訪日外国人観光客による周遊旅行の拡大を目的に、テーマ、ストーリー性を持った形で観光ルートをまとめ、海外へ積極的な発信を行う「広域観光周遊ルート形成促進事業」。日本各地で、それぞれの地域の魅力を活かした個性的なモデルコースが設定されており、想定されるターゲット層、ニーズまで掲げられています。

今回は、欧米からアジアまで幅広い客層の獲得を目指す東北地方の広域観光周遊ルートについて見ていきましょう。

 

日本の奥の院・東北探訪ルート

東北地方の広域観光周遊ルートの名称は「日本の奥の院・東北探訪ルート」。主な対象市場は北米や台湾、タイなど。世界遺産や豊かな自然、地域に特有な文化などを観光資源に、さまざまな地域からの集客を目指しています。モデルコースは「四季が織りなす東北の宝コース」「三陸の恵みと復興コース」「日本海の美と伝統コース」の3種類です。

四季が織りなす東北の宝コース

四季が織りなす東北の宝コース

四季が織りなす東北の宝コース

主な観光資源は以下の通り。訪日外国人観光客に人気の高い温泉や桜、日本食に加え、世界的に認知度の高い世界遺産、ミシュラン三つ星レストランなどが楽しめます。対象市場は長期休暇が取得しやすい北米、欧州、旅行シーズンが桜や紅葉の見頃に一致するタイ。「JR JAPAN RAIL PASS」を使用した新規来訪者を想定しており、主なターゲットはパートナーや家族を同行者とする20~30代の男性です。

  • 蔵王温泉(山形県山形市):1900年の歴史を持つ温泉
  • 山寺(山形県山形市):1100年前に開かれた寺院
  • 日本三景・松島(宮城県松島町):海に浮かぶ多島美
  • 平泉(岩手県平泉町):約900年前に建てられた中尊寺金色堂を持つ世界遺産
  • 猊鼻渓舟下り(岩手県一関市):絶景を楽しみながら舟下り
  • 角館(秋田県仙北市):約400年前の町並みを残す
  • 白神山地(青森県西目屋村ほか):世界最大級のブナの原生が残る世界遺産
  • 羽黒山(山形県鶴岡市):山頂付近の五重の塔は国宝に指定

東京都から福島県に入り、東北地方を8日間かけて一周する観光ルートを想定しています。鉄道で日本海側、太平洋側の地域を巡ります。

三陸の恵みと復興コース

三陸の恵みと復興コース

三陸の恵みと復興コース

主な観光資源は以下の通り。対象市場は、観光名所巡りや温泉に強い関心をもつ台湾、イスラム教徒の多いマレーシア、インドネシア。漁業が盛んな地域では、豚肉などが食べられなくてもグルメが楽しめると想定しています。主なターゲットは、20~30代の女性団体客。

  • 松島(宮城県松島町):日本三景として知られ、遊覧船から絶景が楽しめる
  • 南三陸志津川温泉(宮城県南三陸町):志津川湾に面した露天風呂
  • 南三陸キラキラ丼(宮城県南三陸町):地元産の新鮮な海産物を堪能
  • 気仙沼漁港(宮城県気仙沼市):メカジキの水揚げ量が日本一
  • 平泉(岩手県平泉町):保存状態が良い寺院や庭園、遺跡を持つ世界遺産
  • 遠野ふるさと村(岩手県遠野市):東北地方の昔ながらの農村風景を再現
  • 浄土ヶ浜(岩手県宮古市):三陸海岸を代表する景勝地
  • 三陸鉄道北リアス線(岩手県):車窓から東日本大震災から復興した地域を一望

東京都から北上して仙台や気仙沼、平泉、八戸などを巡り、日本海側を往復する5日間の観光ルートを想定。東日本大震災から復興した地域の様子も見られるコース設計になっています。

日本海の美と伝統コース

日本海の美と伝統コース

日本海の美と伝統コース

主な観光資源は以下の通り。対象市場は東北の自然を評価するタイ、日本の四季、伝統文化に関心が高い北米、豪州。主なターゲットはタイの場合、個人で旅行する20~30代、北米、豪州の場合、20~30代男性の個人旅行者。ともにパートナーや家族と同行する新規客を想定しています。

  • 奥入瀬渓流(青森県十和田市):景勝地として有名な滝が多数
  • 洋館めぐり(青森県弘前市):明治時代の洋風建築が残る
  • リゾートしらかみ(青森県・秋田県):車窓から東北地方の海、自然が望める
  • 潮瀬崎のゴジラ岩(秋田県男鹿市):「ゴジラ」のように見える岩
  • 相馬樓(山形県酒田市):舞娘の踊りを見ながら食事
  • 加茂水族館(山形県鶴岡市):世界一のクラゲの展示数
  • 村上の鮭文化(新潟県村上市):平安時代から鮭の産地として知られ、特有の文化を持つ

函館、もしくは青森空港から青森県に入り、秋田県、山形県、新潟県を5日間で観光するルートを想定。日本海側特有の自然、伝統文化が楽しめるように設計されています。

 

まとめ:自然や伝統文化、グルメなど幅広い観光資源を活用

東北地方の広域観光周遊ルートの特徴は日本海側、太平洋側、両方を巡る3種類のモデルコースを用意し、異なる自然や伝統文化を楽しめるようにしていること。個人旅行者、団体旅行者ともに需要を見込んでおり、対象市場も欧米からアジアまで幅広く揃えています。

今後は交通機関の整備や観光資源の拡充、プロモーションなどを行い、さらなる集客を目指します。

 

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