訪日外国人旅行全般のことを「インバウンド」といいます。

そもそもインバウンド(inbound)とは「入ってくる、内向きの」という意味の英語の形容詞です。そこから転じて、日本から見た時に外から内に入ってくる旅行、つまり訪日外国人旅行を指すようになりました。海外旅行はアウトバウンド(outbound)といいます。

インバウンド関連用語

関連する用語としては、以下があります。

  • インバウンド消費(インバウンドしょうひ)
    • 訪日外国人観光客ないし訪日外国人による日本国内での消費活動を指す用語。前述の訪日外国人客を表す「インバウンド」(inbound)と「消費」を組み合わせた造語。
  • インバウンド需要(インバウンドじゅよう)
    • インバウンド消費とほぼ同義。
  • インバウンド対策(インバウンドたいさく)
    • 前述のインバウンド消費やインバウンド需要を促したり、取り込んだりするために政府や企業がする施策全般。例えば、飲食店のメニューの英語化やフリーWi-Fi(フリーワイファイ)の設置などが考えられる。
  • インバウンド施策(インバウンドしさく)
    • インバウンド対策と同義。

インバウンドに関する社会的な流れ

「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」と「グローバル観光戦略」

「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」が2002年に閣議決定され、それをうけて、国土交通省は2002年に「グローバル観光戦略」を策定しました。

この「グローバル観光戦略」は、以下の4戦略から構成されています。

  • 外国人旅行者訪日促進戦略〜より多くの外国人の日本への来訪を促す戦略〜
    • 市場調査によって重点市場、海外ニーズ、PR手法等を見極め、その結果に応じた日本のイメージの確立とニーズに応じた旅行商品を開発する。さらに海外におけるPRや情報提供により旅行商品の販売を促進するとともに、査証取得(ビザ取得)の負担の軽減し、訪日外国人を増大させるために国際連携をする。
  • 外国人旅行者受入れ戦略〜訪日外国人観光客すべてに満足感を与える戦略〜
    • 訪日外国人観光客を受け入れるための環境を形成し(ウエルカム戦略)、国内外で適切な情報提供と訪日外国人観光客目線で交通機関の利便性を向上するとともに、国際競争力をもった魅力ある観光交流空間づくりをする。
  • 観光産業高度化戦略〜本戦略の目標達成に向けて観光産業を高度化していく戦略〜
    • 観光関連産業の意識転換を促進するため、新たな訪日外国人向けの事業の展開を図る事業者等に支援し、観光関連産業の連携を強化する。
  • 推進戦略〜本戦略を多様な主体が連携しつつ効果的かつ着実に推進する戦略〜
    • 上記の戦略の推進にあたって官民で連携し、円滑、強力に実施する。また、随時評価・再検討をしPDCAサイクルを回していく。

この中の「外国人旅行者訪日促進戦略」の一環としてビジット・ジャパン・キャンペーンが開始しました。

ビジット・ジャパン・キャンペーン

2000年代前半頃からの日本文化の世界的なブームを受け、政府は「観光立国」を掲げ「訪日外国人観光客1000万人」を目標とするビジット・ジャパン・キャンペーンを策定しました。

「グローバル観光戦略」を受け継ぐ形で、国土交通大臣が本部長となり、関係省庁および民間団体・企業が参加する「ビジット・ジャパン・キャンペーン実施本部」が2003年4月1日に発足。観光ビザの要件緩和や海外諸国での日本旅行の広報、国内における外国人旅行者向きインフラの整備などを推進しました。

このころ、日本ではインバウンド/アウトバウンドに格差がありました。2003年度では、訪日外国人観光客数が524万人に対し日本人の海外旅行者数が1,652万人と3倍の開きがあったため、この格差を是正するために、2010年までに年間1,000万人の訪日外客数を目標とされました。

YOKOSO! JAPAN WEEKS

「YOKOSO! JAPAN WEEKS」は、ビジット・ジャパン・キャンペーンで催されるイベントの中で最も大規模なものです。「YOKOSO! JAPAN」はビジット・ジャパン・キャンペーンのスローガンで、YOKOSO! JAPAN WEEKSは2005年より毎年行われています。

毎年1月後半から2月後半にかけての旧正月(春節)の期間、、冬の日本の魅力などを広報し、東アジアからの訪日外国人観光客の集客の拡大を狙ったものです。訪日外国人環境客に対する優遇・割引を国内の協賛企業に対し斡旋し、中国語、韓国語を始めとした各国の言語に対応するパンフレットの作成をすることで訪日外国人観光客が観光しやすい環境作りを行っています。

金融危機、リーマン・ショック、そして東日本大震災のショック

日本のインバウンドは、2009年は世界金融危機(2007年)やリーマン・ショック(2008年)による不況の煽りをうけ、679万人まで大きく落ち込み、さらに東日本大震災と福島第一原子力発電所事故(2011年)で更なる大打撃を受けました。

しかしながら、アベノミクスによる円安(2012年〜)が進んだことや格安航空会社(LCC)の就航拡大の影響により回復し、2013年にはビジット・ジャパン・キャンペーンの目標であった年間1000万人を超える年間1,036万人の訪日外客数を記録。その後も2014年は1341万人、2015年は記録を更新し1,973万7千人となり、45年ぶりに訪日外客数(インバウンド)と出国日本人数(アウトバウンド)が逆転しました。

これにより、東日本大震災が発生した2011年には、1兆円を割りこんだインバウンド消費も拡大し、2012年には、1兆円台を回復、2014年には2兆227億円に到達、2015年にはなんと3兆4771億円まで拡大し、4年間でおよそ3.5倍のインバウンド消費拡大記録しました。

今後のインバウンド

昨年2015年の訪日外客数1,973万7千人の記録をうけ、政府は2020年までの目標だった2000万人を上方修正、年間3000万人を目指す方向で27年度内で調整を行っている模様です。

しかしながら、今までの急激な訪日外客数増大の要因は、円安やLCCの台頭、訪日中国人の爆買いブームなどの外的要因が、その多くを占めていると考えられます。ですので、今後急激な円高が進んだ場合には、拡大のスピードが落ちかねません。

ですが、この3年で日本を訪れた3300万人の訪日外国人観光客は、日本のインバウンドにとって大きな財産となりうります。なぜならば、彼らが日本の素晴らしさを知り、彼らの知人に日本の素晴らしさを広めてくれたりリピーターになってくれたりすれば、2015年の訪日外客数2000万人という数字が一過性のものではなくなっていきます。そのためにも、2020年の東京オリンピックに向けてしっかりとしたおもてなしのインバウンド対策が、今後重要度を増していくのです。

 

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