世界で最も豊富な日本語人材を有する国・中国 日本語学習者100万人で世界1位:日本語ローカル人材の現状と求職者の動き〜中国・香港・シンガポール編

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アジア各国の現地人材採用に役立つ日本語人材の現状や求職者の動きを解説するシリーズ。今回は 中国・香港・シンガポール を取り上げます。

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インドネシアの日本語学習者は74.5万人で世界2位:日本語ローカル人材の現状と求職者の動き〜インドネシア・タイ・ベトナム編

アジア諸国における現地日本語人材の採用や定着は、進出企業にとって常に頭を悩ませる問題です。アジアの人材は、日本人とは異なる文化的背景や労働観、キャリア意識などを持っており、優秀な日本語人材を現地採用し、長く働いてもらうことは容易なことではありません。この課題に取り組むためにはまず、各国の日本語人材の現状や求職者の動きを把握した上で、最適な人事・採用戦略を練ることが不可欠 でしょう。目次東南アジアにおける日本語人材の規模インドネシアの日本語人材の規模タイの日本語人材の規模ベトナムの日本語人材...

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中国・香港・シンガポールにおける日本語人材の規模

中国の日本語人材の規模

国際交流基金による最新2015年の調査によれば、中国における日本語学習者数は 約95万3000人で世界一 です。同年の調査では、このうち大学・短大などの高等教育における日本語学習者の割合については今のところ公開されていませんが、2012年の調査時にはこの割合は 64.9% となっており、同程度の水準と見積もった場合、高等教育において約60万人の日本語学習者がいる と試算できます。

また、日本に留学する留学生の数も世界一で、2015年調査で94,111人独立行政法人日本学生支援機構調べ)となっています。日本語と中国語の親和性も考慮し、この多くが学位取得に必要とされるN2以上と仮定するならば、世界でももっとも豊富な日本語人材を有する国 と言えるでしょう。

香港の日本語人材の規模

香港における日本語学習者数については、香港日本語教育研究会が2016年時点で 2万人以上 との数字を出しています。また、少し古いデータとはなりますが、国際交流基金の2012〜2013年の調査では、学習者数は 約2万2000人 となっています。同調査によれば、香港は民間の教育機関による日本語教育が盛んな点が特徴 で、学習者のうち学校教育以外で日本語学習をしている人が 75.5% を占めていたといいます。

いっぽう、日本語能力試験の受験者数は、2012年から2015年まで 毎年1万1000人前後 で推移しており、日本語学習者数の大きな増減はないと予想されます。日本語と親和性の高い広東語が公用語であることもあり、学習者に占めるN2、N1人材の割合は比較的に高い傾向 にあるでしょう。

シンガポールの日本語人材の規模

国際交流基金の2012〜2013年の調査が最新のものとなっており、学習者数は 約1万人 となっています。同基金の分析によれば、近年はK-POPを始めとした韓流ブームの影響で 韓国語の人気が高まっており、高等教育機関などで韓国語を選択する学生が増加、日本語学習者数は全体的に減少傾向にある としています。

いっぽう、日本語能力試験の受験者数は、2012年から2015年まで毎年 3500〜4000人 ほどで推移しており、大きな増減はありません。

中国・香港・シンガポールにおける日本語力の付加価値

中国の日本語力の付加価値

帝国データバンクの2016年調査によれば、中国に進出する日系企業数は2016年8月のデータで 1万3934社で、米国やASEAN10カ国にある日系企業の拠点数を大きく上回っています。 しかし、中国国内での日系企業は人気は決して高いとは言えず、 大学生の就職人気企業ランキングでベスト50に入ることはまれです。日系企業の給与水準が国営企業や外資系企業に劣る傾向にあるのもこの一因で、英語人材に比べて日本語人材の給与水準は低くなっています。

このような傾向により、中国での日系企業の人材採用は、中国のローカル企業や、外資系企業など、日本以上の競争の中で、より採用スキームと条件の交渉が必要となってきます。

香港の日本語力の付加価値

香港投資推進局によれば、香港に進出している日系企業数は 1380社以上 とされています。このため、日本語人材には常に一定の需要があります。 ただし、近年では管理職層でも中国大陸・香港出身者が増え、日系企業でも英語でのコミュニケーションが主流になってきており、日本語を話せる香港出身者に対するニーズは減少傾向 にあります。日本語力によるプレミアムはなくなりつつあると言えるでしょう。

シンガポールの日本語力の付加価値

帝国データバンクによる2016年調査によれば、シンガポールに進出している日系企業数は2016年4月のデータで 2821社でASEANで2番目に多くなっています。 このため、日本語人材へは常に一定の需要があります が、英語を社内公用語としている企業も多いため、日本語の付加価値自体はそれほど高くはなく、日本語人材と英語人材の給与水準は同程度 だといいます。

ただし、若い層の日本語学習者が減少していることや、シンガポールでの日系企業人気が非常に低い こと(大学生の就職人気ランキングで100位以内に入ることはほぼありません)、優秀な人材の確保は容易ではないでしょう。

中国・香港・シンガポールにおける日本語人材の就職活動

中国の日本語人材の就職活動

大学生は4年生になった直後、秋から就職活動を開始するのが一般的 です。上位大学や有名企業ほど内々定は早い傾向にあります。新卒者の入職経路については 「大学の紹介」、「就職サイトや就職情報誌」、「家族や知人の紹介」 が主なものとなっています。

いっぽう、転職傾向については、20代・30代の平均転職回数は 1.09回(リクルートワークス研究所調査)とアジアの中では比較的少なく、 日本(0.87回)、韓国(0.99回)に近い水準になっています。主な転職理由は 「賃金への不満」が1位、会社の将来性や雇用安定性への不安が2位 となっています。ただし、最近では経済成長の鈍化を背景に、給与減でも転職に踏み切る求職者 も増えつつあるといいます。

香港日本語人材の就職活動

企業側が即戦力を求める傾向が強い香港では、新卒採用をする企業はほとんどなく、 新卒者も転職者も企業のポジションが開いたときに募集に申し込み、職を得るのが一般的となっています。香港の大学では5〜6月に授業が終わり、卒業は10月頃になりますが、新卒学生では 就職活動のピークは例年6月頃 になるといいます。

いっぽう、転職への抵抗感は低く 、主な転職理由には 「他社からの良いオファー」や「給与や賞与に対する不満」 などが挙げられ、より高い報酬を求めて転職をする傾向が強い と言えるでしょう。特に入社歴の浅い若年人材については、多くの企業が定着に頭を悩ませているといいます。なお、転職者の入職経路については、人材紹介会社や求人サイト、フリーパーパーなどの求人広告媒体などが主となっています。

シンガポール日本語人材の就職活動

シンガポールでは、基本的に 大学は3年で卒業する (優秀者のみが4年間学問を続けることができます)ので、大学生は 大学3年時の夏に就職活動を行い、3〜5社と接触して1か月程度で決めるのが一般的 です。就職活動においては、大学の役割が非常に強く、成績がかなり重視されるほか、学内でのキャリアフェア等での採用活動もしばしば行われ、採用直結のインターン(大学の単位になることも多い)に参加する学生も多くなっています。

いっぽう、転職は非常にさかん です。特に転職者が多いのが 30代未満の層 で、年齢階層が上がるにつれ、2年以内に転職した人の比率は下がります。転職者の入職経路については、「インターネット利用」、「広告を見て直接企業に応募」、「友人や親戚の口コミ」 が中心となっており、特に大卒者では 「インターネット利用」 の割合が非常に高くなっています。

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