旅行時には欠かせない情報収集。寝泊まりする旅館やホテルを探すにも、観光地への移動方法を調べるにも、旅行ガイドブックやインターネットの情報は必要になります。日本の言葉や慣習に不慣れな訪日外国人観光客にとって周囲に尋ねることは難しく、これらの情報源はなおさら重要になるでしょう。

JTBグローバルマーケティング&トラベルとフリーのSIMカード、スマートフォン端末を提供するサービス「FREETEL」(事業社名:プラスワン・マーケティング)は、平成28年(2016年)10月9日から、訪日外国人観光客向けに便利なアプリを搭載したスマートフォン端末を貸し出す実証実験を開始しました。

情報提供をしたい日本の事業者と、自分に合った商品やサービスを見つけたい訪日外国人観光客をつなぐ狙いがあります。なぜ、このような取り組みが行われたのか。訪日外国人観光客のスマートフォン利用の実態からご紹介します。

 

海外のインターネットは使いにくい!:高額な通信料金を請求されるトラブルも

「フリーWi-Fiスポットを増やし、外国人が手軽にインターネットを使える環境づくりが必要だ」。このような話は、インバウンドビジネスの文脈でよく現れ、訪日外国人観光客の集客には欠かせないとさえ考えられています。これはなぜなのでしょうか。

もちろん、「自国内で習慣的にフリーWi-Fiスポットを利用しているから、使えないと不便」というのも一因です。都会には存在しない大自然が楽しめるアメリカのグランド・キャニオン国立公園やヨセミテ国立公園、イエローストーン国立公園でさえ、「Wi-Fiが飛んでいない」と苦情が来ているそうです。少しくらいインターネットを我慢しなさい、と思わず言いたくなってしまうところですが、それ無しでは生活できない現代人らしいエピソードです。

しかし、海外旅行として日本を訪れる訪日外国人観光客の場合、この他にもフリーWi-Fiスポットを必要とする理由があります。リオデジャネイロ五輪に出場した内村航平選手が、ブラジル国内でスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」をプレイし、50万円もの通信料金を請求されたという話を覚えていますでしょうか(その後、幸いにも救済措置が取られました)。

この手の通信料金のトラブルは、海外旅行ではよくある話です。スマートフォンには「データローミング」という機能があり、契約しているau、ソフトバンクなどのキャリアの電波が届かない海外などでも、現地の携帯会社の電波を使って、通信できるようになっています。しかし、定額料金プランが適用されないなどの事情で、高額な利用料金が発生することがあるため、無料で使えるWi-Fiスポットを利用しようというわけですね。

こういった事態を避けるには、日本で利用できるプリペイドSIMカードを購入する、空港でスマートフォン端末をレンタルするなどさまざまな対応策が可能ですが、フリーWi-Fiスポットを利用する人が特に多いと言われています。特別な契約がいらず、自分のスマホ端末がそのまま利用できるので、おそらく手軽なのでしょう。

 

スマートフォンに訪日外国人向けのアプリをインストールして提供

しかし、訪日外国人観光客が情報収集するうえで課題になるのは「インターネットが使えるかどうか」だけではありません。インターネットが使えても、必要な情報が手に入らないのでは意味がないのです。JTBグローバルマーケティング&トラベル、プラスワン・マーケティングの実証実験の狙いは、この2つを解決することにあると思われます。

スマートフォンの貸出を行うのは、JTBグローバルマーケティング&トラベルと業務提携しているフランスの旅行会社。スマートフォンは日本滞在中に使えるアプリがインストールされた状態になっています。このようにすれば、訪日外国人観光客はインターネット環境と情報収集の方法を同時に手に入れることができます。

また、この取り組みは、インバウンドビジネスに取り組む事業者が発信している情報が訪日外国人観光客までなかなか届かないという課題の解決も目指しています。せっかく予算を掛けて専用アプリを開発してもダウンロードしてもらえないなどの問題があるのだそうです。

 

まとめ:情報収集に頭を悩ませず、旅行が楽しめる取り組み

JTBグローバルマーケティング&トラベル、プラスワン・マーケティングが、訪日外国人観光客向けにアプリを搭載したスマートフォン貸出サービスの実証実験を開始しました。国内事業者の情報を訪日外国人観光客まで効果的に届け、双方のニーズを結びつけることを目的にしています。

「せっかく旅行に来たのだから、情報収集やスマホの通信料金に頭を悩ませたくない」と考え、このようにネット環境から使うべきアプリまで一揃えになったサービスを利用する訪日外国人観光客は多いのではないでしょうか。

旅行者の負担を減らしつつ、より観光を楽しんでもらうための工夫として浸透するかもしれません。実証実験後は、訪日外国人観光客に対してアプローチしたい事業者向けの事業も行われる予定です。

 

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