観光白書とは?


平成27年度 観光白書 表紙

平成27年版 観光白書の表紙

今年度の観光の状況、および政府が観光分野で行った政策、そして次の年度に行う予定の政策を明らかにした観光全般に関する白書が「観光白書」です。毎年、観光の状況及び政府が行った観光に関する施策を国土交通省が取りまとめ、「観光白書」として国会に報告しています。

国内外の観光の動向、国際観光の振興、観光旅行の際の安全確保、観光資源の保護、観光レクリエーション施設などの現状と整備、観光旅行者の利便性についてなど、幅広い項目のデータを基に記述している国土交通省が発行する刊行物です。

近年ではインバウンド消費(訪日外国人観光客の消費行動)に関するデータの比重が高くなっており、2020年の東京オリンピックに向けた訪日外国人観光客に関する情報が数多く掲載されています。

観光白書の内容・概要


そもそも「白書」とは?

白書(はくしょ)とは、政府・省庁が

  • 所管行政分野の政治社会経済の実態
  • 政府の施策についての現状分析と事後報告

これらを国民に周知させることを主眼とする公表資料です。

観光白書のあらまし

「観光白書」が公表されるようになったのは、1963年(昭和38年)に白書の刊行が明示された「観光基本法」が制定されたことに始まります。

当初は、総理府に設置された「観光対策関係者省庁連絡協議会」が編集、「大蔵省印刷局」から刊行されました。観光振興には、そのアプローチの多角さから多数の省庁の行政が関連するため、総理府管轄の協議会にて取りまとめられました。

現在の観光白書

観光白書には様々な数値データやグラフが並ぶ

観光白書には様々な数値データやグラフが並ぶ

現在の「観光白書」は、観光行政に最も深く関わる国土交通省が編集し、株式会社コミュニカが刊行しています。

観光立国推進基本法第8条の規定により、毎年6月に

  • 「前年度の観光の現状」
  • 「今年度の観光政策」

の2部構成で、日本の観光に関する情報を取りまとめ、国会に提出しています。

「観光の現状」では、前年度における観光政策の新たな展開、観光の現状、観光地の形成、人材の育成、国際観光の振興、観光振興のための環境整備といった項目が取り上げられています。

また、「観光政策」でもほぼ同一の事項についての今後の取組に関して取り上げられます。

「観光白書」には、上記でも触れているように、観光の現状と観光関連の政府の施策を把握することが出来ます。近年ではインバウンド系の内容の割合が徐々に増えており、観光関連事業者や訪日外国人を対象としたビジネスをする人にとっては必読の書類となっています。

例として2015年の観光白書の内容を見てみましょう。

2015年度(平成27年度)観光白書

大きく内容を区切ると「平成26年度 観光の状況」(上記で言う所の「前年度の観光の現状」)と「平成27年度 観光施策」(上記で言う所の「今年度の観光政策」)に別れます。

それぞれを見ていくと

「平成26年度 観光の状況」は3部構成で、

  1. 平成26年度 観光の動向
    • 第1章 世界の観光の動向
      • 世界的な観光についてマクロな視点で取り上げる
    • 第2章 日本の観光の動向
      • 日本国内の観光について、日本人による国内&海外旅行と外国人による訪日旅行や、地域ごとの観光状況について取り上げる
  2. 拡大するインバウンド消費と変貌する産業・地域
    • 第1章:近年のインバウンド消費の現状
      • 訪日旅行客によるインバウンド消費についてどこで・どんなものを・どんな決済手段で買っているのかを分析
    • 第2章:インバウンド消費拡大の要因
      • 訪日外国人によるインバウンド消費が何故増えてきているのかを多角的に分析
    • 第3章:インバウンド需要を取り込み変貌する産業・地域近年のインバウンド消費の現状
      • インバウンド需要の増加によって、訪日外国人を取り込むための施策について、業界・地域を軸に紹介
  3. 平成26年度に講じた施策
    • 第1章:「2020:年オリンピック・パラリンピック」を見据えた観光振興
      • 東京オリンピックに向けたプロモーションや空港・wifi(無料公共無線LAN)をはじめとした訪日外客の受け入れ体制強化について取り上げる
    • 第2章:インバウンドの飛躍的拡大に向けた取組
      • 民官がどのように足並みをそろえてインバウンド消費の拡大を狙っていたかについて取り上げる
    • 第3章:ビザ要件の緩和など訪日旅行の容易化
      • 外国人が日本に来やすくするために行った施策としてのビザ緩和などについて解説
    • 観光白書には事例紹介も豊富

