タイの有名な暁の寺「ワットアルン」

タイの有名な暁の寺「ワットアルン」

2013年のビザ発給要件緩和以降、円安効果とバーツ高効果もあり、近年急激にインバウンド消費において存在感を放つ訪日タイ人観光客。中国や台湾をはじめとした訪日ブームが加速している東南アジアの中でも、成長率が最も著しい国の一つです。

タイは熱帯に位置しているため、年間を通じて気温が30℃ぐらいが平均です。そのためか、日本のようなはっきりとした四季を求めて訪日することが多いようです。桜や紅葉、特に雪など四季を感じられるものへの人気が高く、他の訪日外国人と比較して北海道への訪問数が多いのも特徴です。

年々インバンド消費で存在感を増す訪日タイ人。こちらの記事では訪日タイ人観光客の特徴や性格、気をつけるべきマナーについて解説していきます。

 

訪日タイ人の国民性・特徴

タイの人々は敬虔な仏教徒で、王室をとても尊敬しています。そのような傾向もあって家族や友達といった身内を大切にし、目上の人に接する時は常に敬意の心を忘れないという特徴があります。

マイペンライ(ไม่เป็นไร)とは

タイ人の気性を理解するのに重要なキーワードとして「マイペンライ(ไม่เป็นไร)」があります。日本語に訳すと「問題ないよ」「気にするな」「大丈夫」「ドンマイ」のような意味になります。タイでは非常によく聞く言葉で、タイ人もマイペンライが表すように、細かいことは気にしない大らかな心の持ち主が多いです。


ワイ(ไหว้)とは

「ワイ」をするタイのドナルド

「ワイ」をするタイのドナルド

そのほか、目上の人への敬意を理解するのに重要なキーワードに「ワイ(ไหว้)」があります。ワイとは、相手への敬意を示すタイの伝統的挨拶のことで、合掌してお辞儀をします。基本的に年下から年上、身分の低い者から高い者へ、というように目下の者が先にワイをし、目上の者に敬意を表すために行われる礼儀作法です。

タイでは日本の会釈と同じように行われており、挨拶語の「サワッディー (สวัสดี)」を伴うことも多いです。相手からワイをされたら笑顔で返すか、軽いワイと会釈をして返します。また、ビジネスシーンといった双方が初対面だったり同格だったりするときは、お互いワイをすることもあります。

 

また、タイ人は好奇心旺盛で、楽しいことを見つけるのが得意。しかし、裏を返せば楽しくないことはやらない、面倒くさいことはしない、飽きっぽいといったマイナス面にもつながります。よって、今の訪日ブームも、日本への期待感が裏切られてしまうと訪日タイ人市場の縮小につながりかねません。

そのほか、タイ人の具体的な特徴は以下のとおり。

  • 目上の人に対する敬意の心を忘れない
  • おおらかで、細かいことは気にしない人が多い
  • 好奇心旺盛で楽しいことを見つけるのが得意
  • 人懐こく、知らない人でもすぐに打ち解ける
  • 地図が読めない人が多い

訪日タイ人は地図が苦手?

ここで、抑えておきたい特徴はタイ人が地図を読めないことが多いこと。タイに旅行に行ったことがある方なら経験があると思うのですが、タイのタクシー運転手に地図を見せて行き先を伝えても、理解してもらえないことがよくあります。ですので、訪日タイ人に道案内をする際は「この新宿通りを真っすぐ行って、3つ目の信号を左にいって外苑西通りに入る。その後信号2つめの富久町西交差点に松屋がある」といった案内の仕方をすると良いです。

 

タイ人の訪日観光の情報収集

タイで開催される旅行博

タイでは大規模な旅行博「タイ国際旅行フェア(Thai International Travel Fair 略称:TITF)」が年2回(2月・8月)に開催されています。TITIFは、アジアで最大規模の国際旅行フェアで、特に8月開催のTITFは、タイの旅行シーズンである10月出発分の旅行商品販促の場として例年賑わいを見せています。主催はタイ観光サービス協会(Thai Travel Agents Association:TTAA)。近年、日本ブースが盛り上がりを見せており、日本の参加団体も増えています。

