オリンピックを2年後に控える 今こそ語るべき『なぜこんなにも外国人観光客が増加しているのか?』:5つの要因を徹底解説/オリンピックが起爆剤じゃない!?

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2017年の訪日外国人客数は、前年比19.3%増の2,869万人と5年連続で過去最高を記録しました。さらに、このままのペースで訪日外国人が伸び続ければ、2020年には政府が掲げている目標の4000万人を上回る4,517人になると、みずほ総合研究所が予想しています。

他にも、2020年には東京オリンピックの開催が控えており、外国人が増えているのはオリンピックの影響なのではないかという声もあります。

しかしながら、訪日外国人が増えているのは本当にオリンピックが原因なのでしょうか?そこで今回は、訪日外国人が増えている理由について各種データを元に解説していきます。

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訪日外国人が増えている主要な理由はオリンピックではない?

2020年の東京オリンピックまで2年と差し迫ってきました。東京オリンピックに向けてホテルや施設の建設が急ピッチで進んでおります。そんな中、「オリンピック効果で訪日外国人が増えている」と考えられがちですが、果たしてそれは正しいのでしょうか。

例えば、前回のブラジルでのオリンピック。開催が決まった際に、「オリンピック前にブラジルに観光へ行こう」とはならなかったと思います。確かに、オリンピックの開催が決まることによって世界からの日本の認知度が上がったかも知れませんが、訪日外国人が増えているメインの原因とはつながらないと考えられます。

訪日外国人が増えている本当の理由とは?

それでは、訪日外国人が増えている本当の理由とは一体何なのでしょうか。インバウンド市場がここまで急成長したのには5つの理由があります。解説していきましょう。

訪日外国人が増えている本当の理由 その①:LCCが増加し、渡航費が安くなっている

1つ目はLCCが増加し、渡航費が安くなったことにより、コスト的に訪日旅行がしやすくなったことです。

2014年にはマレーシア、フィリピン、シンガポールで日本直行便LCCが就航しました。その結果2015年〜2016年の間で、マレーシアからの訪日外客数は前年比29.1%増、フィリピンでは29.6%増、シンガポールでは17.2%増でした。このように、LCCによる日本への直行便が増えた国では、訪日外客数が増えている傾向があります。

訪日外国人客によるLCC利用率

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韓国では6割超 アジア圏の訪日客の間で高いLCC利用率 訪日客数の増加とも影響する?改めて考える「LCC」と「インバウンド」の関係性

近年、FSA(Full Service Airline:ANAやJALなど従来の代表的な航空会社)に比べてフライトの料金が安いことから、世界中でより多くの人が LCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)にて旅行する ようになっています。日本のインバウンド市場においても、 特にアジア圏の訪日外国人観光客を中心にLCCで訪日する人が増えており、 LCC市場の動向とインバウンド市場は切っても切り離せない関係になってきています。観光庁では、訪日外国人消費動向調査のトピックス分析におい...

訪日外国人が増えている本当の理由 その②:ビザ緩和

2つ目の理由はビザ緩和の影響で以前より日本へ入国しやすくなったことです。

政府は、訪日外国人数を増やすためのビザの発給要件の緩和を実施しています。特に近年、経済的成長著しいASEAN諸国に目を向けており、2013年、ASEAN友好協力40周年を契機に、ASEAN諸国を中心にビザ免除や緩和などの一連の措置を日本政府が実施しています。

具体的には、2013年7月1日からタイ及びマレーシアのビザ免除、ベトナム及びフィリピンの数次ビザの導入、インドネシアの数次ビザの滞在期間の延長、11月18日からカンボジア及びラオスの数次ビザの導入、2014年1月15日からはミャンマーの数次ビザの導入を実施しています。

その結果、日本政府観光局JNTO)の統計によると、ビザ緩和を実施したASEAN諸国からの訪日外客数の伸びが見られるなど、これらの措置には一定の効果がありました。さらに、ビザ免除となった2013年の翌年である2014年のタイからの訪日者数は20万人近く増え、45万人と過去最高を記録しています。

