2020年東京五輪までに自動運転車が実用化するってホント?:インバウンドビジネスにも影響する技術動向

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GoogleやAppleといった大手IT企業だけでなく、トヨタ、フォルクスワーゲン、フォードなど各社が開発を進めている自動運転車。運送、交通業などに大きなインパクトがあることから世界的な注目が集まっていますが、インバウンドビジネスも例外ではないと言われています。

現在、日本国内で自動車を運転できる権利を持つ訪日外国人観光客はあまり多くありません。わざわざ国際免許やその国の自動車免許を取得する必要があるためです。しかし、運転手ではなく自動車自身が運転する自動運転技術が実現すれば、もはや免許を取得する必要はなくなり、訪日外国人観光客は日本国内をドライブできるようになるかもしれません。

早ければ2020年には開発が完了する見込みで、東京オリンピック開催時には訪日外国人観光客は自動運転車で自由に日本国内を旅行できるようになる……一部報道では、このように主張されています。しかし、本当にそうなのでしょうか。

今回は、インバウンドビジネスにも影響の大きい自動運転車の技術動向について解説します。自動車免許を持たない訪日外国人観光客が、日本国内を自由にドライブする未来はいつやってくるのでしょうか。

 

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自動運転技術とは:10年以上前から研究が進められていた

googleが開発を進める「google car」:google.comより引用

googleが開発を進める「google car」:google.comより引用

自動運転車とはGPS、レーダーなどにより現在地や周囲の状況を把握し、人間の力を借りずに走行する自動車のこと。一般的に知られるようになったのはここ数年のことですが、10年以上前から自動運転技術の開発は行われていました。

たとえば、DARPA(米国防高等研究計画局)は2004年に、自動運転で240kmの砂漠のコースを走行するコンペティションを開催しています。1台もゴールに到達できないという散々な結果でしたが、翌2005年の大会には完走する車両が登場。後にGoogle Carを開発することとなったSebastian Thrun氏らによるチームが最短時間でゴールしました。

現在は公道などを使った実験が行われており、時折、交通事故の報道がありますが、その件数はごくわずかです。「すでに人間より安全に運転できるのかもしれない」と見る向きもあります。

このような話だけを見ると、自動運転車の未来は前途洋々のように思えます。すぐにでも開発が完了し、自動運転車が一般販売される近いような印象を受けます。しかし、実際にはややこしい問題があるのです。

 

自動運転車を取り巻くややこしい問題

自動運転技術には5段階がある:”完全”自動運転にはまだ遠い

自動運転技術に関連した問題の一例として、平成28年(2016年)7月6日に発表された国土交通省の報道向け資料を取り上げてみましょう。表題は「現在実用化されている『自動運転』機能は、完全な自動運転ではありません!!」と、意味深なものになっています。

国土交通省はこの発表で、同年5月に起きたテスラモーターズ社製の自動車が「オートパイロット」走行中に、トレーラーと衝突した交通事故に触れ、「現在実用化されている『自動運転』機能は、運転者が責任を持って安全運転を行うことを前提とした『運転支援技術』であり、運転者に代わって車が責任を持って安全運転を行う、完全な自動運転ではありません」と主張しています。

自動運転技術は以下の5段階に分類することができ、現在、実用化されているものは人間の操作を不要とする自動運転(完全自動運転)ではないためです。

  • 情報提供型:ドライバーへの注意喚起を行う
  • レベル1(単独型):加速・操舵・制動のいずれかの操作をシステムが行う状態
  • レベル2(システムの複合化):加速・操舵・制動のうち複数の操作を一度にシステムが行う状態
  • レベル3(システムの高度化):加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請したときのみドライバーが対応する状態
  • レベル4(完全自動走行):加速・操舵・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態

運転責任がドライバーからシステムへと移行するのはレベル3から。事故を起こしたテスラモーターズ社製の自動車は、その前段階にあたるレベル2だと考えられています。

完全自動運転者の販売は2025年ごろ:時期を前倒しする計画もあるが……

完全な自動運転車(上述のレベル4に該当するもの)は、いつから販売されるようになるのでしょうか。日本政府は2020年に高速道路での自動運転を実現し、2025年ごろに販売する目標を掲げています。時期を前倒しする計画もありますが、そのためには国内の法整備、インフラの整備などを急ぐ必要が。全国的に導入され、街中で見掛けるようになるには時間がかかるでしょう。

2020年東京オリンピック開催時、もしかしたら東京では自動運転車が一部走っているかもしれませんが、訪日外国人観光客が日本国内を自由にドライブするようになっている……というのは、楽観的な意見なのではないでしょうか。

 

まとめ:自動運転技術は、東京オリンピックには間に合わないかも……?

免許を持たない訪日外国人観光客が自由に移動できるようになるという点で、自動運転技術はインバウンドビジネスに大きな影響を持っています。日進月歩で技術開発が進んでおり、東京オリンピック開催までに実用化されることを期待する声もあります。しかし、ドライバーが免許を持っていなくてもよい「完全自動運転」までの道のりは、まだまだ長いのが実情です。

とはいえ、日本では東京オリンピックの5年後、2025年に販売する目標が掲げられており、10年以内に大きなインパクトをもたらすことは十分予想できます。今後の動向に期待しましょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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