中国で有名な紫禁城

中国で有名な紫禁城

“爆買い”という流行語が現れるほどに存在感を放っている訪日中国人観光客。日本国内でも大きな注目が集まっており、彼らに関するニュースやコラムを目にする機会は少なくありません。訪日する外国人を意識したインバウンドビジネスにおいては、無視できない存在となっています。

団体で訪日し、日本製の家電製品や化粧品、医薬品を豪快に購入していく。そんな姿が報じられるようになったのはここ数年のことですが、中国では日本の製品、観光地に関するWebコンテンツや本が多数登場している影響もあり、すでに旅行スタイルには変化が現れているとも言われています。

こちらの記事では訪日する中国人観光客の特徴について解説していきます。彼らはいったい何を求めて、日本に訪れるのでしょうか。そして、今後どう変わっていくのでしょうか。

 

中国人観光客の特徴とは

訪日する中国人観光客の特徴としてよく知られているのは、「爆買い」をすること。日本だけでなく、世界各国の観光地ででこのような光景が見られると言います。この裏側にはメンツや意地を重んじ、家族や親族、圏子(チュエンズ/同様の経済力、ライフスタイル、価値観などを持つ仲間)を大切にする心理があります。大量のおみやげを購入し、それらの人々にプレゼントすることで、自他のメンツを立てているのだと言われています。

中国経済は1980年代以降、急速な発展を遂げており、日本を訪れる中国人観光客の中には、一般的な日本人よりもはるかに金銭的な余裕を持つ富裕層がたくさんいます。そのため、おみやげなどの爆買いがビジネスチャンスとして注目されていますが、日本独自の文化、サービスに関心を持っている人々もおり、今後のインバウンドマーケティングの動向に影響する可能性があります。

そのほかの中国人の性格特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 強い行動力を持ち、団体行動はあまり得意ではない
  • 特別なもてなしをされるのが好き
  • 親しい人に対してはとても親切だが、無関係な人には冷たい
  • 頑固なところがあり、自分の言い分をなかなか譲らない

国土の広い中国だけあって地域差も大きく一概には言えませんが、日本人よりも強気で、自分の意志を通そうとする人が多いとされています。

 

中国人観光客のキーワードは「初来日」「団体旅行」「買物が目的」

費目別にみる 訪日外国人1人当たり旅行支出(平成 27 年 10~12 月期)

費目別にみる
訪日外国人1人当たり旅行支出(平成 27 年 10~12 月期)

日本を訪れる中国人は20~40代までの比較的若い層が大半で、男女比では女性が約6割を占めています。滞在日数は4~6日間が約半数を占め、3日間以下の短期、14日間以上の長期日程はあまりありません。2月に春節(旧正月)、10月に国慶節という大型連休があり、これらの期間に旅行する人が多いようです。

日本への来訪回数(平成27年10~12月期)

日本への来訪回数(平成27年10~12月期)

旅行手配方法(平成27年10~12月期)

旅行手配方法(平成27年10~12月期)

仕事のためにやってくる人は全体の1割程度で、観光やレジャーを目的としている人が大半。また、初めて日本を訪れる人や団体旅行者、家族や親族と同行する人が多いのも特徴です。

訪問先は東京都や千葉県、大阪府、京都府、愛知県が多く、買物に多額を費やす傾向があります。ドラッグストアや空港の免税店、百貨店などを利用する事が多く、日本製の家電やブランド品、化粧品などに強い関心を持っています。購入品で多いのは化粧品や香水、菓子類、衣料品など。日本製の炊飯器や魔法瓶なども高い人気を集めています。

 

爆買いの次は、ディープな旅行スタイルが流行か

各国の平成27年(2015年)の旅行支出

各国の平成27年(2015年)の旅行支出

爆買いという言葉で表現されるように、中国人観光客はその他の国や地域と比べて、買物代がずば抜けて多くなっています。観光庁が公開している平成27年(2015年)の訪日外国人消費動向調査では、1人あたり約16万円も買物に使用しているという結果が出ています。

