【東南アジア】ドラッグストア成功の方程式、まずインバウンドそして現地へ:マツキヨ・ツルハドラッグの場合

日本のドラッグストアは、クオリティの高い化粧品や医薬品などをリーズナブルな価格で買えるスポットとして、アジア圏の外国人観光客を中心に高い人気を得ています。

こうした国内でのインバウンド集客を成功させた大手ドラッグストアは、近年相次いで海外への進出も果たしています。

ドラッグストア業界は、市場競争の激化や少子高齢化などの影響で成長が伸び悩むことが予想されるため、インバウンド客の取り込みや海外への出店が、今後の成長戦略の鍵を握っていると言えます。

この記事では、ドラッグストアがなぜ訪日外国人観光客から支持されているのかを分析し、さらに海外に出店しているドラッグストアの実例を参考にしながら、海外進出を成功させるための有効な対策を探ります。


国内のインバウンド需要を分析し海外進出への足がかりに

国内のドラッグストアがなぜこれだけ多くの外国人観光客に選ばれるのか、そこにはきちんと理由があります。

日本のドラッグストアの持つ魅力やインバウンド客の消費動向を分析し、海外出店の際の商品選定や売場づくりへと活用することが重要です。

インバウンド客に高い人気を誇るドラッグストアの魅力

ドラッグストアを利用する外国人客にとって大きな魅力となるのは、多様性のある商品ラインナップ、価格の安さ、安全性・即効性の高さ、パッケージのデザイン性の高さです。

低価格でもしっかりと効果を感じられる商品は自分用に購入しやすく、さらにオシャレなパッケージのため家族や友人へのお土産としてまとめ買しやすいという魅力があります。

尚、国内には数多くのドラッグストアがありますが、中でも訪日外国人観光客に根強い人気があるのはマツモトキヨシです。

マツモトキヨシは、インバウンド客による売上が約10%を占めるまでに成長しており、ドラッグストア業界におけるインバウンド集客成功例の代表格と言えます。

マツモトキヨシは魅力的な品揃えに加えて、いち早くインバウンド対策を実施してきたことでも知られます。

免税対応・Wi-Fi整備・銀聯カード決済対応といった、利用客の利便性を向上させるあらゆる取り組みが、 インバウンド集客成功へと結びついた大きな要因と言えるでしょう。

売れ筋商品から外国人客のニーズを分析

▲[〈全国〉2019年2月インバウンド消費売上個数ランキングTOP30]:株式会社TrueDataHPより引用
▲[〈全国〉2019年2月インバウンド消費売上個数ランキングTOP30]:株式会社TrueDataWebサイトより引用

では実際にドラッグストアでよく売れている商品を見ていきましょう。

株式会社True Dataが実施した「ドラッグストア2019年2月のインバウンド消費調査」によると、日焼け止めクリーム・リップクリーム・フェイスクリーム・洗顔料などが売上個数順位の上位にランクインしています。

このことから、女性向けの肌ケア関係の商品の人気が高いことが分かります。

また、目薬・かぜ薬・鎮痛消炎剤などの日常的に使える医薬品の購入も目立ちます。医薬品は、特に中国や台湾などの中華圏の利用客に人気があり、即効性や安全性が評価されています。

外国人利用客が多く来店する店舗では、このように販売実績を分析することにより、消費者が求める商品・価格帯・季節商品など重要なデータを集めることができます。

こうしたデータを基に、日常的に使う商品を手頃な価格で幅広く揃え、さらに日本国内でしか買えない商品を販売することは、海外出店において大きな魅力となります。

インバウンド集客強化でブランドの知名度アップ

ドラッグストアなら「マツモトキヨシ」、小売店なら「ドン・キホーテ」と、国内でインバウンド集客に成功している店舗は、海外での知名度も高くなるというメリットがあります。外国人利用客に対して信頼と実績を積み上げることができていれば、海外出店時も話題になり、スムーズな集客へと繋がります。

海外進出を検討するのであれば、国内店舗でのインバウンド集客に力を入れ、外国人への認知度を上げておくことも重要な取り組みの一つです。

アジアに積極展開するドラッグストアの取り組み

日本のドラッグストアはアジア圏の利用客が圧倒的に多い傾向があります。この流れを受けて大手ドラッグストアは、中華圏・タイ・シンガポールなどアジア圏への出店を積極的に進めている状況です。

各企業とも海外店舗数を順調に伸ばしていますが、一方で海外出店ならではの課題も浮き彫りになっています。ここでは、代表的な企業をピックアップし、各国での出店傾向を見ていきます。

マツモトキヨシ

マツモトキヨシは、2015年にタイのバンコクで海外1号店をオープンしました。タイはメイクアップ用品の需要が高いことから、商品ラインアップは日本の化粧品を重点的に揃えています。

