民泊サービスとは?:Airbnb(エアービーアンドビー)を例に

日本でも急速に広まりつつある民泊ビジネス。業界の中でも最も有名なAirbnb(エアビーアンドビー)を例に見てみましょう。Airbnb(エアビーアンドビー)は2015年11月時点で全世界191カ国、3万4000都市に200万物件を誇る民泊サービスです。日本でも知らぬ人がいないほどに知名度が高まってきましたが、Airbnb(エアビーアンドビー)はアメリカのカリフォルニア州で生まれた企業で、創業は2008年。生き馬の目を抜く厳しさのシリコンバレーでも、圧倒的な成功を収めた企業として良く名前が上がるサービスです。

Airbnb(エアビーアンドビー)のしくみ・特徴

日本への進出は2014年5月で、平成27年度における日本での登録物件数は21,000件(前年比374%の成長)、日本を訪れたゲストは100万人(前年比530%の成長)と、その成長スピードに注目が集まっています。簡単にそのサービスを説明すると「宿泊施設を探している人」(ゲスト)と「宿泊施設を提供する人」(ホスト)をマッチングするサービスです。

Airbnb(エアビーアンドビー)検索画面

Airbnb(エアビーアンドビー)検索画面

ゲストはサービスに登録後、ホテルや旅館を予約するのと同様に、サイトからエリア、日取り、人数、予算などを選択します。条件に合う物件が見つかったら予約/決済。チェックインして観光を楽しみ、チェックアウト後にホストを評価。自らもホストから評価を受けます。

ホストはAirbnb(エアビーアンドビー)に宿泊施設を登録、ゲストから宿泊オファーを受けた後に承認/非承認を選択。ゲストがチェックインをするとAirbnb(エアビーアンドビー)から支払いを受け、ゲストのチェックアウト後にゲストを評価します。

特徴としては、民泊サービスと言われる所以ですが、掲載されている宿泊施設がホストの自宅の空き部屋であったり、所有する家まるごとであったりすること。またヨットやお城といった、ユニークな物件があること。また、ホテルや旅館などと比較すると比較的価格帯が安く、様々な立地の部屋を選べること。キッチンがある物件では料理が出来たり、ペット可の物件も多いなど、「自宅の空いているスペースを貸し出す/長期旅行中に家を丸々貸し出す」というホスト側の基本的なコンセプトのために、一般的な宿泊施設と比較すると、ゲスト側の自由度が高いサービスとなっています。

 

なぜ民泊に注目が集まっているのか?

日本政府の観光局が発表した統計によると、平成27年の訪日外国人旅行者数は2,000万人を突破。平成26年比で1.4倍となっています。こうして近年世界中から訪れる訪日外国人の増加、また2020年の東京オリンピックの観戦者、観光客に向けて、宿泊施設の不足が懸念されています。

Airbnbを初めとする民泊サービスは、他にもFlipkey(フリップキー)、HomeAway(ホームアウェイ)、AsiaYo(アジアヨー)、STAY JAPAN(ステイジャパン)、とまりーな など様々なサービスがありますが、こうした民泊サービスが宿泊施設の解消に役立つ事が期待されているわけです。

民泊ビジネスの抱える問題点

利用者からすると便利で、訪日外国人の受け皿として大きな期待を集める民泊サービスですが、宿泊施設を提要する人(ホスト)が、民泊ビジネスに関連する法律を必ずしも熟知しているわけではないため、ホストの中には知らず知らずのうちに、旅館業法、建築基準法、消防法などに違反している、法的にグレーなまま宿泊施設を提供してしまっているという問題、近隣住民とのトラブルといった問題が指摘されています。(※日本発のサービスであるSTAY JAPAN(ステイジャパン)、とまりーな はこうした法的な問題をしっかりとクリアしていると謳っています。)

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民泊ビジネスと法的要件

旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されています。旅館業における宿泊の定義とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされており、なおかつ「宿泊料を受けること」が要件となります。また営業に関しては「社会性をもって継続反復されているもの」とされています。

つまり民泊サービスとして

  • 「宿泊料を受けている」
  • 「社会性がある(不特定多数が宿泊する)(インターネットで集客をしている)」
  • 「継続反復性がある(繰り返し宿泊の募集を行っている)」

