観光庁、旅行業や通訳案内士などの制度改変へ:60年ぶりの抜本的見直しに踏み出す

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平成28年(2016年)3月30日に「観光先進国」の実現に向け、政府が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」。ここで掲げられた「観光関係の規制・制度の総合的な見直し」に基づき、観光庁は同年10月4日、「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」を開催することを発表しました。

近年、報道などでも取り上げられているように、インバウンドビジネスの活性化の裏側で、是非が唱えられている民泊やツアー客を乗せたバスの事故といった問題が発生。制度の見直しによる対応が急がれていることを背景に、有識者を交えた検討会が行われることが決定しました。

今回は、この「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」で話し合われる内容、それによって変化すると観光関係の制度についてご紹介します。

 

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明日の日本を支える観光ビジョン構想会議とは?:2020年に向け包括的な施策を発表

日本では、2013年から2016年までの3年間で訪日外国人観光客数が倍増し、約2000万人に到達。今なお旅行者数、消費額などは順調に増加しており、過去最高記録を更新しつづけています。このような事情を背景に、政府が発表したのが「明日の日本を支える観光ビジョン」。

その詳細についてはこちらの記事で取り上げていますが、本記事でもおおまかに解説しておきましょう。

「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」に見るインバウンドビジネスの動向:2016~2020年

平成28年3月30日、第2回となる「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」が行われました。訪日外国人旅行者2000万人という目標が達成できる見通しであることを踏まえ、内閣の面々が有識者とともに新たな目標、必要な対応の検討を行うものです。まだ案の段階ではあるものの、ここで発表されている資料には2016~2020年までの展望が示されており、インバウンドビジネスに取り組むうえでの参考になります。今回は「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」を要点に絞って解説していきます。目次目標は大幅に前倒...

明日の日本を支える観光ビジョン」は、観光業の活性化を目的とした取り組みの指針について包括的に述べたもの。目標を数字を挙げつつ具体的に示しており、東京オリンピック、パラリンピックが開催される2020年までの官公庁の動きをある程度予想できます。

施策は文化財の開放、国立公園の施設改善から日本人のゆとりある労働環境の実現まで、極めて多岐にわたりますが、大きく以下の3つの「視点」に分類されています。

  • 視点1:観光資源の魅力を極め、地方創生の礎に
  • 視点2:観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に
  • 視点3:すべての旅行者が、ストレスなく快適に観光を満喫できる環境に

「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」に関係するのは、「視点2:観光産業を革新し、国際競争力を高め、我が国の基幹産業に」という項目。制度を決定してから60年以上経過した通訳案内士ランドオペレーター、旅行業などについて見直しを行い、時代に合ったルールに改良すること、生産性を高めることなどを目指しています。

 

「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」で取り上げられるテーマは?

「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」はまだ開始したばかりですが、議題となるテーマについては大まかな見通しを立てることができます。それぞれの内容について、解説していきます。

通訳案内士

通訳案内士とは訪日外国人観光客を日本各地に案内し、伝統、文化、生活習慣などを外国語で紹介する職業のこと。旅行スケジュールの管理、宿泊先の確認、買物のアドバイスまで行うことから単なる通訳者ではなく、「通訳ガイド」のように表現されます。また、訪問した地域の印象に大きく影響することから「民間外交官」と呼ばれることも。

この資格制度がスタートしたのは昭和20年代。当時と現在では訪日外国人観光客の人数、ニーズともに大きく変化しており、多様な人材の確保や違法なガイドの取締などが求められています。すでに「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」が発足しており、体制の見直しが進められていますが、「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」でも議題にあがると見られます。

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ランドオペレーター、ツアーオペレーター

ランドオペレーターツアーオペレーター)とは旅行会社の委託を受け、旅行の現地手配を行う企業のこと。観光客が快適に旅行を楽しむためには不可欠な存在である一方、近年は利益優先による質の低い旅行商品の提供、ダンピング契約による安全性の低下などが問題化。実態把握を目的とした登録制、問題ある事業者を指導、監督できる制度の導入が必要視されています。

着地型旅行商品の提供環境

着地型旅行着地型観光)の特徴は、旅行者を受け入れる地域が観光商品の開発、運営、情報発信などを行うこと。反対に旅行者が暮らす都市部(発地)の観光業者が商品開発を行う場合は「発地型旅行(発地型観光)」と呼ばれます。

旅行ニーズの多様化とともに、かつては主流だった発地型旅行(発地型観光)は勢いを潜め、現在は着地型旅行着地型観光)が盛んになっています。「観光先進国」を実現するために、地域に密着した事業者が着地型旅行商品を企画、提供しやすい制度づくりが進められると思われます。

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まとめ:「観光先進国」にふさわしい制度づくりを

明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」で掲げられた「観光関係の規制・制度の総合的な見直し」に基づき、「新たな時代の旅行業法制に関する検討会」が発足しました。約60年前に制度が作られ、現状にそぐわなくなっているランドオペレーター通訳案内士、旅行業などの見直しを行います。

始まったばかりで具体的にどのようなテーマを取り上げるのかは分かりませんが、日本ではさらに民泊着地型旅行の活性化、観光業、旅行業を担う人材育成など、取り組むべき問題が山積しています。観光関連業界を取り巻く環境の改善が期待されます。

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【セミナーレポート】「桜シーズン」に向けたインバウンド施策のポイント


2023年は2,500万人の外国人旅行者が訪れた日本のインバウンド市場。コロナ前の2019年に迫る勢いの回復をみせており、2024年の訪日外国人数は3,000万人を上回るとの予想もあります。

日本を訪れる外国人旅行者の間で、特に人気が高いアクティビティが「桜の鑑賞」です。桜の開花時期に合わせて日本を訪れる外国人も多く、日本の重要な観光資源の一つとなっています。

そこで訪日ラボでは、「『桜シーズン』に向けたインバウンド施策のポイント」と題したセミナーを開催しました。
登壇者としては、インバウンドの動向に詳しい訪日ラボ インバウンド事業部長 川西哲平に加え、台湾に本社を置くビッグデータカンパニーVpon JAPAN株式会社営業本部 会田健介氏をお呼びし、「桜」に関するインバウンドデータをもとに、訪日外国人旅行者の最新動向と、「桜のシーズン」に集客を向上させるためのポイントを解説しました。

本セミナーは大好評につきアーカイブ配信を行っておりますので、ぜひご覧ください。

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訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

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インバウンド情報まとめ 2024年3月

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

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