外務省HP:外交青書・白書 第4章 国民と共にある外交より引用

外務省HP:外交青書・白書 第4章 国民と共にある外交より引用

訪日外国人が増えている本当の理由 その③:アジア諸国の経済成長

3つ目の理由は、アジア諸国の経済成長により消費力が増えたことで海外旅行という選択肢が増えたことです。

アジア開発銀行(ADB)が発表している報告書『アジア経済見通し2017年』によるとアジア途上国は、外需や国際的な一次産品価格の回復および各国の国内改革に支えられ、その3分の2以上の経済が上向きであり、アジア地域が世界の経済成長の60%を占め、最大の牽引力となっているとされています。

さらにアジア経済に関しては、2017年も力強い成長が続いたと考えられ、アジアの2017年の成長率は5.6%程度に達した模様で、2018年には5.5%の成長が見込まれています。

このようにアジア圏諸国の経済成長は続いており、人々の生活も豊かになるに連れて、海外旅行という選択肢も増えてきていると考えられます。そのため、日本への訪日外客数が増えていると考えられます。さらに日本に訪れている外国人の8割はアジア諸国のからの訪日外国人。アジア諸国が経済成長をすれば、海外旅行に行く人達が増えて、日本にも訪れる訪日外国人が増えています。

訪日外国人が増えている本当の理由 その④:為替の影響

4つ目の理由は為替の影響です。

2018年現在では多少円安傾向にありますが、2015年は円安がかなり進んでおり、訪日外国人にしてみれば、安く買い物ができたり、アクティビティーが楽しめたりすることができました。

事実、2015年は中国人による爆買いがあったように、多くの中国人が日本に押し寄せ、消費をしていきました。2016年以降は、円高傾向にあり、中国人の伸び率は少し減りました。このように円安になると日本での消費が安く済むので、日本への訪日外国人が増えると考えられます。

訪日外国人が増えている本当の理由 その⑤:海外旅行の世界的ブーム

5つめの理由が世界的な海外旅行ブームが到来しているということです。

最新のUNWTO 世界観光指標によると、2017 年の国際観光客到着数(海外旅行に行った人々の数)は、昨年に比べて7%増の成長により、世界全体で13 億2,200 万人に達しました。7%増という数字は過去7年間で過去最高の伸び率でした。このように世界的にも海外旅行ブームが来ており、さらに「2018年に訪れるべき18の場所」の1つとして 「長野県」が認定されました。他にもUNWTOの世界観光ランキングによると2014年は22位で2016年には16位と順位を上げています。このように世界的に海外旅行がブームであり、さらに世界から日本旅行が注目されている影響もあるでしょう。

観光庁平成28年版観光白書:【第Ⅰ部】平成27年世界の観光の動向より引用

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まとめ:今後も日本のインバウンド市場は安泰か?外国人が増えているのはオリンピックの影響というよりも外部的な要因に原因がありそう。

  1. LCCによる直行便の増加
  2. ビザ緩和
  3. アジア諸国の経済成長
  4. 為替の影響
  5. 海外旅行の世界的ブーム

これらの要因で日本に訪日外国人が増えているということを考えると、外部的な要因が締めています。これらの要因がこのまま変わらなければ、訪日外国人が今後も増えていく傾向にあるのではないかと考えられます。しかしながら、外部要因は常に変わるもの。常にこれらの要因に注目し、訪日外国人の受け入れ体制を整えていくことが大切になるのではないでしょうか。

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<参考> - https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/today/rt180214.pdf - http://unwto-ap.org/wp-content/uploads/2018/01/press-release-final1.pdf - https://honichi.com/news/2017/09/12/foreignarrivalstop10countries/ - https://honichi.com/news/2017/12/13/roomexcess/ - https://goo.gl/XZyj94

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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