場合、旅館業法が適用となります。旅館業法が適用となる場合は以下の4つの種別の営業形態のいずれかである必要があります。

  • ホテル営業
    • 洋式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業。
  • 旅館営業
    • 和式の構造及び設備を主とする施設を設けてする営業。駅前旅館、温泉旅館、観光旅館の他、割烹旅館が含まれる。民宿も該当することがある。
  • 簡易宿所営業
    • 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を設けてする営業。例えばベッドハウス、山小屋、スキー小屋、ユースホステルの他カプセルホテルが該当する。
  • 下宿営業
    • 一ヶ月以上の期間を単位として宿泊させる営業。

こうして旅館業法の適用を受ける場合、旅館業法での営業許可を取る必要が出てきます。そうなると、営業形態によっては「フロントの設置」「宿泊者名簿の作成義務」「防火器具」「避難路の確保」などが必要となってきます。さらに建築基準法における「用途変更」、消防法における「自動火災報知機の設置」など、個人が気軽に「空き部屋を民泊サービスで使おう」と思って利用しようとしても、様々な法的要件をクリアする必要があります。

そのため、Airbnb(エアビーアンドビー)など多くの民泊サービスで、宿泊施設を提供する人(ホスト)が法的にはグレーなままに宿泊施設を提供していると言われている所以なのです。

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合法的に民泊ビジネスを行なうには?

民泊ビジネスを合法的に行なうには、現在大きく分けて3つの方法があります。

  • 国家戦略特別地域で民泊条例が施行されている地域で認定を受ける。
    • 国家戦略特別地域とは地域を絞って、そのエリア内に限り、従来の「解雇ルール」、「労働時間法制」、「有期雇用制度」の3点の規制を緩め、地域復興、外国企業誘致、国際競争力向上を高める事を狙った経済特区のこと。現在、国家戦略特別地域に指定されているのは、東京都、神奈川県及び千葉県成田市、大阪府、兵庫県、京都府、新潟市、養父市、福岡市、北九州市、沖縄県、仙台市、愛知県、広島県、今治市。地域ごとに緩和される規制は異なり、規制内容は自治体ごとの条例で規定される。
  • 民泊新法(2017年の通常国会への提出を目指している、新しい形の民泊ビジネスを規定する法律)を満たす。
    • 従来の旅館業(ホテル営業、旅館営業、簡易宿泊営業、下宿営業)に当てはまらない民泊ビジネスを規定するもので、民泊の健全な普及、多様化する宿泊ニーズや逼迫する宿泊需給への対応、空き家の有効活用を目指している。民泊を住宅を活用した宿泊の提供と位置付け、住宅を1日単位で利用者に利用させるもので、「一定の要件」の範囲内で、有償かつ反復継続するものとしている。この「一定の要件」には営業日数、宿泊人数などが含まれ、「家主居住型」(ホームステイ)と「「家主不在型」の2種類が存在する。
  • 旅館業法での営業許可を取得する。(民泊サービスが該当する「簡易宿所営業」)
    • 客室の延床面積は、33平方メートル以上であること。適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること。適当な数の便所を有すること。など簡易宿所としての構造基準を満たすこと。さらに、都市計画法上の用途地域が、第1種住居地域の場合、床面積3,000 ㎡以下であること、第2種住居地域の場合、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域であること。建築基準法における用途変更、消防法における自動火災報知機の設置などが必要。

民泊ビジネスには、法的問題のほか、近隣トラブルも課題となる

民泊ビジネスを行なう上で考えられるのが、「治安問題」、「ゴミ問題」、「騒音問題」です。

  • 治安問題
    • 近隣の住民からすると、近所に不特定多数の住民以外の人間、日本語が通じない外国人が頻繁に出入りしている家、マンションの一室があるというのは不安なものです。
  • ゴミ問題
    • その地域の住民でない場合当然その地域のゴミ捨てルールは知りません。また、日本ほどゴミを細かくリサイクルする国もなかなかありませんから、ホスト不在の民泊の場合、外国人観光客にとっては、ホストがいない場合のゴミの分別ルールを守らないままにゴミを出してしまうことにも繋がります。
  • 騒音問題
    • 民泊の場合、チェックイン時間が24時間対応のサービスが多いですが、マンションなどの住民にとっては、深夜に数名でキャリーケースを引きずる音、騒ぎ声などが騒音となるケースがあります。

 

まとめ:今後の民泊市場の法的・ビジネス的動向に注目

日本でも一般的になってきた民泊ビジネスですが、Airbnb(エアビーアンドビー)の圧倒的な成長に見られるように、事業者側の成長スピード、市場の成長スピードに法整備が追いついていない状態です。そんな中で合法的に民泊ビジネスを行なうには、該当法案を理解すること、どのような許可が必要なのかをしっかりと理解することが必要です。

 

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