「100万ドルの夜景」で知られる香港

「100万ドルの夜景」で知られる香港

香港は中国の特別行政区ですが、インバウンドマーケティングを行ううえでは同国とは別途対応が必要な地域です。歴史的な事情からイギリスの強い影響を受けており、香港人は中国とは異なる習慣、感性を持っているためです。

中国人のように「爆買い」してお金を使うわけではありませんが、香港には何度も日本に足を運んでいるリピーターが

たくさんいます。情報に明るく流行に敏感なため、彼らの行動を中国人が参考にしていることも多々あります。訪日観光客の需要を取り込むことを検討しているならば、決して見逃せない存在といえるでしょう。

香港人の国民性、性格の特徴とは

中国の特別行政区である香港の人々は大陸部の中国人とは異なる文化、国民性を持っています。これには長きにわたってイギリスの植民地だった歴史的な背景があります。まずは、香港の今日に至るまでの歩みを紹介しましょう。

19世紀からイギリスの植民地に

1839年、清朝(当時の中国の王朝)とイギリスのあいだでアヘン戦争が勃発。1842年に締結された南京条約によって、現在の香港の一部である香港島はイギリスに割譲されました。以降、香港は資本主義国家である同国の植民地になり、貿易拠点として発展していきます。

そのおよそ100年後に起こった太平洋戦争では、日本軍がイギリスの支配下にあった香港島を攻略(香港の戦い)。約3年半のあいだ統治を行いましたが、第二次世界大戦が終了した1945年から再びイギリスの植民地に戻ります。

中国に主権が移譲された後も社会主義政策は実施されず

第二次大戦後、中国はイギリスに対して香港の主権移譲を求めていましたが、1946年に第二次国共内戦(国民党と共産党の対立による内戦)が生じ、まともに交渉できる状態ではありませんでした。

この戦いで勝利した共産党によって成立したのが現在の中国(中華人民共和国)です。共産党政権に反発した人々、資本が香港に流れ込み、その後の経済発展に繋がったとも言われています。

香港の主権が中華人民共和国に移譲されたのは、1997年のこと。しかし、2047年までは社会主義政策が実施されないことが約束されています。

このような歴史的な経緯から香港は中国の一部であるにもかかわらず、資本主義経済を持つ特異な地域となっています。訪日する際の観光スタイルも大陸部に住む中国の人々とは違うため、インバウンドマーケティングを行ううえでは別途対応する必要があるでしょう。具体的な性格、国民性の特徴は以下の通り。

  • 植民地としての歴史が長く、中国人としてのアイデンティティは弱い
  • 自他の国の文化や歴史への関心が弱い一方で、エンターテイメントなどへの関心は強い
  • 自立心が強く、周囲の意見に左右されない。好みがはっきりしている
  • 無表情で冷たい印象を受けるが、世話好きな一面もある
  • 個人主義的な考えを持つ
  • 損得勘定をする反面、好きなものにはしっかりお金を使う
  • せっかちで、気が強い

せっかちで気が強く、イエス・ノーがはっきりしているのは中国人同様ですが、同国民としてのアイデンティティが弱く、個人主義的な感覚を持っています。また、自国が長年にわたって植民地支配されていたことから、文化や歴史に対する関心が低いのも香港人の特徴のひとつ。逆に流行には敏感で、日本のファッション、J-POPなどのファンも多いと言われています。

訪日香港人観光客のキーワードは「リピーター」「個人旅行」

 

国籍・地域別の訪日外国人旅行消費額(2015年)

国籍・地域別の訪日外国人旅行消費額(2015年)

外国人観光客の訪日回数(2015年)

外国人観光客の訪日回数(2015年)

訪日外国人の年代(2015年)

訪日外国人の年代(2015年)

