保税区を利用した中国の越境ECの新制度、その詳細とは? 税制、通関の変更に伴い粉ミルクや化粧品の販売は難しくなる…

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中国で2013年8月から越境ECの試験区として始まった保税区は上海、重慶、杭州、寧波、鄭州などで、従来の配送方法と比較してコストや配送スピードなどで圧倒的なメリットがあります。この保税区を対象に4月8日より新たな越境ECの制度がスタートしています。具体的に何が変わったのか?その詳細を改めて理解しましょう。

 

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保税区を利用した越境ECのメリットとは?

保税区のシステム:sagawa-cn.comより引用

保税区のしくみ:sagawa-cn.comより引用

まず、そもそもこれを理解しておく必要があります。従来、中国に商品を配送するには、注文が入る都度商品を配送する直送方式をとっていました。保税区を利用した越境ECでは、販売者が保税区に保有する敷地に向けてコンテナなどで商品をあらかじめ保管しておき、商品が売れる度に現地で発送手続きをとります。こうすることでコスト、配送スピードなどでメリットが出るという仕組みです。

 

4月からスタートした新制度の特徴

行郵税がかからなくなり、一般的な輸入制度という扱いとなった。

一番大きな変更点としては今までは試験的なものだった越境ECについて、中国政府が保税区を活用した越境ECを「一般的な輸入の制度」であるとしたことです。これにより、今までは個人が輸入したもの、個人が海外で購入したものに課されていた行郵税による税制度ではなく、通常の貿易と同様に増値税(流通段階で課されるもの、一部商品は消費税も課される)が課されるようになりました。

通関単(入境貨物通関単)が必要となった

一般的な貿易と同様の手続きとなったことにより、越境ECの商品に関しても通関単(入境貨物通関単)が必要となります。これは輸入港検疫局が検査を行い、問題が無ければ署名をする許可証です。商品によっては一般的な貿易に必要となる輸入許可証、原産地証明書などが必要となります。

保税区を利用した越境ECで販売出来る消費のリストの公表

第一次越境EC輸入商品リスト 1142種、第二次越境EC輸入商品リスト 151種の合計1293種のリストが公表され、この商品に関しては通関単の提示が必要なくなった。しかし、中国EC市場での売れ筋商品である化粧品、健康食品、粉ミルクなどはリストに含まれているものの、輸出国の原産地証明などが用意出来ない事が多く、実質的に保税区を利用した越境ECでの販売が難しくなっています。

1度の購入金額の上限が2000元(※約30,700円)までに引き上げられる

現状は1000元(※約15,300円)の購入金額の上限が二倍になる。ただし、1人あたりの年間購入金額の上限は2万元(※約307,600円)となり変化はない。

その他税制での変更点

購入金額の上限以下の購入商品への関税率は0%だが、上限金額を超えた場合の税額は一般貿易と同じ。/今までの増値税を30%減額し、全ての商品に適用。/商品によって消費税がかかる場合、30%減額した額が適用される。/免税処置の廃止

 

新制度発表による混乱と中国政府の対応

越境ECに関しては税制度が変更になったという捉え方をした販売者が多かったわけですが、実際には税制だけではなく、一般的な貿易と同様に非常に複雑な税関制度が適用されるようになりました。新制度の発表に合わせて、越境ECサイト側は今後は保税区を利用した越境ECで販売が難しくなると予想された化粧品、健康食品、粉ミルクなどの在庫整理セールを4月以降に行っています。また、この期間は保税区の担当者も運用がどのように変更するか把握出来ていなかったために、海外からの入庫を止めた例もあったようです。

こうした混乱に対して中国政府は、2016年5月24日に「越境EC小売輸入の新たな監督管理要求に関する事宜の通知」という文書を発表し、自体の沈静化にあたります。その内容としては、「新税率を適用する」「新しい制度への以降は1年後とし、2017年5月11日までは現状の越境EC制度下での運用となる」というものです。なお、今回中国政府が発表した新制度の狙いは、直送方式による商品の検閲、課税逃れの撲滅、個人による代理購入の撲滅だと言われています。

 

まとめ

実際に新しい越境EC制度が適用されるのは2017年5月11日以降となりますが、化粧品、健康食品、粉ミルクなど大きな影響を受けると言われている商品を扱うECサイト事業者は、高額となる直送モデルで販売するためにブランドとしての地位を築いていくなど、今後の対策をしっかりと考えていく必要があるでしょう。

<参照>

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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