データで向き合う京都インバウンド戦略〜Vpon主催セミナーレポート、訪日ラボ、京都市観光協会、大阪観光局登壇〜

データで向き合う京都インバウンド戦略〜Vpon主催セミナーレポート、訪日ラボ、京都市観光協会、大阪観光局登壇〜

2019年3月19日、京都私学会館にて「Vponビッグデータインバウンドセミナー〜旅行者データをつかったこれからのインバウンド対策〜」が開催されました。本セミナーでは訪日ラボも登壇。定員を超える70名以上の方々が申し込みし大盛況で終えました。今回は本セミナーのレポートをお伝えします。

Vponセミナー会場風景
Vponセミナー会場風景

トラベルビッグデータから紐解く京都の旅ナカインサイト(Vpon JAPAN)

セミナーのトップバッターは本セミナーを主催しているVpon JAPAN 株式会社(以下、Vpon)の篠原好孝 氏。Vponはアジア全域の旅行者ビッグデータを保有し、海外からの訪日旅行者の集客・効果の可視化など、自治体や企業のインバウンド対策の支援をするインバウンド特化のデータカンパニーです。本セッションでは、京都に訪れている訪日外国人の傾向をVponの旅行者データを元に解説しています。

データ活用による人物像の特徴

移動経路データから、訪日客は京都にどのように訪れ、京都訪問後はどこのエリアへ向かったのか、さらにそれを出身国ごとの特徴としてデモンストレーションを行いました。そして属性、興味関心、ライフスタイルなどのデータからは中国、香港、台湾を例にあげ、それぞれの旅ナカユーザーの特徴が浮き彫りになっていました。例えば、中国人であれば比較的に早朝(6-10時)からスマートフォンを触り、やはりモバイル決済に敏感な傾向が見られています。一方、香港と台湾は流行に敏感な若者層が多い点は共通していますが、台湾人は地元のグルメ情報などに興味を持ち、京都への渡航決定は1ヶ月と比較的に短期間であるようです。

このように、旅行者データから様々な人物像が明確になってくると、より効率的なアプローチが可能となってきます。広告配信のセグメントとしての活用もそうですし、WEBサイトのコンテンツ作成にも活かしていくことができるとVpon篠原は語りました。

Vponセミナー資料より
Vponセミナー資料より

京都市ホテル統計による京都観光の動向と京都市観光協会の経営戦略(京都市観光協会)

2つ目のセッションでは「京都市ホテル統計による京都観光の動向と京都市観光協会の経営戦略」と題して公益社団法人 京都市観光協会(以下、京都市観光協会)堀江卓矢 氏が登壇しました。観光の振興を目的に活動する団体として、行政はじめ関係諸団体との連携のもと、京都ならではの観光資源を活用した事業実施や観光情報の発信など、戦略的な事業展開により京都の観光振興を積極的に推進しています。

京都観光の概況

京都観光における外国人客の比率は拡大する一方で、直近3年間は国内日帰り観光客の減少が続いています。特に昨年は災害が相次ぎ、全国的に国内観光客の旅行が激減したことで、インバウンド比率の拡大が加速しました。京都の主要ホテルに対する調査では、日本全体や関西空港と比較しても、首都圏の空港から入国する欧米豪からの旅行客の割合が多いため、昨年の関西での豪雨や地震の影響は小さかったと語りました。

また、インバウンド比率拡大の理由として、人気観光地における混雑のイメージが定着しつつあることも挙げられ、ネットニュースについたコメントをテキストマイニングした結果からも、その実態が把握されました。

京都の主要ホテルでは、外国人の比率が上昇し平均的に4割を超える状況になってきていますが、客室数の増加も進んでいるため、稼働率は緩和傾向にあります。このため、外国人よりも宿泊予約のタイミングが遅く宿泊予約が困難な状況と思われていた日本人も、延宿泊客数は順調に増加しています。この他、京都市ではバスから地下鉄への誘導などのインフラ整備など、様々な受入環境整備に取り組まれていることが紹介されました。