香港人は海外旅行好きだと言われており、日本も人気のある旅行先のひとつです。日本に初めて訪れる訪日香港人観光客は全体のわずか20%程度で、約15%は日本に10回以上訪れているリピーターです。観光庁が発表した訪日外国人に関する2015年のデータでは、旅行消費額が韓国に次ぐ第4位、全体の約7.5%を占めています(約3兆5000億円のうち、2627億円)。

個人主義的な傾向が強いこともあり、団体ツアーの利用率は低く、航空券や宿泊券を個別手配して家族や親族とともに訪日する人が多いのが特徴。比較的成熟した個人旅行市場があると言われています。

旅行者の半数は20~30代の比較的若い人々ですが、40~50代の旅行者も少なくありません。男女比は男性が48.8%、女性51.2%と、女性が少し多めです。旅行日程は4~13日間がほとんどで、3日以下の訪日旅行を行う人はあまりいません。中国のように2月頃に春節(旧正月)、10月に国慶節の長期休暇に加え、キリスト教徒が多いため、イースター(復活祭)、クリスマス休暇もあります。

アジアからの訪日観光客は総じて買物に多額を費やす傾向があるのですが、香港人はそのなかでもやや高く1人あたり約7万円を買物代として使っているというデータがあります。1人あたりの旅行支出の総額は約17万円で、全国籍、地域の平均額とほぼ同額です。

香港人観光客はグルメで好奇心旺盛!

香港は亜熱帯に属し、日本ほどはっきりした四季がありません。そのため、雪や桜、もみじなどの四季が感じられる自然を楽しみに訪日する観光客が多いと言われており、農業体験やハイキング、エコツアーも人気があります。また、食べ物では生食できる新鮮な海産物、繊細な味が楽しめるフルーツなどを喜ぶ人も多いようです。自国で日本料理を食べ慣れている人も稀ではなく、それよりもおいしい日本の食べ物を求めています。

都道府県別の訪問トップ5は大阪府、東京都、千葉県、京都府、沖縄県。好奇心が強い人が多く、自分が参加できる体験やサービスを求める傾向があります。

香港人観光客に評判の良かったJNTO(日本政府観光局)のPR活動のひとつに「a different Japan Rail & Drive」というものがあります。香港人向けに「ドライブ旅行」「鉄道旅行」をテーマにした訪日旅行番組の放映を行うものなのですが、これにより旅行者が急増したと言われています。日本人が国内旅行をする際のように、レンタカーを利用して移動するケースも多いようです。

人気のお土産はおいしい食べ物や日本のエンターテイメント、ファッション系商品

香港人観光客のなかには何度も訪日しているリピーターが多く、買物は他人より自分のためにする傾向があります。特にファッションやエンターテイメントに関する日本情報に詳しい人が多く、自分の好きなブランド品のセールに合わせて旅行日程を組むケースもあります。はっきりとした個人の好みを持ちやすい国民性もあり、旅行前に欲しい商品が決まっていることも少なくありません。

日本に比べると香港の食べ物はあまりおいしくないと言われており、同国には無かったり、高くて手が出なかったりする食べ物が人気のあるお土産になっています。また、日本のエンターテイメントが好きな香港人の場合、日本でしか手に入らないキャラクターグッズなどを購入していくことも多いようです。

  • タラバがに
  • 高級感のあるプリン
  • カステラ
  • あまおう(福岡県のブランドいちご)
  • 好きなファッションブランドの商品
  • 香港では手に入らない限定キャラクターグッズ(ご当地ものなど)

最も多く利用されている購入場所は百貨店、デパート。中国人に人気のあるドラッグストア、コンビニなどもよく利用されますが、空港の免税店はそこまで利用されません。

訪日香港人観光客の情報源

JNTOによるWebサイト

JNTOによるWebサイト

訪日するにあたっての情報収集にはJNTO(日本政府観光局)のWebサイトを使う人が最も多く、そのほかには旅行専門誌や個人ブログなどがよく利用されています。国外の情報に明るい人が多く、日本人以上に日本のことを知っていることも少なくありません。

