中国ダブルイレブン終了→明日22日は「ブラックフライデー」:世界の消費トレンドはEC・エシカル・理性…インバウンド富裕層をつかむヒント

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年々注目度を高める、中国の「ダブルイレブン」が今年も終わりました。中国では11月11日は英数字の「1」が四つ並ぶ様が独身者がたくさん並んでいるように見えるとの理由で「独身の日」として人々に認知されています。

こうした独身者が自分をお祝いするために、EC大手のアリババが仕掛けたイベントが「ダブルイレブン」です。昨年のダブルイレブン一日のアリババグループによる流通総額は約3.5兆円でした。今年も一時間で1.5兆円、1日で4.16兆円の取引が行われたことを同社が発表しています。

近年では中国のダブルイレブンに注目が集まりがちですが、商業主義の本家本元ともいえるアメリカ発の「ブラックフライデー」にも世界の消費者の最新トレンドが現れていると考えられます。今回は、「ブラックフライデー」は世界の消費者にとってどのような機会になっているのか、また、小売り業のトレンドについても解説します。

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ブラックフライデーとは?

ブラックフライデーは、クリスマスを控えた年末商戦の始まりとも言われており、アメリカでは一年で最も大規模なセールが行われる日でもあります。アメリカ由来のイベントでアメリカやハワイで盛んなイメージがありますが、ドイツやイタリア、ブラジル、中国など世界中に広がりつつあります。

ブラックフライデーは11月の第4木曜日の「サンクスギビングデー(感謝祭)」の翌日の金曜日で、2019年の場合は11月29日です。

なぜ年末商戦の始まりになったかといえば、「サンクスギビングデー」である第4木曜日から3日後の「アドベント(待降節)」まで、アメリカでは4日間の連休になるからです。キリスト教社会では、一般的にキリストの降誕であるクリスマスの約4週間前の「アドベント」は、クリスマスへの精神上の準備期間の始まりと捉えられます。

アメリカのクリスマスは日本の正月のようなものなので、年末の帰省が「サンクスギビングデー」から始まる4連休にする人も多く、こうした季節感も年末商戦の始まりを盛り上げていることでしょう。

広がるセール…イギリスは独自路線?

ブラックフライデーは近年アメリカ以外でも取り込まれるようになり、世界中に広がりを見せていますが、定着具合や導入方法など、国や文化によって違いが出ています。

まず、比較的しっかりなじんでいるのはキリスト教文化が浸透している欧州です。イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、イタリアの5か国で、2014年から2017年のGoogleで「ブラックフライデー」が検索された件数の推移を調査したところ、イギリスを除く4か国では4年間で倍以上に増えていました。

イギリスはというと、決して認知度が低いわけではないようですが、12月26日にあるボクシングデーという伝統的なショッピングイベントがある関係で、ブラックフライデーが定着しないのではないかと言われています。

一方、ドイツは欧州の中でもブラックフライデーが盛り上がりを見せています。ドイツの場合、ブラックフライデーの収益が高いのはモバイルコマース(スマートフォン経由の購入)となっています。欧州、特にドイツではスマートフォンでの買い物が普及しており、実際に店頭でサイトの商品と値段を比較しながら買い物をしているそうです。

デジタル化が進んだことでブラックフライデーを取りやめる事例もある一方で、ヨーロッパの一部ではECの普及がブラックフライデー商戦を後押しする結果になっています。

また、ブラックフライデーの期間に店頭とネットで値段を比較し、連休明けの月曜にネットショッピングの売り上げが伸びるという「サイバーマンデー」という現象も生まれています。

中国は不発?日本ではイオンが先取り→今年Amazonが展開

一方アジアでは、こうした世界の消費ムードを取り込むかのようにブラックフライデー近辺の日取りのチケットをキャンペーンを開催して割引する動きも見られます。中国では前述のダブルイレブンと日取りが近いとあってか、前々日の11月20日時点では、二大ECサイトでは「ブラックフライデー」をうたう様子は見られませんでした。

日本でも、年末やクリスマスのセールを前倒しする形で徐々に認知度を上げ始めています。2016年からイオングループでは「ブラックフライデー」の単語を使って消費を喚起していました。今年はAmazonが初めてブラックフライデーの企画を日本で展開するとあり、その反応に注目が集まります。ただし日本国内のこうした取り組みは、年末の消費の盛り上がりを先取りするだけで、販売店からするとおいしい機会になるかどうかは疑問視する声もあります。

変わる世界のトレンド”単なる消費”に満足しない消費者

ブラックフライデーはじめ、これまで消費者はセールを通じて、安く、たくさんの良質なものを手に入れられることにメリットを感じてきていました。

しかし近年では、消費者が環境への負荷を減らすことや、社会貢献などを考えた商品やサービスを選ぶ傾向が世界では広がりつつあります。搾取を防ぐために途上国から適正な価格で商品を購入するフェアトレードもこうした流れの一つと解釈することもできるでしょう。

消費を促す存在であった広告も変わりつつあります。アパレルメーカーのパタゴニアは、2011年ニューヨーク・タイムズに「この製品を買わないで」と自社の衣類を広告します。その意図は、必要のない場合には限りある資源を消費する必要はないと訴えることにあります。

衣料品の廃棄量の削減には日本も数年前から動きがあり、ユニクロはじめH&M、ワールドなどの取り組みが報じられています。またマクドナルドは付属の玩具の回収と再利用をすすめています。

中国では「理性消費」呼びかけも

ダブルイレブンの盛り上がりが伝えられている中国ですが、単にお得にものを買うことではなく、「理性的」であることを訴えるメッセージも時々に見られるようになってきました。消費の快楽に溺れるのではなく、本当に必要なものだけを選択するべきという考えが主張されています。またその背景には自分の経済力を超えて購入してしまう消費者の姿があるようです。消費が娯楽の一つとなっていることの表れとも言えるでしょう。

これからは、ターゲットとする消費者層が真に求めている「物」についてだけでなく、消費という行動に含まれる意味について、理解を深めていく必要があるのかもしれません。

まとめ:「エシカル」キーワード、富裕層へ訴求も

多くの物を消費することによる充足感は、すでに金銭的に満たされている人々の関心を誘えなくなってきているようです。断捨離を全面に押し出す「こんまり」さんのアメリカでのヒットにもこうした傾向が隠れているでしょう。

大量消費が持続可能性のない行動であることに気付き始めた先進国の消費者は、消費するものを選択し、その選択を通じて持続可能な世界を実現させようとしています。こうした観点を取り入れたエシカル(ethical=倫理的な)消費が、今後世界では重要なキーワードとなってくるでしょう。

インバウンドの業界においても、パタゴニアの広告のように、富裕層向けには「倫理的に肯定されるもの」であることを訴求することも戦略の一つと言えるかもしれません。

その一方で、世界の多数にとっては引き続き「物質的に満たされることで得られる幸福感」が肯定的にとらえられていくと考えられます。こうした2つの、一見すると矛盾するような観点を両立させることがこれからの市場では重要となってくるでしょう。


<参照>

アリババグループ:天猫ダブルイレブンで過去最高のGMV 4兆円超えを達成

流通施策ドットコム:米国最大のセール「ブラック・フライデー」にも変化!?

ECのミカタ:ブラックフライデーは欧州のホリデーショッピングを変える?

BusinessInsider:ドリトス、パタゴニア、フォルクスワーゲン…広告らしくない8つの広告

Yahoo!JAPANニュース:着実に浸透「エシカル消費」 訪日外国人増でホテル、外食など対応急ぐ


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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