  • アジア最大規模の旅行博「TITF」

    アジア最大規模の旅行博「TITF」

    タイ国際旅行フェア第18回

    • 2016年スケジュール
      • 2/17〜2/21
    • 来場者数
      • 35万人(2014年2月実績)
  • タイ国際旅行フェア第19回
    • 2016年スケジュール

      • 8月中旬頃
    • 来場者数
      • 30万人(2014年8月実績)

訪日タイ人の情報収集手段

  • JNTOのサイト:28.8%
  • 旅行会社のウェブサイト:21.3%
  • 自国の親族・知人:20.6%
  • 旅行ガイドブック:20.4%
  • 日本在住の親族・知人:18.8%

訪日タイ人の多くは、JNTOのサイトや旅行会社のウェブサイト、テレビなどのメディアをきっかけとして、観光情報を入手しているようです。インターネットに影響が大きいのが有名人のブログやツイッター、知人のFacebookでの投稿などです。これらをきっかけとして、詳しい情報を得るためにJNTOのウェブサイトを見たり、前述の旅行博(TITF)の日本ブースを訪れる、といった情報収集パターンが多いようです。

タイで人気の日本旅行番組Majide Japan(JAPAN X)

タイで人気の日本旅行番組Majide Japan(JAPAN X)

タイでは、日本をロケ地とした映画・ドラマ番組・バラエティー番組・ミュージックビデオなども多く放送されており、特に「Majide Japan(มาจิเด๊ะ!Japan、現在はJapan Xとリニューアル」が非常に人気です。「Majide Japan(Japan X)」は、その名の通り、毎週日本だけを取り上げるタイの旅行番組です。リポーターのウムさんが日本各地を訪れ、そのエリアの旅情報をたっぷりと紹介してくれます。こういったメディアで露出のあった日本の観光地はタイ国内でも認知度も高い傾向があります。

ただし、いざ旅行日程を計画しようとした際に、「英語やタイ語の案内サイトがなかった」「タイからインターネットで予約ができないことも多く不便」といった声があるようで、今後の訪日タイ人の受け入れ体制整備の面での課題です。このような背景もあってか、訪日前に確かな情報を得るためTITFといった旅行博を訪れることも多いようです。日本ブースでは、旅行者自身で事前にかなり綿密な個人旅行ルートを作成したうえで来場し、「このルートでの旅行は実現可能と思うか?」「何かこの旅行ルートで改善すべき点はないか?」「このバス停の位置はここであっているのか?」といったかなり具体的な質問が飛び交っています。

 

タイで人気のポータルサイト

Pantip.com(パンティップドットコム)

タイで最大の掲示板「Pantip」

タイで最大の掲示板「Pantip」

パンティップ(Pantip)とは、タイで一番の利用者数を誇る巨大掲示板・コミュニティサイトです。1日1000万PVを誇る掲示板サイトで、タイの「2ちゃんねる」と言われることも多いです。

基本的に何を書いても自由な掲示板ですが、投稿するためには会員登録が必要で、ここは「2ちゃん」とは異なる点です。営利目的の内容を書き込むとペナルティーが課され、場合によってはアカウントを凍結されることも。「2ちゃん」よりももっと裾野が広く、幅広い人が使っているサイトです。

Sanook!(サヌック)

サヌック(Sanook!)とはタイ最大級のエンターテイメントポータルサイトです。ニュース、ビデオなど、多彩なジャンルがあります。Sanook (サヌック) とは、タイ語で「楽しい」を意味します。平成27年11月に株式会社アイレップとデジタルマーケティング領域における業務提携を開始しました。

Mthai(エムタイ)