そのほかの情報源としてはポータルサイト、SNSなどが使われていますが、いったい何が流行っているのでしょうか。香港で利用者の多いSNSは以下の通り。

  • Facebook
  • Instagram
  • WeChat
  • WhatsApp Messenger

Facebook、Instagramは日本でも有名なので、「WeChat」「WhatsApp」に絞って解説しましょう。

WeChat

中国で人気を集めている無料のインスタントメッセンジャーアプリ。運営は中国の大手IT企業、テンセント(騰訊/Tengxun)が行っています。利用できる機能はチャットやビデオ、音声通話、翻訳、オンラインショップ、決済サービスなど。よく「中国版LINE」「中国版Facebook」と表現されますが、とかく多機能で一口で説明するのが難しいコミュニケーション用アプリです。

WhatsApp Messenger

2014年にFacebookが買収したアメリカ発のスマートフォン向けインスタントメッセンジャーアプリ。日本ではLINEのほうが有名で、使ったことのない人も多いのではないでしょうか。WhatsApp Messengerは西ヨーロッパを中心にユーザーを獲得していて、2015年4月には月間アクティブユーザー数(1ヶ月のあいだで1回以上利用した人数)が8億人を越えたことが発表されています。

また、人気のポータルサイトは以下の通りです。

  • Yahoo!雅虎香港
  • 新浪香港(シナホンコン)

Yahoo!は日本でもお馴染みですね。「新浪香港」は、中国で人気のあるポータルサイト「新浪」の香港版です。

美食家の多い香港の食文化とは

香港では昼食前の挨拶として「吃飯了馬(ご飯は済みましたか?)」が使われるほど、仲間とともに味わう食事が大切なものだとされています。美食家が多く、栄養バランスの取れた料理を好む傾向もあります。

本来温かくして食べるものが冷えていると、残り物のようなイメージを抱きます。ご飯や汁物は冷めないうちに提供すべきです。冷たいご飯を詰めたお弁当は、温めてから出したほうが喜ばれるかもしれません。また、冷たい水よりも温かいお茶やお湯を好む傾向もあります。これは香港の水道水が衛生面などの理由から飲めず、一度沸騰させてから飲むのが一般的なためです。

以下にそのほかの香港人の食事スタイル、食文化を箇条書きでご紹介します。

  • 中国同様、レンゲと箸を併用する
  • 食事、飲酒のシーンを明確に分けている人が多い
  • 夕食後、さらに夜食を食べる習慣がある
  • 食前にお茶で食器を洗う習慣がある(衛生的な不信感から始まったと言われています。高級店では行われません)

中国風で欧米風な香港の食事マナー

中国の一部でありながらイギリスの影響を深く受けている香港のマナーは、あるところでは中国風で、またあるところでは欧米風です。日本人と異なるところも多く、インバウンドビジネスを行う際には注意が必要です。今回は食事のマナーに絞ってご紹介します。

食事中の喫煙を嫌がる

中国人はタバコ好きが多いのですが、香港では欧米のように分煙が徹底されています。

食事の済んだテーブルをあえて汚くする

食後のテーブルの上に食べかす、ぐちゃぐちゃにしたナプキンを置く習慣があるため。「きれいにするほど余裕が無いほど、食事を堪能した」という好意的な表現だと言われています。家庭やレストランでは使い捨てのテーブルクロスを使っている場合もあります。

食器を持たずに食べる

箸、レンゲを両手に持ちながら食べるため、手が空かない。例外的にご飯茶碗は手で持ちます。

チップを支払う習慣がある

長くイギリスの植民地だったため、一部欧米風の習慣が残っています。

食事中の料理の取り分け、お茶くみをする

こちらもイギリスの影響で、レディーファーストの文化だと言われています。

香港で開催される主な旅行博

香港で開催される主な国際旅行博は以下の通りです。

香港国際旅行展示会(ITE)

  • 2016年のスケジュール
    • 6月16日~19日開催
    • 来場者数8.7万人(2014年実績)

 

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