2016年9月15日の神戸新聞によると、神戸各地の商店街で、訪日外国人観光客を誘致し、地元の活性化につなげていこうという試みが始まっている模様です。

例を挙げると、石畳が延びるおしゃれな街並みで知られる岡本商店街には、女性向けの洋菓子店や、美容院が多くあります。そうした強みを生かし、「少しお金持ちの40代の訪日台湾人女性観光客」をターゲットに、商店街の訪日台湾人観光客向けプロモーションビデオを制作しています。

プロモーションビデオは、中国圏の旧正月である「春節」に向け、来年初めごろにYouTubeにアップロードされる予定です。

他の商店街でも、中国で普及している「銀聯カード」で決済できる端末の導入、免税手続きを一括して済ませられるカウンターの設置を検討しています。

商店街がこのように、インバウンド対策を進める背景には、一体何があるのでしょうか?

 

商店街の約70%が「衰退する恐れ」を懸念:都内では商店街数も減少

経済産業省の外局として設置される、中小企業庁では、3年に1度、全国の商店街に対し、現状や直面している問題、取り組んでいる事業等について、調査を実施しています。

2016年3月22日には、平成27年度分の商店街実態調査の結果が公表されています。

この資料の、「商店街の景況と来街者の動向について」の項目を確認すると、各商店街の景況において、「繁栄している」との答えが2.2%、「繁栄の兆しがある」が3.1%となりました。

一方で、「衰退している」が35.3%、「衰退の恐れがある」が31.6%、「まあまあである(横ばいである)」が24.7%を占めました。

ここから約70%の商店街の店舗経営者が、商店街の衰退を懸念していることがわかります。

また、東京都産業労働局が2013年に行った調査によると、商店街数も、調査を重ねるごとに減少していることがわかります。

近頃は「シャッター商店街」や「シャッター通り」などの言葉もよく使われるようになり、全国の商店街は厳しい状況に、置かれているということが言えます。

 

客層の高齢化が要因の1つに:現状打破へ訪日外国人観光客誘致に活路見出す

先ほど参考にした東京都産業労働局の調査によると、商店街衰退の1つの理由として、「客層の高齢化」が挙げられます。

上記の来客の年齢層を、年代区分別にみると、「60歳以上」が42.4%と最も多く、「40~59歳」が30.4%で続き、「20~39歳」が18.8%、「20歳未満」は7.5%となっています。

この前の調査と比べても、「60歳以上」の来客数が1.7ポイント高くなっており、客層の高齢化が進んでいます。

客層の高齢化が進むことにより、長期的な視点で見た場合、商店街はさらに衰退していくことが予測されます。若い客層や、訪日外国人観光客を含めた新たな顧客層の開拓が必要となります。

このような背景をもとに、全国各地の商店街は、訪日外国人観光客誘致に活路を見出し、様々なインバウンド対策に取り組んでいます。

 

インバウンド対策例①「千日前道具屋筋商店街」:外国語対応、無料Wi-Fiの導入に加え、外国語版ホームページの開設を実施

商店街の訪日外国人観光客誘致の成功例として、2016年02月24日の東洋経済ONLINEでは、大阪に位置する商店街「千日前道具屋筋商店街」を取り上げています。

千日前道具屋筋商店街は、調理具や厨房機器に特化した専門店街。LCC(格安航空会社)の発着点となる関西国際空港の利用が激増したことにより、連日多くの訪日外国人観光客で賑わっています。

例えば、商店街の中にある、包丁専門店「堺一文字光秀」では、1本あたり2万~30万円と単価の高い商品が、訪日外国人観光客に人気になっているとのこと。

「千日前道具屋筋商店街」は、インバウンド対策として

  1. 外国語対応
  2. 無料Wi-Fiの導入
  3. 外国語版ホームページの開設
  4. 「免税アプリ」、「同時通訳アプリ」の導入

を行いました。

観光口コミサイト「TripAdvior」でも、平均で星4つと高評価を獲得。2016年9月16日時点で、236件もの口コミが寄せられています。

アジア圏からの訪日外国人観光客だけではなく、欧米諸国、中東圏からの訪日外国人観光客からの口コミも目立ちます。

 

インバウンド対策例②「渋谷公園通り商店街」:訪日中国人観光客向けキャンペーンの実施。「WeChat」サービスの活用も

渋谷公園通り商店街では、2016年1月2日~ 2月29日まで、「Tokyo Prime Shopping 2016 in Shibuya」を開催しました。

これは、渋谷公園通り商店街による、主に中国語圏からの訪日外国人観光客向け、ショッピングキャンペーン。中国語圏からの訪日外国人観光客が、長期休暇を取る春節の時期に合わせ、渋谷公園通り商店街で買い物をしてもらおうという試みです。

具体的には、中国語圏からの訪日外国人観光客が利用しているLINE型アプリ「WeChat」を使用。アプリ上で懸賞を行い、当たり券が出たら、キャンペーン参加店舗で使用可能になるというもの。

渋谷内で、このような訪日外国人観光客向けのショッピングイベントを行うのはこれが初。ターゲットに合わせた、アプリの利用により訪日外国人観光客を集客しました。

<関連リンク>

 

インバウンド対策例③弘明寺商店街:訪日外国人観光客集客へ外国人留学生とワークショップを開催

神奈川県横浜市にある弘明寺商店街でも、同様にインバウンド獲得へ、対策を練っています。

弘明寺商店街は、2019年に開かれる「ラグビーワールドカップ」や2020年に開かれる「東京五輪」から、訪日外国人観光客の増加を予想。訪日外国人観光客を新たな顧客として、商店街に取り込むインバウンド対策を強化するとしています。

インバウンド対策として、同じ横浜市に位置する「横浜国立大学」と提携。同校に通う外国人留学生に、商店街の魅力や、インバウンド獲得に向けた課題などフィードバックをもらいました。

無料Wi-Fiの整備や、「指さし会話」の設置が具体策として提案されました。

<関連リンク>

 

まとめ:全国の商店街では様々なインバウンド対策を実施。訪日外国人観光客は新たな顧客ターゲットに

先述の通り、全国の商店街では、現状の行き詰まりから、新たな顧客層の開拓を目指し、訪日外国人観光客をターゲットにし始めています。訪日外国人観光客の増加に伴い、インバウンド消費も増大する中、個々の店舗だけではなく、商店街が一体となってインバウンド対策を推進することは、商店街の再活性化につながります。

 

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