1週間未満の比較的短期間の滞在が多く、歴史や文化の体験よりも買物を目的とする観光客が多いのは、アジア各国に共通する点。しかし、台湾や香港、ベトナムなどからの観光客の買物代は6~7万円程度で、中国の半分以下となっています。

また、観光ビザの発給条件が次第に緩和されていることから、個人旅行する人が増加しています。それにより、今後は「深度遊(個人的な趣味趣向にフィットするディープな目的、テーマを持った旅行)」が流行し、リピーターも増えるのではないかと予想されています。

 

温泉やグルメ、日本の四季が味わえるスポットにも注目!

中国人が海外を自由に旅行できるようになったのは比較的最近のことで、ビジネスや留学を除けば、決められたルートをまわっていく団体旅行が一般的でした。そのため、今でも日本観光では東京大阪間の観光地に行き買い物するルートが主流とされています。

しかしながら、現在はそのような定番観光地以外の地域に訪れるケースも現れており、旅行スタイルは多様化しています。たとえば、中国のポータルサイト「捜狐(ソーフー)」に掲載された記事では、さまざまな日本観光の見所を紹介。中国文化の影響を受けた寺社仏閣がある京都府やテーマパーク、温泉、グルメに加え、日本の四季が味わえる桜、花火、紅葉なども取り上げられました。買物できるモノだけでなく、体験やサービスで日本を楽しもうと思っている人たちも多くなっているようです。

スイスの金融機関「UBS」が行った調査では、日本が「中国人観光客が再び訪れたい場所」の1位に選出。半年以内に日本を訪れた中国人の約半数が、1年以内にもう一度日本に旅行する予定があるという結果になりました。日本のファンになった観光客が、二度三度と訪日するケースも増加していきそうです。

 

まずはネットで評判をチェックするのが一般的な買物スタイル

中国人観光客が買っていくおみやげで、人気のあるものはいったいどんな商品でしょうか。

以前、中国人観光客のあいだでは炊飯器、魔法瓶、温水洗浄便座、セラミック包丁が「四宝」と呼ばれ、日本で買うべき定番商品とされていました。これらの製品が売れた背景には日本製品の品質に対する信頼の高さがあります。換言すれば、自国の製品が信頼できない、性能が低いから売れているというわけです。

海賊版製品が出回っている中国ではSNSの口コミなどを参考にして買い物することが少なく、「日本で買うべき商品」などのWebコンテンツも多数存在しています。なので、ネット上での評判は売れ行きを大きく左右します。

そのような状況下で売れているのが、中国でも認知度の高い「雪肌精」(コーセー)や無印良品の服飾品など。また、Web上で人気を集めた「龍角散ダイレクト」(龍角散)などの医薬品、健康商品も人気を集めています。

 

中国人観光客の情報源は?

中国人観光客の中には、購入するアイテムのリストを作っている人が少なくありません。その際の情報収集に使用されているのは旅行関連の本やネット上の口コミなど。日本の化粧品や医薬品、健康商品、家電製品などの使い方や効果、性能などを丁寧に解説する記事も読まれています。

ここでは人気を集めているSNS、ポータルサイトを紹介していきましょう。

中国ではTwitterやFacebookなどのSNSは使えませんが、代わりに類似の国内サービスが存在しており、多くのユーザーを獲得しています。LINEやTwitter、Facebookと比べて多機能なものが多いのが特徴で、その機能を一言で説明することは困難です。大まかに解説してみましょう。

新浪微博(シナウェイボー)

新浪公司が運営する、微博(中国語でミニブログの意)。短文を投稿できるTwitterのようなWebサービスです。5億を越える個人アカウント、100万を越える企業アカウントが登録されています。

他社による同様のサービスも存在しますが、中国国内では「微博」というとそのまま同サービスのことを指すほどの人気を獲得しています。現在は「新浪微博」から「微博」に名称を改めています。

