消費生活センターの外国人対応状況から見る、訪日外国人観光客&外国人住民への取り組み

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日本に住む外国人の数、そして訪日外国人の数は増加を続け、2015年末には年間の訪日外国人の累計数は19,737,409人となり過去最高を記録。2016年も訪日外国人の数は増加を続けており、2016年7月には単月で過去最高となる2,296,500人を記録しています。

2020年には東京オリンピックでさらなる訪日外国人が見込まれる中、日本に住んでいる外国人、外国人観光客への対応の現状はどのようになっているのでしょうか?2016年6月に独立行政法人 国民生活センターが実施した「消費生活相談における外国人対応の現況調査」から探ってみましょう。

 

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調査の目的

前述のように2020年に向けて日本に住む外国人、外国人観光客が大幅に増加する事が見込まれることから、消費生活センターにおける外国人からの消費生活相談への対応や、外国人観光客に向けた情報提供のあり方について検討の必要性があるという認識が生まれています。

そこで今後の外国人対応に関する課題を検討するために資料として、今回の調査が行われました。なお、調査は全国786カ所の消費生活センターへ調査票を送る形式で、特徴的な対応を行っている消費生活センターにはヒアリングを実施しています。

外国人住民からの消費生活に関する相談への対応

外国人住民からの消費生活相談への対応:独立行政法人 国民生活センター「消費生活相談における外国人対応の現況調査」より引用

外国人住民からの消費生活相談への対応:独立行政法人 国民生活センター「消費生活相談における外国人対応の現況調査」より引用

回答が得られた688の消費生活センターの中で、外国人住民からの消費生活に関する相談への対応を「行っている」と回答した消費生活センターは51.9%、「特にない」と回答した消費生活センターは47.1%でした。

「行っている」と回答した消費生活センターの中でも最も多い対応が「相談者に、日本語が話せる人と一緒に相談するよう依頼」(30.7%)というもので、その次に多いのが「自治体内の外国人対応部局との協力・連携」(19.0%)、その次が「センターや自治体内の外国語が話せる職員・相談員が対応」(15.1%)、そしてその次に「外国語版ホームページ゙での消費生活相談窓口の周知」(9.3%)となっています。またその中には「通訳の手配・配置」(4.4%)と回答している消費生活センターもあり、全体で半数の消費生活センターが様々な方法で工夫しながら外国人対応を行っていることが伺えます。

 

外国語版ホームページの状況

「外国語版ホームページでの消費生活相談窓口の周知」(9.3%)と回答した64の消費生活センターの中で、最も多いのが、英語、中国語、韓国語の3ヶ国語に対応していると回答した消費生活センターは42で、ポルトガル語、スペイン語、フィリピン語などに対応していると回答した消費生活センターもありました。

 

外国人観光客の消費者トラブルへの対応

訪日外国人の消費者トラブルへの対応:独立行政法人 国民生活センター「消費生活相談における外国人対応の現況調査」より引用

訪日外国人の消費者トラブルへの対応:独立行政法人 国民生活センター「消費生活相談における外国人対応の現況調査」より引用

日本を訪れた外国人観光客の消費者トラブルへの対応を行っているかという調査項目には、なんと92.7%の消費生活センターが「行っていることはない」と回答。今後さらに外国人観光客が増えるにも関わらず、「行っていることがある」と回答した消費生活センターは僅か4.4%に過ぎませんでした。

その内訳としては「外国語版ホームページでの情報提供・注意喚起」が1.6%、「滞在中の消費に関する相談対応」が1.2%、「その他」が0.9%ととなっています。「外国語のリーフレット等でセンターの相談窓口を紹介」している消費生活センターは0.3%、「滞在中の消費に関するトラブル防止を目的とした外国語のリーフレット等の作成」を行っている消費生活センターは0.1%しかないという状況でした。

ただ、こうした姿勢は問題であると捉えている消費生活センターもあるようで、「外国人への対応は、今後必要なことと考えているが、具体的な先行事例を国等から紹介してもらえれば、それを参考に今後のことを考えたい。」という回答もありました。

 

先進的な取り組みを行っている消費生活センター

三重県環境生活部 多文化共生課、くらし・交通安全課(消費生活センター)、NPO法人伊賀の伝丸、公益財団法人三重県国際交流財団

三重県の外国人割合は2.25%となっており、ブラジル人、中国人、フィリピン人が多くを占めます。多文化共生課、消費生活センター、国際交流関係団体の連携によって外国人住民への啓発事業として「外国人住民消費者トラブル防止セミナー」を行っており、こうした講座では日本語の聞き取りが難しい住民が多いため、同時通訳やウィスパリング通訳(通訳者がそばにいてささやく程度の声で内容を伝える)の導入、さらに講師も「ゆっくりと間を取って話す」「専門用語は平易な言葉に言い換えるなど、わかりやすい日本語を使って説明する」「話す内容は、あらかじめ台本を作成し通訳者に渡しておくなど、事前準備を入念に行う」といった工夫を行っています。

大泉町消費生活センター(群馬県)

外国人住民の割合は16.6%と高く、特にブラジル人が多い。大泉町では住民課(消費生活センター担当課)、収納課、保健福祉総合センター内にそれぞれブラジル人などの通訳者(ポルトガル語、スペイン語)を臨時職員として雇用しており、外国人順住民が安心して相談出来るようになっています。大泉町では啓発事業として、企画部国際協働課が日本の制度や習慣・文化を伝えたり、日本語学習の案内などの活動を行っています。また、町の情報をポルトガル語で伝える広報紙「GARAPA(ガラッパ)」を毎月1回発行し、町内のブラジルの商品を扱う店舗や公共施設等に配布しています。さらに最近はネパールや東南アジアからの観光客が増加しているため、こうした外国人観光客に情報提供、消費者教育を行っていく方針とのことです。

台東区消費生活センター(東京都)

外国人住民の割合は7.3%で、浅草、アメ横、上野公園などの外国人に人気の観光スポットがあることから外国人観光客への対応も行っています。台東区では曜日と時間を決めて「外国人相談」を行っており、英語、中国語、韓国語の3ヶ国語の通訳者、消費生活相談員、相談者の3者による相談を行っています。またタブレット型端末を利用した民間サービスによる5カ国語(英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語)の通訳サービスが導入されています。また台東区のホームページはWeb自動翻訳を利用し89ヶ国語に対応しており、消費生活センターの情報も多言語で閲覧することが可能となっているほか、外国人住民向けの生活情報紙「TAITO CITY LIFE NEWS」を英語、中国語、韓国語、日本語の4ヶ国語で発行しています。

 

まとめ

今回の調査結果からは、全国の消費生活センターの中でも外国人住民に対する対応を行っているのは全体でも約半数の47.1%という結果となりました。また、「外国人対応を行っている」と回答した消費生活センターでも対応の内容にばらつきが大きく、「必要とわかっているが、具体的に何をするべきか国等から示してほしい」という回答もあり、2020年に向けて課題が残る結果となったと言えるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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