インバウンド市場において需要がもっとも高まる7月、8月といった夏休み・バカンス期間を過ぎ、そろそろ10月の紅葉需要が喚起される時期となりました。

インバウンドビジネスにおいて、どの国の訪日外国人観光客がどの月・タイミングで訪日外客数が増減するのか、いわばインバウンドカレンダーを押さえることは、戦略的に重要となります。

今回は、国籍別に月別訪日外客数を、2013年〜2016年まで集計。訪日需要が高まるタイミングと、その背景にある理由や各国の長期休暇時期についてインバウンドカレンダーとしてまとめました。

今回は前編として、全体の傾向と中国、台湾、香港、韓国、タイの東アジア・東南アジアの主要訪日国の訪日外客数とインバウンドカレンダーのまとめです。

<後編(欧米系)はこちら>

 

インバウンド市場全体の動向

全国籍・地域の月別訪日外客数

全国籍・地域の月別訪日外客数

全国籍・地域での月別訪日外客数をグラフ化してみると、どのタイミングで訪日需要が高まっているのかを把握することができます。全体の流れとして、4月前後は桜需要、7月、8月は夏休みやバカンス需要、10月頃には紅葉需要、そして12月には雪需要から訪日外客数が高まる傾向にあります。

各主要訪日国の月別訪日外客数

主要訪日国の月別訪日外客数(2013年〜2015年の平均値)

主要訪日国の月別訪日外客数(2013年〜2015年の平均値)

国別で見てみると、訪日外客数の違いはもちろんのこと、各国によって訪日外客数が増えるタイミングが異なることがわかります。前述の通り、市場全体においては4月、7月、8月、10月、12月に訪日需要が高まります。しかしながら、例えばタイは7月、8月はそれほどでもなく、4月に顕著に外客数が伸びています。この背景には各国の需要の違い、長期休暇のタイミングの違いがあります。

 

各国の訪日需要が増えるタイミングは?国ごとに需要や長期休暇時期に違いが

各訪日国の主要長期休暇の時期

各訪日国の主要長期休暇の時期

先ほどの例としてあげたタイの場合、その気候により夏休みのタイミングは7月、8月ではなく、10月とされています。また、夏休み以上の長期休暇である「ソンクラーン」が4月前後にあり、そのため、4月が訪日タイ人観光客が増える時期となっています。

それでは、各訪日主要国の月別訪日外客数推移とその背景について詳しく見ていきましょう。

 

訪日中国人観光客:意外と春節の時期に伸びは見られず、夏休みシーズンにピークを迎える

訪日中国人観光客の月別外客数推移

訪日中国人観光客の月別外客数推移

赤い線グラフは2013年から2015年までの3年間の平均値を表しています。2016年は8月までしか発表されていないので、経引きんちには含まれていません。以下に続く国のグラフにおいても同様です。

訪日中国人観光客の訪日数は、夏休みシーズンである7月、8月にピークを迎えます。その他、1月から2月頃に春節(旧正月)を含む冬休みシーズンと4月ごろの桜需要が高まるタイミングで若干の伸びが見られます。

日本の都市部の街中では、近年、春節(旧正月)付近に市中免税店が積極的なプロモーションをしている様子が見られますが、データとしての訪日数は意外と少ないことがわかります。

中国の祝日・長期休暇

中国の祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

中国の祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

中国の夏休みシーズンは7月〜8月末頃までです。祝祭日として長期休暇は、1月末〜2月頃の春節(旧正月)が7日間、10月初旬の国慶節で10日間となります。春節(旧正月)は、冬休みシーズンともかぶるので、最大20日間ほどの長期休暇となります。

 

訪日台湾人観光客:シーズンイベントに敏感に反応

訪日台湾人観光客の月別外客数推移

訪日台湾人観光客の月別外客数推移

訪日リピーターの多い訪日台湾人観光客は、「長期休暇だから海外旅行として日本にいこう」というモチベーションでの訪日というよりかは、それぞれの季節を楽しむために訪日していることが多いようです。

その傾向は、月別の訪日外客数の推移を見ると明らかになります。もちろん、ピークとしては7月〜8月の夏休みシーズンが顕著であるものの、桜需要や紅葉需要が高まる4月、10月に訪日外客数が伸びる、という特徴があります。