Mthai(エムタイ)は「ニュース」「エンターテイメント」「動画サービス」「画像投稿」を中心とした総合ポータルサイトです。1998年に運営が始ったタイ国内最大級のコミュニティサイトです。さまざまなウェブサービスのほかタイの3BBというインターネット回線事業も運営し、2013年にはタイ証券取引所に上場を果たしている有名なメディアサイトです。

Kapook.com(カプックドットコム)

ガプック(Kapook)は前述のサヌック(Sanook)と同等の人気を博しているポータルサイトです。サイト名の「ガプック」とはタイ語で「小さい瓶」「小さな会話」「ささやく」といった意味です。若者をターゲットにしており、内容もサヌック(Sanook)と同様にニュースやエンタメ情報などを扱っています。

Dek-D(デックディー)

デックディー(Dek-D)は、若者向けの情報発信をするメディアとして人気の情報発信サイトです。サイト名の「デック」は「子供」、「ディー」は「良い」、つまり「良い子」という意味です。その名の通り、基本的には学生向けのポータルサイトとなっています。扱うコンテンツはライフスタイル掲示板、ブログサービス、留学情報やファッション、恋愛、学生生活など。

 

タイで人気のSNS

スマートフォンの普及が爆発的に進みつつあるタイ。2020年までにはスマートフォン普及率は100%に到達する見込みです。その理由は、低価格な端末が普及している事や、魅力的なデーターパッケージが多いこと、LINE(ライン)を始めとしたインターネット経由の無料通話を利用するためと言われています。

Facebook(フェイスブック)

タイのFacebook(フェイスブック)ユーザーは年々増え続けています。2014年には2,600万人だったのが、2015年では34.6%増の3,500万人です。エリア別で見ると、タイの首都、バンコクで2,000万ものユーザーがいます。人口比でみてもタイ人の約半数がFacebookアカウントをもっていることになり、訪日タイ人向けインバウンドマーケティングとしてFacebookは重要なSNSとなります。

Instagram(インスタグラム)

タイでは若者に人気のインスタグラム(Instagram)。Facebookとユーザー数を比較すると790万人と少ないように見えますが、若年層へのリーチには有効です。日本は写真映えする観光地が多数あるので、インスタグラムでのマーケティングも重要と言えます。

LINE(ライン)

タイ国内でここ1〜2年で最も勢いのあるSNSサービスと言えば、LINE(ライン)です。現在では3000万人を超えるユーザー数がおり、Facebookとほぼ同等のユーザー数を誇ります。もちろんチャット・メッセージアプリ、無料通話アプリとして利用していることもありますが、タイ国内では独特の使われ方をしています。

タイでは、クレジットカード普及がまだ少なく、ECの決済方法では銀行振り込みが6割〜9割となっています。銀行振込だと着金が確認できるまで商品が配送されないので、発送タイミングを早めるためにLINEを活用します。購入者は銀行振り込みの証紙をスマートフォンのカメラで撮影して、その画像をEC事業者にLINEで送り、事業者はLINEで確認したら、商品を発送する、という使い方をするようです。これがLINEの普及率を底上げしており、またLINEを手放せないツールとしています。

 

訪日タイ人の観光トレンドキーワードは「初訪日とリピーター」「個人旅行」「四季」「買い物」

2013年のビザ発給要件が緩和されてから、訪日客が急増しているタイ。そんな訪日タイ人のトレンドはどのようなものなのでしょうか。

訪日タイ人は、初訪日の割合が35%と他国に比べて高い傾向にあります。ですが、一度日本に訪れた訪日タイ人は、そのままリピーターになる傾向。買い物欲が強く、一人あたりのGDPは先進国に比べると低い6000ドル弱ですが、インバウンド消費額でみると米国に次ぐ1,200億円。これは訪日タイ人の殆どが裕福層であるから、という見方もありますが、日本滞在中の買い物代は高くなっています。