また、2018年には台湾進出も果たしました。台湾人に人気の化粧品や健康食品を豊富に揃えることで、安定した需要を見込んでいます。

開店時にマツモトキヨシのプライベートブランド商品が非常によく売れたことから、日本でしか購入できないオリジナル商品の需要が高いということも分かりました。

マツモトキヨシは海外出店にあたって、国内店舗の外国人利用客の消費動向を調査し、その結果に基づいて商品展開できていることが強みと言えるでしょう。

ツルハドラッグ

ツルハドラッグは2012年からタイに進出しており、着実に店舗数を増やしています。

出店当初から宣伝にも力を入れ、ツルハドラッグについて知ってもらうためにオープンに合わせて日本語とタイ語のチラシを配布したり、FacebookなどのSNS媒体を使ってタイ語による情報発信を行ったり、ウェブマガジンに特集記事を掲載したりと、様々な方法で集客を促してきました。

一方で、出店当初は日本らしさや日本人を意識した品揃えであったために、現地タイ人のニーズと合致せず、思ったほどの成果が出ないという状況も経験しています。

現地競合店との差別化を図る必要もあったため、タイ人が好む青汁やサプリといった健康食品をはじめ、売れ筋商品を見極めて拡充させるなど、軌道修正しながら運営しています。

海外進出における顧客獲得に有効な対策

日系ドラッグストアの海外進出の取り組みからも分かるように、海外店舗での安定した集客のためには、消費者動向の調査・ニーズに基づいた商品展開・積極的な広報など様々な対策が必要になります。

そしてこれらの基本的な対策を実施したうえで、修正すべきポイントが出てくれば臨機応変に軌道修正を行っていくことが大切です。

消費者ニーズに基づく魅力的な品揃え

消費者のニーズは国や地域によって当然異なるため、海外出店においては消費者ニーズに沿った魅力的な品揃えが、何よりも重要視すべきポイントとなります。

例えば、タイではメイク用品や美白効果が期待される化粧品の需要が高い傾向があります。これには、外見の美しさが重要視されるというタイの社会的背景も関係しています。

そのため、日本の売り場のようにスキンケア製品やヘアケア製品を広く展開するのではなく、タイ人のニーズに合わせて化粧品を重点的に充実させることが有効です。

このように、まずは現地消費者の需要がどこにあるかを調査し、その結果に基づいて取扱商品や重点商品を決めることが求められます。

また、ドラッグストアではプライベートブランド商品も高い支持を得ています。自社のブランド商品は、生産コストが抑えられるため消費者がより安く購入できるメリットがあり、企業側も高い利益率で販売ができるので、購入側・販売側どちらにとっても魅力的です。

リーズナブル✕高品質の信頼感

ドラッグストアの強みは、多様な品揃えに加えて、リーズナブルな価格と日本ブランドの品質の高さにあります。

日本のドラッグストアへ買い物にやって来る訪日外国人観光客も、製品の良さに対して信頼感を持っています。これは海外店舗においても同様に高い評価を受けるポイントとなります。

安さだけなら現地競合店との価格競争で不利になる可能性が高く、品質が良くても価格が高ければ日常的に購入してもらうことは難しくなります。

そのため安さと日本ブランドの良さの両方を実感してもらうことが、リピーターの獲得や、他店との差別化を図る上での有効な方法と言えます。

ターゲットを意識した立地・売り場

店舗の立地や売り場作りも、集客に大きな影響を及ぼします。オフィスビルや商業施設など人が集まる場所での出店は、集客は見込めるものの競合店が多くなります。

そのため、店作りや独自の商品ラインナップなど、他店との差別化を図るための取り組みが必要になります。

ちなみにアジアでは、大型ドラッグストアチェーンの「ワトソンズ」が非常に有名です。

圧倒的な店舗数を誇るワトソンズは、女性客を意識したオシャレな売り場、豊富なプライベートブランド商品、立地やターゲットにより異なるコンセプトを持つ店舗の導入など、独自の路線を開拓していることで現在も順調な拡大を続けています。

ワトソンズの海外戦略からも学べることは多いでしょう。

SNSなどの情報発信

集客効果を高めるためには、店舗や商品の魅力を宣伝することも必要不可欠です。

店舗の公式ホームページ開設はもちろん、FacebookやInstagramなどのSNSも活用し、消費者が日常的に情報に触れられるよう環境を整えることが大切です。

なお、SNSは国によって最もよく使われる媒体は異なります。中国はweibo、タイはFacebookなど、国ごとに最適な媒体を選んで宣伝やキャンペーンを展開すると、より一層効果的です。

まとめ:競合店との差別化を図り現地消費者に選ばれる店へ

海外出店をスムーズに軌道に乗せるためには、様々な対策が必要になります。現地消費者のニーズにマッチした商品展開、安価で高品質な日本ブランドの良さのPRなど、競合店との差別化を図ることによって、安定した集客が可能になります。

海外進出を成功させることができれば、国内だけでは難しい大幅な売上増を期待できるという大きなメリットがあります。

また海外で認知度が向上すれば、現地からの日本旅行の際に、日本国内の店舗へも買い物に来てもらいやすくなるという好循環が生まれます。

さらには、海外店舗において日本ブランドの良さを訴求することで、現地を訪れる外国人旅行者のインバウンド需要喚起も期待できます。

外国人利用客を意識した売場づくり・情報発信もプラスできれば、インバウンド集客にも非常に効果的と言えるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客のインバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!