微信(ウィーチャット)

騰訊(テンセント)が運営するインスタントメッセンジャーアプリ。「LINE」「カカオトーク」のような機能に加え、モバイル決済機能も備えています。登録ユーザー数は5億以上。

騰訊QQ(テンセントQQ)

微信と同じく、騰訊が運営するインスタントメッセンジャーサービス。中国国内で最も使われているコミュニケーションツールだと言われています。2014年の公式発表によれば、アクティブユーザー数は約8.3億人。

メッセンジャー機能に加え、音声チャット、ビデオチャット、コミュニティ機能などを持っています。さらにGoogle Driveのようにデータを共有する機能などもあり、プライベートだけでなく、仕事でもよく利用されています。

人人網(レンレンワン)

「人人網」はFacebookの機能を踏襲した、完全実名制のSNS。中国版Facebookとも呼ばれています。1億人以上の中国人に利用されていますが、競合サービスに押され、影が薄くなってきています。

中国では、以下のサイトが4大ポータルサイトと呼ばれています。

  • 捜狐(ソーフー)
  • 新浪(シナ)
  • 網易(ワンイー)
  • 騰訊(テンセント)

また、検索エンジン市場で世界第2位のシェアを誇る「百度(バイドゥ)」も利用者の多いポータルサイトとして知られています。Yahoo!のようにTOPページでニュースを紹介する上記の4サイトと違い、Googleのようなシンプルな構成になっています。

 

国際的な旅行博はアピールのチャンス

日本では「ツーリズムEXPOジャパン」などの観光情報、旅行関連用品を集める国際観光見本市が開かれていますが、同様の催しは中国でも行われています。数万から数十万人が来場する大規模なものを紹介します。

上海世界旅行博覧会(WTF)

  • 2016年スケジュール
    • 業界関係者・メディア公開日:5月19~20日
    • 一般開放日:5月20~22日
  • 予定出展数:750団体以上
  • 日本パビリオン出展者数:24団体(2015年)
  • 来場者数:5万人以上(2015年)

北京国際旅遊博覧会(BITE)

  • 2016年スケジュール
    • 業界関係者公開日:5月20日
    • 業界関係者、一般公開日:5月21~22日
  • 予定出展数:987団体以上
  • 来場者数:約12万5000人(2015年)
  • 日本パビリオン出展者数:18団体(2015年)

中国(広東)国際旅遊産業博覧会(CITIE)

  • 2016年スケジュール
    • 9月9日~11日
  • 来場者数:50万人(2014年)

 

中国人の食文化

食習慣が日本と異なり、中国では冷たい料理は縁起が悪い、体に悪いとされており、好まれていません。そのため、冷めてしまったお弁当は温めて、ビールなどの飲み物は常温で出すべきだとされています。また、地域による食文化の差が大きく、味の好みも異なります。自分の好きな味に調整できるように、さまざまな調味料を用意しておいたほうがよいかもしれません。

しかし、自国にはない食文化を楽しみに訪日している観光客の場合、日本風のやり方で提供したほうが喜ばれる可能性もあります。中国人観光客の中には海外の料理に慣れている富裕層も多く、対処法はケースバイケースといったところでしょう。

 

中国人観光客に対するマナー

中国にはもてなす側が食べきれないほどの料理を出し、もてなされる側は少し残すことで満足の意を表すという習慣があります。盛り付けは多めにしたほうが喜ばれると言われています。また、中国では箸に加え、レンゲで食事をとるのが一般的。日本のものとはサイズや形状が少し違いますので、用意をする場合はご注意ください。

食習慣に近いところになりますが、中国にはお酒は1人ではなく複数人で楽しむ習慣があります。もし中国人観光客からお酒を勧められたとしたら、それはおそらく交流の一部として行っているものなので、断らないほうが喜ばれるでしょう。

 

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