日本政府観光局(JNTO)は6月2日、国内での国際会議の開催件数が過去最高となる355件だったことを発表しました。アジア・オセアニア・中東地域では4年連続で開催件数1位を記録しており、世界全体でも7、8位をキープしています。

しかし、国際会議は欧米での開催が過半数を占めており、ドイツでは日本の倍にあたる600~700件ほど開催されています。今後も日本ではMICE誘致に向けた積極的な取り組みが行われるのではないでしょうか。今回は、国際会議をはじめとしたMICE誘致の現状について解説します。

 

国際会議の開催状況

前述の日本政府観光局の発表は、ICCA(国際会議協会/International Congress and Convention Associationの略称)による統計に基づいています。ICCAは、90ヶ国の約1,000団体の業界関係者が所属し、国際会議に関する情報を収集、発表する国際機関。国際会議の開催件数を年に1回発表しており、世界全体の国際会議開催状況を把握できる統計として重要視されています。

地域別の国際会議開催件数:アジアでは2000件弱

世界の国際会議開催件数の推移

世界の国際会議開催件数の推移

2006~2015年までの国際会議の開催件数を地域別に分類したICCAの資料によれば、2015年に開催された国際会議は全部で12,076件。そのうち、6,579件は欧州で開催されており、アジアは1,993件。比率としては欧州が全体の約半数、アジアはその3分の1程度となっています。

国際会議の開催件数は2006年(8,877件)から約1.5倍に増加していますが、地域ごとの比率に大きな変化はありません。近年では中東での開催が増加していますが、元々の件数が少なく大きなインパクトはありません。

国別の国際会議開催件数:日本は開催件数停滞気味

国際会議開催件数上位10カ国の推移

国際会議開催件数上位10カ国の推移

次は国別の開催件数を比較してみましょう。

2006~2015年まで、一貫して世界最多を記録しているのはアメリカ。2015年には900件以上を記録しています。次いで多いのは開催件数を大きく伸ばしているドイツで、ここ数年は600~700件程度。その下には、例年約400~600件開催しているイギリス、フランス、スペイン、イタリアがかたまっています。

日本はこれらの国々よりもさらに開催件数が少なく、中国やオランダ、カナダに並んで例年200~300件強。グラフを見ると、アメリカや欧州諸国の上位集団が2006年からの10年間で100~200件ほど開催件数を伸ばしているにもかかわらず、日本でははっきりとした増加傾向が見られず停滞していることが分かります。

日本の都市別の国際会議開催件数:東京をはじめとした一部都市に集中

日本の都市別国際会議開催件数

日本の都市別国際会議開催件数

次は都市別の国際会議の開催件数を見てみましょう。上位から順に東京都、京都府、福岡県、大阪府、横浜、札幌、名古屋、神戸、沖縄となっています。

世界順位で20位台にいる東京都は、2014年に90件、2015年に80件開催。京都はその約半数で、2014年に45件、2015年に47件。福岡、大阪は2015年に開催件数を伸ばし、20回以上に。そのほかはおおむね20件以下となっており、国際会議が一部の都市に集中していることが伺えます。

 

国際会議をはじめとしたMICE誘致に向けた日本の取り組み

日本は「MICE推進アクションプラン」に基き、2010年を「Japan MICE Year」に設定。以降、MICEの誘致に向けたさまざまな事業を行っています。

2013年に閣議決定された「日本再興戦略」では、2030年に「アジアNO.1の国際会議開催国としての不動の地位を築く」ことが目標として掲げられ、産業、学術分野において国際的なネットワークを有する人物を「MICEアンバサダー」とし、広報・誘致活動に寄与してもらう「MICEアンバサダープログラム」を開始しました。

また、同年には東京、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、福岡市が「グローバルMICE都市」に選定され、国と自治体との連携強化、プロモーション支援などが行われました。2015年には札幌市、仙台市、千葉県千葉市、広島市、北九州市の5つが「グローバルMICE強化都市」として選定されています。

「観光立国実現に向けたアクション・プログラム 2015」でもMICEの誘致は優先度の高い課題として掲げられています。これに基き、2015年度には成田空港、関西空港で「ファーストレーン」が導入されました。VIP、国際会議などの参加者の出入国手続きを短時間化するもので、対象者にはQRコード付きのクーポンが配布されます。成田、関西空港以外の主要空港にも導入されるものと見られます。

そのほかにも、ビジネスジェットの利用環境整備、「信頼できる渡航者」に関しては自動化ゲートの対象とする制度の準備など、出入国手続きの簡便化が行われる見込みです。

 

まとめ:今後も誘致に向けた積極的な取り組みが必要

国際会議の増加に伴い、アジアや中東での開催件数は年々増えています。しかし、国際会議の約半分はヨーロッパで開催されており、アジアはその3分の1程度。この比率は大きく変わっていません。日本は2030年までに「アジアNO.1の国際会議開催国としての不動の地位を築く」を目標として掲げ、2010年以降、日本ではさまざまな取組を行っています。2012~2015年まで4年にわたって、アジア・オセアニア・中東地域で1位を獲得しています。

しかし、中国と開催件数があまり変わらないのが現状です。今後もMICE誘致に向けた取り組みを積極的に行う必要があります。

 

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