安価に宿泊できること、他の宿泊者とのコミュニケーションが取りやすいことなどから、バックパッカーのような長期滞在者に多用されているゲストハウス(ホステル)。就労ビザを持たない訪日外国人に「フリーアコモデーション」(略称:フリアコ)を実施していた経営者に罰金命令が下され、国内の関連業界で不安が広がっています。

フリーアコモデーションとはゲストハウスの仕事を手伝う代わりに、宿泊代を免除する制度のこと。今回の事件に対して「労働が許されていない訪日外国人観光客だったのだから、問題視されるのは当然の成り行き」と感じる方も多いのではないでしょうか。では、なぜフリーアコモデーションによる逮捕が注目を集めているのでしょうか。

フリーアコモデーションで逮捕者!? 国内のゲストハウスに衝撃が走る理由とは

事件の経緯:訪日外国人観光客、ゲストハウス従業員4人が逮捕

平成28年(2016年)10月にフリーアコモデーションを行っていることが発覚し、逮捕者が出たのは北海道のゲストハウス。該当の警察署は以下のようなコメントを発表し、経緯を明らかにしています。

中央区南3条西8丁目に所在するホステルにおいて、本来は働くことのできない短期滞在の在留資格で日本に滞在する外国人が、清掃員として働き報酬を得ていることから会社役員の男(45歳)、会社員の男(32歳)、会社員の女(34歳)を出入国管理及び難民認定法違反(不法就労助長)で10月12日に、同ホステルにおいて清掃に従事していた外国人の女(19歳)、(30歳)を出入国管理及び難民認定法違反(無許可活動)で10月11日に、それぞれ逮捕しました。

逮捕されたのは訪日外国人観光客と、職員の計4人。働いていた側、働かせていた側双方ともに、出入国管理及び難民認定法に違反すると見なされました。この結果、該当のゲストハウスの経営者には罰金命令が下ったことが明らかになっています。

世界中のゲストハウスで採用されているフリーアコモデーション

この事件により、ゲストハウス関係者のあいだで動揺が広がっていると言われています。ここにはどのような理由があるのでしょうか。

フリーアコモデーションは世界的に活用されている仕組みであり、国内にもこれを前提として従業員の雇用を行っている施設が数多く存在します。いわゆる「住み込みバイト」に似たような形で、利用者を募集しているWebサイトもあります。フリーアコモデーションはゲストハウス文化に深く根付いており、これが違法となると経営方針自体を見直す必要があるのです。

「就労ビザを持たない外国人が日本国内で働くのは違法」ということは一般的に知られていますが、フリーアコモデーションの場合、宿泊費がタダになるだけで賃金は発生しません。このため、フリーアコモデーションは法的にグレーなものとして扱われてきました。今回の事件報道によって、初めて違法になる可能性があることを知った経営者さえ多いと言われています。

無難なのはワーキングホリデーなどにより、日本国内で就労することができる訪日外国人観光客だけを、フリーアコモデーションの対象とすることです。しかし、訪日外国人観光客の側がゲストハウスに対して虚偽の申告を行う可能性も考えられるため、どのような方針を取るにしても、ゲストハウスにはトラブル回避に向け注意を払う必要が発生すると思われます。

まとめ:国内のゲストハウスからフリーアコモデーションが無くなる? 残る?

北海道のゲストハウスで、フリーアコモデーションを行っていた訪日外国人観光客、従業員が逮捕される事件が発生。世界中のゲストハウスで導入されている仕組みであり、これを前提に経営を行っている施設が数多く存在します。

フリーアコモデーションはゲストハウスで働くことにより、ゲストハウスの宿泊費の無料化することを指し、これまで法的にはグレーゾーンとして扱われてきました。そのため、そもそも違法であることを認識していない事業者が少なくないと言われています。

ワーキングホリデーなどを利用している訪日外国人観光客のみを対象とすれば、法的に問題がないクリーンな経営を行うことができます。フリーアコモデーションという仕組み自体は無くならないと考えてよいでしょう。また、よろしくない想像ではありますが、フリーアコモデーションを「個人的な好意から宿泊料金を無料にしているだけ。労働ではない」と言い逃れをするゲストハウスも現れるかもしれません。

「フリーアコモデーション=労働」という解釈が定着し、警察が厳しい対応が取られるとしても、ゲストハウスにおける訪日外国人観光客の労働実態を正確に把握するのは難しいのではないでしょうか。フリーアコモデーションを実施する前に、企業のように書類を用意して、労使双方が確認し、サインして……と面倒な手順を踏む義務はないのです。

どのような形にせよ、フリーアコモデーションはゲストハウスにおなじみの制度として残る可能性が高いと思われます。

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