京都市観光協会セミナー資料より
京都市観光協会セミナー資料より

デジタルマーケティングやデータを活用した支援を事業者に提供

京都市観光協会ではDMOとしての役割として、公益事業の展開による健全な観光業界の成長が重要と語ります。もちろんそのテーマの一つに関連事業者からの会費や税などの財源があげられます。

インバウンド補助金制度の創設」「観光客の行動可視化の実験結果や情報発信」「留学生と事業者の面談会の開催による雇用創出」など様々な支援を行っています。またGoogleマイビジネスのような集客対策の支援も積極的に行い地域全体のデジタル化に取り組んでいると語りました。

来たるスポーツイヤー!データで見る2019〜2020のインバウンド(訪日ラボ)

3つ目のセッションでは「来たるスポーツイヤー!データで見る2019〜2020のインバウンド

というテーマで訪日ラボ田熊が話しました。主にインバウンドの概要、2019年以降のインバウンド、プロモーションの捉え方について語りました。

オリンピック後も訪日外国人は伸び続ける?

インバウンド業界に携わる方であれば一度は聞いたことがあるであろう、2020年のオリンピックが終了すると訪日外国人は減ってしまうのか?というテーマ。観光庁スポーツ推進室が発表している過去のオリンピック・パラリンピックにおける観光の状況によると、オリンピック開催後は長期的に観光需要が喚起されています。オリンピックが開催されることにより、開催国が各国に認知され、旅行先の1つとして検討される確立が上がるのではないかと考えられます。

訪日ラボセミナー資料より
訪日ラボセミナー資料より

大阪観光局のデジタルマーケティング施策と今後の展望(大阪観光局) 

セミナーの最後は大阪観光局のデジタルマーケティング施策と今後の展望~ニーズ調査からコンテンツ造成で魅力ある大阪の情報発信~と題して、公益財団法人 大阪観光局 牧田拡樹 氏が講演しました。

データによって観光マーケティングが大きく変わろうとしている

観光マーケティングというと、これまでは自治体や観光協会などが旅行博に出てチラシを配るというようなイメージがあると思います。これらのような取り組みも確かに必要な活動ではありますが、課題として費用対効果が見えにくいという点があげられます。

そこで大阪観光局では、効果が把握でき施策の改善が行いやすいデジタルマーケティングに力を入れています。その事例としてOsaka Night Outの取り組みを発表しました。

Osaka Night Outの取り組み/大阪のナイトタイムエコノミーにメスを入れる!

大阪観光局は大阪市内でGPSとSNSを活用した調査を行い「東京と比較し、22時頃になると訪日外国人がホテルに戻ってしまう」という結果が明らかになりました。その原因は、訪日外国人が大阪で夜に遊べる場所を認知していないことがあげられ、そこで大阪観光局では大阪市内の19店舗(ナイトクラブなど)で21時以降に使えるクーポンを発行し来店促進を行う「Osaka Night Out」というプロモーションを実施しました。

「Osaka Night Out」では着地型(今大阪に来ている旅行客)プロモーションとしてスマートフォンのプッシュ型広告、各種ネット広告を活用し、その効果検証としてOsaka Free Wifiや店舗に設置したビーコン、そして加盟店のアンケート調査などを分析しました。その結果、昨年度のナイト調査と比較し22時以降の来店が増加するという結果になりました。特に今回の加盟店では韓国や欧米のニーズが高いということも推定されています。

大阪観光局セミナー資料より
大阪観光局セミナー資料より

また大阪観光局ではさらなるデジタル化として、観光データベースをあげています。全てのプロモーション結果やコンテンツの配信結果を観光局DMPに取り込み、データ活用を最大化していくものです。

まとめ:目に見えにくいインバウンド対策……データを活用した対策が今後のキーポイントか?

2019年も昨年を上回るペースで訪日外国人数が増えています。しかしながら、その実態を把握することがうまくできていないインバウンド担当者も多いのではないでしょうか?だからこそ、データを活用し、訪日外国人の実態を把握することが重要です。さらに、デジタルマーケティングでは、効果検証もしやすく次の施策に活かせやすいです。インバウンド対策の取り組みにはまず、データを集めること、そのデータを元にデジタルマーケティングを実践することが重要になると言えるでしょう。


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!