日本政府観光局(JNTO)は毎月、訪日外国人観光客数の推計値を発表しています。訪日外国人観光客観客数は年々増加しており右肩上がりの好調子なのですが、その理由として必ずといっていいほど挙げられているのは、クルーズ船の寄港増加です。

なぜ飛行機よりも時間のかかるクルーズ船が、これほどまでに大きな影響を及ぼしているのでしょうか。また、官公庁はどのような施策を行っているのでしょうか。今回は、訪日外国人観光客の誘致に高い効果を発揮しているクルーズ船の動向についてご紹介します。

 

クルーズ船がインバウンドビジネスに大きな影響力を及ぼしている理由とは

航空機の登場以降、海運からレジャーへと発展

なぜ飛行機ではなく、クルーズ船がここまで大きな影響力を持っているのか。それを理解するには歴史的な背景を理解する必要があります。

19世紀半ばから約1世紀にわたり、大陸間の移動に使用されていたのは外洋客船でした。巨大な豪華客船が次々に登場し、市場も賑わっていたと言われています。映画で有名なタイタニック号は、ちょうどこの頃に建造されました。

しかし、20世紀半ばに航空機が登場し、大きく需要が低下。しばらくは運賃の安さで粘っていたものの、70年代にジェット機が出現したことが致命打になります。長距離間の移動手段としての役目を終え、船旅はレジャー、観光産業にシフトしました。

このような技術革新による市場の変動によって誕生したのが、クルーズ船。プールや映画館、カジノなどの娯楽施設を備え、速度よりも旅行の楽しさや快適性を重視しているのが特徴です。

「クルーズ船による海外旅行=時間のあるお金持ちが楽しむもの」というイメージを持っている人も少なくないと思われますが、ここ10数年間で船体の大型化が進み、低価格で利用できるようになりました。船旅は多くの人が楽しめるものに変化し、現在は世界的なクルーズブームが起こっていると言われています。単なる海運からレジャーへと形を変えて、船は再び旅行に利用されるようになったというわけです。

クルーズ船の需要は拡大の一途

クルーズ船は、実際にはどのくらい利用されているのでしょうか。国土交通省が平成28年(2016年)2月2日に公開した資料から確認してみましょう。

クルーズ利用者は世界的に増加しており、1990年は463万人、2000年は1,030万人、2010年は2,116万人と10年ごとに倍加しています。北米の利用者が過半数を占めていますが、利用者数が増大しています。

たとえば、2020年にインド以東のアジアで380万人、中国だけで450万人に達するという予測があります。それぞれの数字が矛盾しているため、どちらが正しいのかは分かりませんが、大きな需要があることは見て取れるでしょう。なお、日本の反応はいまひとつで、クルーズ人口は2012年が21.7万人、2013年が23.8万人、2014年が23.1万人とあまり変化が見られません。

 

クルーズ船誘致に向けた国内の取り組み

このような背景のもと、国土交通省は訪日外国人観光客の誘致に向け、さまざまな取組を行っています。2020年に「クルーズ100万人時代」を実現することを目指していましたが、2013年に約17万人、2014年に約42万人、2015年に約111.6万人を記録。5年前倒しで、目標を達成しています。

問い合わせ窓口の一元化

平成25年(2013年)、「クルーズの振興のためのワンストップ窓口」を発表。海外のクルーズ船社から寄せられた「一元的窓口がない」「各種情報が不足している」といった声を受けたものです。

商談会などの開催

全国115の首長などが参加する「全国クルーズ活性化会議」と連携し、クルーズ船社、自治体などが参加する商談会を実施。沖縄や宮崎、福岡など日本各地で開催されています。

クルーズ船の受入環境の改善

クルーズ船の寄港数増大、大型化に対応するために、日本各地の港の既存の設備を活かしつつ、改良を行いました。たとえば、夜間に出港するクルーズ船が利用できるように照明の配置などを行っています。

 

クルーズ船がよく寄港する日本の港は?

港別・クルーズ船の寄港数(国交省より)

港別・クルーズ船の寄港数(国交省より)

日本にはクルーズ船が寄港する港湾が104箇所ありますが、利用船数は大きく異なります。

国土交通省によれば、2015年のクルーズ船の寄港回数は全体で1,454回。そのうち、外国船社が運行するものが約3分の2を占めています。湾岸別で見ると、以下のとおり。

  • 外国船社が運航するクルーズ船の寄港回数
    • 第1位:博多港( 245 回)
    • 第2位:長崎港( 128 回)
    • 第3位:那覇港 (105 回)

 

まとめ:クルーズ船は世界的な大ブーム!

クルーズ船による海外旅行は世界的なブームになっており、年々利用者数が増大しています。日本でも対応が行われており、2015年には利用者数100万人を達成しました。この目標は本来2020年を目処にしていたもので、目標をかなり前倒しで実現した形になります。

新たな目標として利用者数500万人を掲げており、今後も積極的な対応が進められていくと思われます。

 

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