大学と提携しインバウンド誘致を進める試み:JTBやJR東日本、弘明寺商店街など 「外国人」「若者」の声は大きなメリットに

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訪日外国人観光客の増加を受け、政府は東京オリンピックが開催される2020年までに、現在の約2倍である4,000万人、2030年までには6,000万人の訪日外国人観光客を誘致することを目標としています。

インバウンド誘致は、あらゆる業界や自治体で注目されており、訪日外国人観光客を取り込むことによって、収益増加、地域活性化などそれぞれの目標を達成しようという動きが各地で見られます。

近頃では、インバウンド誘致の新しいアプローチの形として、近隣の大学など教育機関と提携し、若者や留学生の声を取り入れる試みが行われはじめています。

 

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[例①立教大学×JTB]訪日外国人観光客向け新商品の発売

食品サンプル作りの様子:jtbgmt.comより引用

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株式会社ジェイティービー(JTB)の関連会社である「JTBグローバルマーケティング&トラベル」(以下、JTBGMT)は、立教大学観光学部と、訪日外国人観光客向け旅行商品を開発・商品化しました。

商品化されたのは「日本の人気お土産ツアー 食品サンプル作りとおもしろ消しゴム工場見学」という観光プラン。

これは、「アジアのファミリー層」をターゲットに企画された商品です。製品の食品サンプルと消しゴム作りの製造工程を見てもらい、体験を通し、実際に自分で作ったお土産を、訪日外国人観光客に持ち帰ってもらうという内容になっています。同商品は、今年3月14日より販売が始まっています。

立教大学観光学部とJTBGMTの産学連携は、2014年4月から行われています。この連携は、学生がインバウンド向け旅行商品を企画する場面において、観光現場で起きている課題に対し、実践的なものの見方や考え方を身に付けることを目的に実施されています。また、JTBGMTとしても学生の新鮮なアイデアを取り入れることができるメリットがあります。

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[例②杏林大学×JR東日本八王子支社]多摩地域でのインバウンド誘致に向けた調査で連携:訪日外国人観光客のニーズ把握が目的

杏林大学の跡見学長とJR東日本の内田執行役員八王子支社長

杏林大学の跡見学長とJR東日本の内田執行役員八王子支社長

東日本旅客鉄道株式会社(以下、JR東日本)八王子支社は、東京都三鷹市に位置する杏林大学と連携を発表しています。

連携内容として、2017年3月までの半年間、多摩地域を訪れた訪日外国人観光客のニーズなどを探るヒアリング調査や、留学生らを対象にしたモニターツアーを実施します。

ヒアリング調査は、吉祥寺、立川、八王子、高尾の4駅ですでに実施されています。訪日外国人観光客に滞在期間や行先などの調査を行ったとのこと。

モニターツアーは、来月11月5日に実施予定。杏林大学に留学生として来日している中国人留学生に駅構内を見てもらい、フィードバックをもらいます。列車や駅利用の際に困ったことなどをリストアップして改善することにより、訪日外国人観光客のニーズに対応していくとのこと。

杏林大学は、八王子駅周辺の飲食店情報を中国語で提供するマップ作成など、多摩地域のインバウンド誘致に力を入れています。

 

[例③横浜国立大学×弘明寺商店街]外国人留学生の声を活かしインバウンド誘致を進める:商店街の活性化が目的

商店街を歩く留学生:タウンニュースより引用

商店街を歩く留学生:タウンニュースより引用

神奈川県横浜市にある弘明寺商店街では、インバウンド誘致を狙って、横浜国立大学に通う外国人留学生とワークショップを行いました。

弘明寺商店街では、2019年に横浜で開催されるラグビーワールドカップや、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの両イベントによる訪日外国人観光客の増加が予想されることから、インバウンド対策の強化に乗り出しています。

横浜国立大学に通う外国人留学生に、弘明寺商店街の魅力や、インバウンド獲得に向けた課題などフィードバックをもらいました。

インバウンド誘致に向けてWi-Fiの整備や、外国語で書かれた案内板の設置などが提言されました。また、外国語対応のツールとして「指さし会話」の設置も具体案として出されました。

全国各地の企業、自治体、または商店街は大学と産学連携でのインバウンド誘致に力を入れています。

このように、大学など教育機関と提携するメリットとは一体何なのでしょうか?

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まず第一に、大学と提携することによって、留学生として来日した外国人の意見を取り入れることができます。日本人と比べて、外国人は「日本らしさ」「和」という部分に気づきやすい傾向にあります。そのため、「留学生の活用」は、訪日外国人観光客が求めているような潜在的な観光資材の発掘に向いています。

福井県では、同県の観光情報の発信を行う留学生や外国人である「Fukuiレポーターズ」を募集しており、「外国人の視点」から地域の魅力を発信、訪日外国人観光客の潜在的ニーズを把握する試みは他県でもすでに行われています。

また、インバウンドに熟知した専門家を外部から呼ぶには費用が掛かります。インバウンド事業において大学の学生や外国人留学生を積極的に活用することで、大幅な人件費のカットが可能になります。

加えて、今の世代の大学生は、他の世代と比べてネットリテラシーが高く、SNSの利用にも慣れています。彼らは、訪日外国人観光客誘致に向けSNSを最大限に活用し、情報を提供することが可能です。

このように、留学生や日本に在住している外国人は、不便に感じた点などインバウンド受け入れにおける課題の発見、潜在的な観光資材の発掘、訪日外国人観光客のニーズにあったプロモーションに向いています。

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まとめ:大学と提携しインバウンド誘致に取り組む企業や自治体が増加

今回取り上げた「JTB」や「JR東日本」、「弘明寺商店街」など、近隣の大学と提携することによってインバウンド誘致を進めようという動きは活発になっています。

若者や外国人の声を取り入れることで、今までと違った形でのアプローチが可能になります。

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2023年は2,500万人の外国人旅行者が訪れた日本のインバウンド市場。コロナ前の2019年に迫る勢いの回復をみせており、2024年の訪日外国人数は3,000万人を上回るとの予想もあります。

日本を訪れる外国人旅行者の間で、特に人気が高いアクティビティが「桜の鑑賞」です。桜の開花時期に合わせて日本を訪れる外国人も多く、日本の重要な観光資源の一つとなっています。

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「桜シーズン」に向けたインバウンド施策のポイント【セミナーレポート】


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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