治体が訪日外国人観光客が各地域の温泉と郷土料理を楽しむことができるようなプログラムを作成し、「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」で認定するというもの。会長には、東京都市大の涌井史郎教授が就任。発起人として大分県別府市など7市町が名を連ねています。

「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」は、これから国内国外問わず情報発信を行うことで参加自治体を募ります。

第1回開催地は「大分県別府市」に:5年以内に100の自治体の加入が目標

第1弾のプログラムの開催地として、訪日外国人観光客に人気の温泉地である「大分県別府市」が選ばれました。

これは、別府市の海岸線を訪日外国人観光客に歩いてもらい、別府市ならではの料理である鶏肉のてんぷら「とり天」が楽しめるというもの。

「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」は、5年以内に会員として100の自治体に入ってもらい、毎年100回以上のイベントを開催する計画も、併せて発表しています。

一か所あたり300人以上の参加を目指し、毎週末どこかの温泉地で、必ず催しがある環境を整備していくとのことです。

 

まとめ:「食文化」×「伝統文化」でインバウンド誘致を狙う「ガストロノミーツーリズム」

「ONSEN・ガストロノミーツーリズム推進機構」のように、訪日外国人観光客向けフードツーリズムを推進する動きは、これから増えていくことが予測されます。

訪日中国人観光客による「爆買い」と呼ばれる大量消費行動に、陰りが見えるように、訪日外国人観光客のニーズは日々変化してきています。これからは、単純な「消費」だけでなく、「体験」に重きを置いた観光の需要が高まっていくことは明らかです。

「ガストロノミーツーリズム」は、各地の伝統文化や食文化を観光資源として発信することなので、コンテンツとして訪日外国人観光客のニーズを満たすものになるのではないでしょうか。

 

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