台湾の祝日・長期休暇

台湾の祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

台湾の祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

台湾の夏休みシーズンは7月〜8月頃です。祝祭日として長期連休になるのは、1月末ごろから2月初旬の春節が5日間〜となります。

その他、4月初旬に児童節(こどもの日) と清明節(先祖の墓参りの日)が連続し、土日と合わせて4連休があります。タイミングとしては、桜需要の高まりと同時期と鳴るので、4月第1週の週末は訪日台湾人観光客が増加する傾向にあります。

訪日香港人観光客:ピークはイースター、夏休み、クリスマスの3つ

訪日香港人観光客の月別外客数推移

訪日香港人観光客の月別外客数推移

訪日香港人観光客の外客数は7月、8月の夏休み・バカンスシーズンと12月のクリスマス休暇シーズンにピークを迎えます。次いで、旧正月とイースターが続く2月、3月頃にも増える傾向にあります。

台湾と同様、地理的要因と旅行好きという特性から、訪日リピーターが多いものの、シーズンイベントによる変動は少なく、休暇やバカンスのタイミングにあわせて訪日観光をする傾向にあります。

香港の祝日・長期休暇

香港の祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

香港の祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

香港は、その歴史的背景から欧米系の習慣に関連した祝祭日が数多くあります。3月〜4月周辺にはキリストの復活を祝う「イースター」休暇があり、清明節(先祖の墓参りの日)とあわせて4連休の休暇があります。

また、12月のクリスマス周辺も聖誕節(クリスマス)と、聖誕節後第一平日休暇があり、こちらも4連休となります。

 

訪日韓国人観光客:最大の旅行シーズンは1月と2月

訪日韓国人観光客の月別外客数推移

訪日韓国人観光客の月別外客数推移

訪日韓国人観光客は夏休みシーズンである7月、8月、そして冬休み・春休みシーズンである1月〜2月ごろにピークを迎えます。2016年は訪日プロモーションの成功、および4月に発生した熊本自信の影響で月別推移が激しく上下しているものの、2013年〜2015年の平均値を見てみると、年間をとおして安定した外客数であることがわかります。

これは、日本人が週末土日を利用して韓国旅行に行くようになったのと同様に、訪日韓国人観光客もまた、日本を気軽に行ける旅行先、国内旅行の延長線上にある、と認識しているからです。

 

韓国の祝日・長期休暇

韓国の祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

韓国の祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

韓国のバカンスシーズンは、夏休みが7月〜8月、冬休みが12月下旬から2月初旬、そそて春休みが2月中旬から2月下旬です。冬休みと春休みのシーズンが連続しており、そのため夏休みシーズンより、冬休み・春休みシーズンのほうが外客数が増える傾向にあります。

祝祭日として長期連休となるのは、1月〜2月の旧正月で、土日をあわせると最大5連休、そして9月下旬の秋夕(旧盆)が3〜4連休ほどになります。特に旧正月前後は、先述の通り冬休み・春休みシーズンをハシゴする格好になるので、1月、2月が最大の旅行シーズンとなっています。

 

訪日タイ人観光客:ソンクラーンの3月〜5月が最大の旅行シーズン

訪日タイ人観光客の月別外客数推移

訪日タイ人観光客の月別外客数推移

訪日タイ人観光客の外客数は、夏休みとタイ正月(ソンクラーン)のある3月〜5月ごろにピークを迎えます。その他では雨季と乾季の境目である10月に秋休みがあります。

シーズン需要が発生するのは12月です。タイ人にとっては「雪」は見慣れないものであり、訪日ブームもあいまって日本の雪景色を見たい、とう需要が高まります。

タイの祝日・長期休暇

タイの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

タイの祝祭日:日本政府観光局(JNTO)より引用

タイは熱帯モンスーン気候に属し、2月〜5月が暑気で、日本で言う所の夏のような気候となります。そのため、タイでの夏休みは4月ごろとなります。また、雨季と乾季の境目である10月が秋休みとなります。学校制度も5月スタートの2学期制ですので、日本で言う所の夏休みのタイミングにあたります。そのため、媒体によっては10月のバカンス期間を「夏休み」ということも。

<後編(欧米系)はこちら>

 

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