インバウンドビジネスに大きな効果をあげるクルーズ船の功罪 アジアからの不正入国増加の一因として問題視も

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日本人利用率が低く、実感のない人が多いかと思われますが、現在、クルーズを使った旅行スタイルが世界的にブームになっています。

クルーズ船による外国人入国者数(概数):国土交通省より引用

クルーズ船による外国人入国者数(概数):国土交通省より引用

日本国内での利用者数は2015年に100万人を超え、インバウンドビジネスにも影響をもたらしています。訪日外国人観光客は航空機を使って空からやってくるのがメジャーですが、その一方でクルーズにより海からやってくる場合も少なくないのです。

政府は以前から「観光立国」に向けクルーズ利用者数の増加を図り、2020年に500万人を達成することを目指しており、その実現を目的に平成28年(2016年)9月9日、「官民連携によるクルーズ拠点形成 検討委員会」を設け、国内に国際クルーズの拠点を形成する方針を立てました。うまくいくと、クルーズの利用者数が数年以内に2015年の約5倍にまで膨れ上がる可能性があります。

クルーズ利用の活性化は、インバウンドビジネスにどのような影響をもたらすのでしょうか。また、それに伴い、どのようなトラブルの発生が予想されるのでしょうか。詳しく解説していきましょう。

 

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クルーズ船が世界的にブームになっているのはなぜ?

どうして今、クルーズを利用する訪日外国人観光客が増加しているのでしょうか。それについては、下記の記事で解説していますが、こちらでもざっくり説明しておきましょう。

20世紀半ば、早くて安い航空機が登場したことで、それまで大陸間の移動に使用されていた外洋客船の需要は一気に低下。テクノロジーの進歩による市場の大きな変化から、船は交通機関からレジャーへとシフトしました。クルーズ船の特徴はプールや映画館、カジノなどの娯楽施設を備えること。近年、船舶の大型化が進んで低価格で利用できるようになったこともあり、船旅は数十年ぶりに需要を取り戻しています。

アメリカのクルーズ利用者数は1990年から2012年までの約30年間で、およそ4倍に増加(3,50万人から13,50万人)。欧米でも2000年代半ばから急増を見せています。

 

クルーズ船により、アジア圏からの訪日外国人観光客が増加

インバウンドビジネスに対して、クルーズ船の活況による影響が大きいと言われているのは、中国、台湾をはじめとしたアジア圏からの訪日外国人観光客。欧米の訪日外国人観光客、訪日豪州人観光客が利用するケースもありますが、距離的に遠すぎるためか、こちらはあまり注目を集めていません。

クルーズ船の寄港増加すると該当の地域に訪日外国人観光客が押し寄せるようになり、沖縄県や福岡県など、アジア諸国に近い地域で成果を挙げています。沖縄振興開発金融公庫の発表によると、2015年、クルーズ船の寄港回数増などが追い風になり、沖縄県を訪れる訪日外国人観光客は大幅に増加。シティホテル、リゾートホテル、宿泊特化型ホテルといった種類の違いにかかわらず、主要ホテルの客室稼働率はおおむね80%を記録しました。

このようにクルーズ船はゴールデンルートから外れている地域にも、訪日外国人観光客の流れを作る効果があります。従来、インバウンドビジネスが難しかった地域にとって、大きなチャンスになる可能性を秘めています。

 

日本国内で失踪する不法入国者が現れるトラブルも

訪日外国人観光客を呼び込み、インバウンドビジネスを活性化させるクルーズ船。その一方で、対応を急がなければいけない問題も発生しています。

クルーズ船には数百~数千と航空機以上の乗客を載ることができ、日本では入国要件の緩和が行われています。日本に足を運びやすくなり、訪日外国人観光客が増加するメリットがあるのですが、旅行者が失踪するデメリットも。

たとえば、海外からのクルーズ船が数多く就航している長崎県では2015、16年の2年間で、出港時までに船に戻らなかった訪日外国人観光客が17人いることが確認されています。

不法滞在するために、日本旅行ツアーに参加する人も多いと見られています。このようなケースが特に多いと見られているのは、残念ながら、インバウンドビジネスで重要視されている訪日中国人観光客。不法就労が目的と見られ、入国管理が再び厳しくなる可能性もありえるでしょう。

 

まとめ:インバウンドビジネスに大きな影響をもたらすクルーズ船

世界的にブームになっているクルーズ船。2020年までに利用者数500万人を目指し、さまざまな対応が行われています。うまくいくと2015年時点に100万人以上いたクルーズ船利用者数が、約5倍にまで増加することになります。この実現のため、平成28年(2016年)9月9日に「官民連携によるクルーズ拠点形成 検討委員会」が設けられ、国内に国際クルーズの拠点を形成する方針が立てられました。

訪日外国人観光客の中でよく利用するのは、中国や台湾など日本に近いアジア圏。沖縄県では、クルーズ船寄港数の増加などにより、主要なホテルの稼働率が80%前後に到達し、インバウンドビジネスに良い影響をもたらしています。

その一方で、問題化しているのは不法入国。訪日外国人観光客の増加のために、入国審査が簡便化されたことが一因になっていると思われます。目的は不法就労と見られ、日本国内で問題視されています。今後、クルーズ船を利用する訪日外国人観光客が増加するにつれ、このような事例が多発するようになるかもしれません。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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