訪日外国人観光客による周遊旅行の拡大を目的に、テーマ、ストーリー性を持った形で観光ルートをまとめ、海外へ積極的な発信を行う「広域観光周遊ルート形成促進事業」。日本各地で、それぞれの地域の魅力を活かした個性的なモデルコースが設定されており、想定されるターゲット層、ニーズまで掲げられています。

今回は、豊富な観光資源を持つ近畿、中部地方の広域観光周遊ルート「昇龍道」について見ていきましょう。

 

近畿、中部地方をまたがる「昇龍道」

「昇龍道」は近畿、中部地方にまたがる広域観光周遊ルート。温泉地や博物館、歴史を残す建造物など、多様な観光資源があるのが特徴です。広く中国、台湾などの東アジア諸国や欧米を主な対象市場に設定しています。旅行日数が長い場合は、柔軟にモデルコースを組み合わせた観光ルートを作ることも可能。

モデルコース

「昇龍道」には「Dragonコース《伝承空間への誘い》」「Nostalgicコース《「日本の心・ふるさと」お伊勢参りと世界遺産を巡る旅》」「Great Natureコース《大自然の醍醐味アルペンと古代探訪の旅》」「Ukiyo-e コース《サムライ文化・伝統技術リアル体験》」という4種類のモデルコースが用意されています。

Dragonコース《伝承空間への誘い》

Dragonコース《伝承空間への誘い》

Dragonコース《伝承空間への誘い》

主な観光資源は以下の通り。温泉や日本食、四季折々の自然などが楽しめ、訪日中国人観光客の旅行者数は、特に高い伸び率を記録しています。中国や台湾、香港の富裕層、リピーター層の需要を見込んでいます。

  • 犬山祭(愛知県犬山市) :寛永12年(1635)に始まる祭り。国の重要無形民俗文化財
  • 大須商店街(愛知県名古屋市):名古屋を代表する商店街
  • 下呂温泉(岐阜県下呂市):有馬温泉、草津温泉とともに日本三名泉と称される
  • 和倉温泉(石川県七尾市):約1200年の歴史を持つ温泉街
  • 飛騨酒蔵(岐阜県高山市):伝統を受け継いだ地酒づくり
  • 一位一刀彫(岐阜県高山市):イチイという材木を使った国の伝統工芸品
  • 関鍛冶伝承館(岐阜県関市):関鍛冶の技を伝える施設
  • 金箔工芸(石川県金沢市):金沢の伝統工芸

太平洋側の名古屋からスタートし、下呂、高山、富山などをめぐり、日本海に抜ける7日間の観光ルートを想定。帰国には能登里山空港、小松空港などの成田空港、羽田空港行きの国内線などを利用します。

Nostalgicコース《「日本の心・ふるさと」お伊勢参りと世界遺産を巡る旅》

Nostalgicコース《「日本の心・ふるさと」お伊勢参りと世界遺産を巡る旅》

Nostalgicコース《「日本の心・ふるさと」お伊勢参りと世界遺産を巡る旅》

主な観光資源は以下の通り。海外でも有名な世界遺産や城、神社などを通じて、日本の伝統に触れることができます。日本の歴史や伝統文化に高い関心をもつ米国、欧州を対象市場としています。

  • 松本城(長野県松本市):木造の天守が残る城。国宝
  • 志賀高原(長野県長野市):露天風呂に入る猿(通称スノーモンキー)が見られる
  • 伊勢神宮(三重県伊勢市):日本神話にも登場する代表的な神社
  • 海女小屋体験(三重県志摩市ほか):海女と話しながら魚介類が味わえる
  • 高山(岐阜県高山市):城下町の古い町並みを残す
  • 妻籠宿(長野県木曽郡):中山道を代表する宿場町
  • 五箇山(富山県南砺市)、白川郷(岐阜県白川村):合掌造りの建物を保存。世界遺産
  • 熊野古道(三重県熊野市):熊野三山霊場に通じる参詣道。一部は世界遺産

小松空港などを使って金沢に向かった後、高山、伊賀、伊勢などを巡る観光ルート。全9日間の日程です。関西空港からの帰国を想定。

Great Natureコース《大自然の醍醐味アルペンと古代探訪の旅》

Great Natureコース《大自然の醍醐味アルペンと古代探訪の旅》

Great Natureコース《大自然の醍醐味アルペンと古代探訪の旅》

主な観光資源は以下の通り。3000メートル級の山々を横断するコースになっており、雄大な自然が魅力となっています。対象市場はリピーターが多く、ゴールデンルートではない地方都市観光を求める傾向のある台湾、香港など。

  • 福井県立恐竜博物館(福井県勝山市):世界三大恐竜博物館のひとつ
  • 東尋坊(福井県坂井市):海水によって削られた荒々しい岩肌が続く
  • 琵琶湖(滋賀県長浜市他):日本最大の湖
  • 養老の滝(岐阜県養老郡):日本の滝百選、名水百選に選ばれる名所
  • 雪の大谷(富山県中新川郡):道路の積雪除去によってできる20mに及ぶ雪の壁
  • 黒部ダム(富山県中新川郡):国内最大級の巨大ダム
  • ラフティング体験(長野県北安曇郡):雄大な自然の中で川下りが楽しめる

東京から北陸新幹線で長野県まで移動し、立山黒部アルペンルート、宇奈月温泉、岐阜などを巡る6日間の観光ルートを想定。最終目的地は名古屋で、中国国際空港から帰国します。

Ukiyo-e コース《サムライ文化・伝統技術リアル体験》

Ukiyo-e コース《サムライ文化・伝統技術リアル体験》

Ukiyo-e コース《サムライ文化・伝統技術リアル体験》

主な観光資源は以下の通り。徳川家康ら戦国武将が活躍し、浮世絵にも描かれた東海道を観光するコース。現代日本のモノづくり産業も見てまわることができます。「Dragonコース《伝承空間への誘い》」と組み合わせることで柔軟な旅行日程を組むことができ、滞在日数の長い欧米圏などを対象市場としています。

  • 東海道広重美術館(静岡県静岡市):歌川広重の作品を中心にコレクションする美術館
  • 関ヶ原古戦場(岐阜県不破郡):関ヶ原の戦いの跡地
  • 岡崎城(愛知県岡崎市) :徳川家康誕生の地。桜の名所としても知られる
  • 名古屋城(愛知県名古屋市):武将隊ブームの先駆けとなった「名古屋おもてなし武将隊」
  • リニア・鉄道館(愛知県名古屋市):JR東海の鉄道ミュージアム
  • トヨタ自動車工場・トヨタ館(愛知県豊田市):トヨタ自動車の工場見学など
  • 富士山(静岡県静岡市ほか):日本を代表する山。世界文化遺産

大阪や京都から大津に向かい、関ヶ原、名古屋、豊田、静岡などを5日間で巡る観光ルートを想定。東海道を西から東に抜ける道のりになっています。

 

当面の目標は600万人の宿泊者獲得

平成29年(2017年)までに600万人の宿泊者を獲得することが目標。今後は「昇龍道サムライ街道(仮称)」などの事業計画を策定し、滞在コンテンツの充実化を図ります。

 

まとめ:ゴールデンルートを旅行したリピーター層などの需要を期待

近畿、中部地方をまたがる広域観光周遊ルート「昇龍道」は、温泉や世界遺産、歴史ある建造物、伝統文化など多彩な観光資源を持ちます。ゴールデンルートからは外れるものの、リピーター層、日本の歴史、文化に関心を持つ訪日外国人観光客からの需要が期待されています。

 

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