      施策や事例についても豊富

      第4章:世界に通用する魅力ある観光地域づくり

      • 訪日外国人に対して、どのように魅力のある観光地域づくりを行ったか、またどのようにその魅力を発信していたかについて取り上げる
    • 第5章:外国人旅行者の受入環境整備
      • 多言語対応やwifi(無料公共無線LAN)の拡大などをはじめとした、外国人旅行者を受け入れるために行った環境整備について、電車・バス・タクシーといった交通機関や宿泊施設、ショッピングセンターの取り組みを解説
    • 第6章:MICE:の誘致・開催の促進と外国人ビジネス客の取り込み
      • MICE(企業などの会議やセミナー、報償・研修旅行、国際会議や総会・学会、展示会・見本市・イベントなどのビジネスと関わりがあり多数の人の移動を伴う行事)の誘致にあたって、訪日ビジネス客とからめて説明
    • 第7章:観光旅行の環境整備
      • 例えば、訪日中に地震がおこったときにどうするのか?といった旅行生活中におこりうるさまざまな障害について、バリアフリー化を進めた事例について紹介

そして「平成27年度 観光施策」は1部構成で

  1. 平成27年度に講じようとする施策
    • 第1章:インバウンド新時代に向けた戦略的取組
      • 四季をウリにしたマーケティング戦略やクールジャパン戦略からオールジャパン体制への推進にともなう連携強化について取り上げる
    • 第2章:観光旅行消費の一層の拡大、幅広い産業の観光関連産業としての取り込み、観光産業の強化
      • 買い物、食、体験を軸にしたインバウンド消費拡大戦略について取り上げる
    • 第3章:地方創生に資する観光地域づくり、国内観光の振興
      • 東京や京都、大阪といった主要観光都市だけではなく、どうやって地方にも巡回してもらうか、という課題のもと、観光地域づくりや交通アクセスに関する施策について取り上げる
    • 第4章:先手を打っての「攻め」の受入環境整備
      • 「いっぱい訪日観光客が来てこんなことが困った」などが起こらないように、例えば案内標識の多言語対応や、交通機関の複雑さなど、すでに見えている課題についての先手を打った取り組みについて説明
    • 第5章:外国人ビジネス客等の積極的な取り込み、質の高い観光交流
      • 「訪日外国人」には、もちろんのことビジネス目的の訪日外国人も含まれるので、MICEを主軸においた国際的なビジネス取り込みについて取り上げる
    • 第6章:「リオデジャネイロ大会後」、「2020年オリンピック・パラリンピック」及び「その後」を見据えた観光政策の加速
      • 東京オリンピックに向けたプロモーションや施策、またその経済効果について触れつつ、オリンピックという謂わば「お祭り状態」以降のインバウンド施策についても言及
    • 第7章:観光旅行の環境整備
      • 日本人・外国人にかかわらず、バリアフリーをはじめとした観光旅行をする上での環境整備について取り上げる

といった内容になっています。

政府が観光振興に本格的に取り組むようになったのは、国土交通省の外局として2008年に観光庁が設置されてからです。

しかし、2020年の東京オリンピックを控え、インバウンド観光が年々飛躍的に増加しつつある現在では、観光振興・観光ビジネスを行う上で観光現象を読み解くことは必須であり、そのための統計資料として観光白書は役立ちます。

白書を読めば明らかですが、現在の観光統計は製造業など他の産業分野と比べると遅れており、国土交通省としては、緊急に整備が必要なものとして、宿泊統計、外国人旅行者に関する消費額調査を挙げています。

 

観光白書の発行頻度・タイミング


年1回、毎年6月頃

 

観光白書の発行元


国土交通省

 

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