環境省は7月25日、「国立公園満喫プロジェクト」の対象として、日本国内の8つの国立公園を発表しました。これは政府がとりまとめた「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づくもので、選定された国立公園では訪日外国人観光客の誘致に向けた取り組みが行われます。

このプロジェクトは後に全国の国立公園にまで拡大される予定です。今回は「国立公園満喫プロジェクト」の展望、実施される取り組みについてご紹介します。

 

国立公園満喫プロジェクトの背景:「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」で提唱

「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」は、訪日外国人観光客数2000万人という目標が達成できる見通しであることを踏まえ、新たな目標、必要な対応の検討を行うもの。平成28年(2016年)3月30日には第2回が行われ、すでに2016~2020年までの大まかな展望が示されています。

「景観計画」の策定、文化財の活用、ソフトインフラの改善……など多岐にわたる取り組みが提示されているのですが、その中のひとつにあるのが「国立公園満喫プロジェクト」。国立公園を訪日外国人観光客に楽しんでもらえる世界水準の「ナショナルパーク」へと改良、ブランド化し、より魅力のある観光資源とすることを目指しています。

具体的に実施するのは地域の自然、伝統などを活かした訪日外国人観光客向けのツアー開発、IT活用による情報発信、高品質な民間施設の誘致、ガイドの育成など。さらに観光資源の有効活用を目的とし、観光庁、関係自治体の連携を強化するため、地域協議会を設置することも検討しています。

このような総体的な取り組みをまずは5か所の国立公園で計画的、集中的に実施する予定でした。

日本各地から予定より多い8つの国立公園が選定

実際に「国立公園満喫プロジェクト」で選定されたのは8か所と、当初の計画よりも3つ多くなりました。該当の国立公園は以下のとおりで、各地方から選ばれています。

  • 阿蘇くじゅう国立公園(熊本県):大きなカルデラにそびえる阿蘇山、火山群、雄大な草原などが見られる
  • 阿寒国立公園(北海道):北海道で最も歴史ある国立公園。大部分が針葉樹林を中心とする天然林に覆われる
  • 十和田八幡平国立公園(青森県、岩手県、秋田県):十和田湖、奥入瀬渓流、八甲田山を楽しめ、多様な生態系、湿原などを持つ
  • 日光国立公園(栃木県、群馬県、福島県):世界遺産に登録された神社仏閣、それを取り巻く自然景観
  • 伊勢志摩国立公園(三重県志摩半島):伊勢神宮、その背後に広がる自然豊かな森林環境、リアス海岸
  • 大山隠岐国立公園(鳥取県、岡山県、島根県):出雲国に伝わる「国引き神話」の舞台。火山、森林、草原など多様な自然を持つ
  • 霧島錦江湾国立公園(鹿児島県、宮崎県):日本で最初の国立公園。さまざまな自然環境を残し、桜島を望める
  • 慶良間諸島国立公園(沖縄県慶良間諸島、周辺海域):大半が海域で、サンゴ礁、ザトウクジラの繁殖海域などを有する

 

2020年までに訪日外国人観光客の国立公園利用者数1000万人を目指す

国立公園8か所は各地方に分かれるように選定されており、それぞれに異なる自然環境を持っています。熱帯に属するタイ、台湾からの訪日外国人観光客には四季のはっきりした北海道の自然が評価されやすいなど、「日本の自然」と一口に言っても対象とする訪日外国人観光客は異なります。選定された国立公園では、洋の東西を問わず、さまざまな国から訪日外国人観光客を呼びこむことができそうです。また、歴史的な建造物を含むところもあり、日本の歴史、文化を知ることを目的に観光している訪日外国人観光客を誘致することを狙うことも可能なのではないでしょうか。

これらの国立公園で「ナショナルパーク」としてブランド化する取り組みを進めた後、「国立公園満喫プロジェクト」は全国の国立公園にまで対象を拡大する予定です。2020年までに訪日外国人観光客の利用者数を1000万人にまで増加させることを目指しています。

 

まとめ:選定された8つの国立公園が先行事例のような位置付けに

環境省が「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」に基づき、「国立公園満喫プロジェクト」を始動させています。7月25日に、先行して訪日外国人観光客の誘致を目的とした各種対策によりブランド化を行う国立公園8か所が発表されました。ツアー商品の開発、情報発信、地域協議会の設立などが行われる予定です。

選定された8つの国立公園は先行事例のような位置付けとなり、このような取り組みを全国の国立公園にまで広げる予定。選定された国立公園は「国立公園満喫プロジェクト」の今後の動向を占う存在と言ってもよいでしょう。2020年までに訪日外国人観光客の国立公園利用者数を1000万人にまで増加させることを目標としていますが、果たして実現できるのか。「国立公園満喫プロジェクト」に注目が集まるのではないでしょうか。

 

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