また、アベノミクスによる円安・タイバーツ高が進行していることも訪日タイ人によるインバンド消費を後押ししています。また、自分で調べたルートをじっくりとまわって訪日旅行を楽しみたいという要望からか、団体ツアーでの訪日は23%と比較的低めです。

訪日タイ人は女性の割合が高いことも会って、日本製の化粧品の人気が高くなっています。訪日中国人と近い傾向で、自国内では日本製化粧品が高価で、訪日中にまとめて買いたい、という需要があります。タイの首都バンコクでは、日本のアパレルメーカーの出店が盛んです。そのため、訪日インバウンド消費のなかでもファッション関係の買い物需要も高く、安い中古のブランド品を買い求める人もいるようです。

タイ国内のMajide Japan(Japan X)をはじめとした日本旅行テレビ番組やメディアで特集されているため、訪日旅行の人気や観光地の知名度が高いです。観光地の選定では、スマートフォンの利用率が高いことから、自撮りして写真映えするコンテンツがあるかどうかに関心が高い傾向にあります。桜、もみじ、雪などタイにはないはっきりとした四季を感じられる自然を好むため、北海道の人気も高いです。

 

タイ人の食事の傾向

熱帯に属するタイでは、食べ物が傷みやすく、冷めるまで保存するということがあまりありません。そのため、本来熱いのに冷めているような食事を好みません。食事中の飲み物は冷たい水、アルコールでしたらビールが主流となります。また、食後には必ず甘い食べ物を食べる習慣があります。

食に対する関心が非常に高いため、日本食に期待をもって訪日してきます。レストランなどの外食先では、雰囲気や環境よりも料理の美味しさを重視する傾向にあります。

食に関するインバウンド対策としての注意点といえば、宗教上の理由で食事制限のある人もいるので、事前に確認をすること、また、日本の味になじまない人もいるので、ナンプラー、唐辛子、砂糖、酢などのタイらしい調味料必要になることもある点です。

 

訪日タイ人に対して注意すべきマナー

「タイでは子供の頭をなでてはいけない」というマナーが有名です。ここでは訪日タイ人をもてなす上で重要なマナーをご紹介します。

頭を触ってはいけない

タイでは、頭は体の中で一番高い部位にあり、精霊が宿る場所とされています。そのため、タイ人の頭を触ってはいけません。これは大人でも小さな子供であっても同様で、かわいいからといって頭をなでてはいけません。

左手は不浄

タイでは左手はトイレで使うものとされている不浄の手です。握手するときや人に物を渡すときは左手は決して使わないように注意が必要です。

足の裏を人に向けない

タイ人にとって足の裏は人体の中でもっとも不浄な場所とされています。頭とは逆に、足は体の部位の中で一番下にあるからです。訪日タイ人をもてなす状況ではあまり考えられませんが、座っているときや寝るときに人に足を向けたり、足で物を指したりなどはしてはいけません。

間違ってもタイ国王(プミポン国王)の悪口を言ってはいけない

タイで絶大な指示を集めるプミポン国王

タイで絶大な指示を集めるプミポン国王

タイ国内ではタイ国王(プミポン国王)は非常に敬愛されています。毎日朝8時と夕方の6時には国内のあらゆる場所で国家が流れ、流れている間はタイ国民は直立不動の姿勢をとります。プミポン国王の誕生日の12月5日には国中の人が黄色のものを身につけて誕生日を祝います。タイでは生まれた曜日ごとの「色」があり、プミポン国王は月曜日の生まれで誕生日カラーが黄色だからです。また、タイの国中のいたるところにプミポン国王の写真が飾られています。

このように、タイ人にとってタイ王室を敬うことは当然のことです。また、タイでは王室を批判・中傷・侮辱すると、刑法第112条で定められた「不敬罪」に問われることになります。日本国内ではさすがに不敬罪に問われることはありませんが、タイ人にとって敬愛するプミポン国王を侮辱してしまったら、おもてなしどころではありません。訪日タイ人をおもてなしする際は注意しましょう。

 

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