グリーンウォッシングとは主に企業のブランドイメージにおいて、地球環境にやさしいか、あるいはエコロジーを標榜するような表現で装い、実態ではそうではなく、消費者を騙すような行いを指します。
「サステイナブルツーリズム」や「SDGs」という環境保全を掲げた言葉が流行する一方で、「グリーンウォッシング」という言葉も耳にするようになりました。
この記事では、グリーンウォッシングの概要から問題点、該当する表現、グリーンウォッシングだと思われない例を紹介します。
顧客が商品やサービスを選ぶきっかけとして「環境に配慮しているか」が影響しているのは確かです。しかし環境配慮のアピールがあからさまであったり、短絡的に感じられてしまえば、消費者にグリーンウォッシングの烙印を押されかねません。
どのような表現がグリーンウォッシングと判定されてしまうのか、目指すべき表現はどのようなものなのかを見ていきましょう。
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グリーンウォッシングとは?
グリーンウォッシングとは、環境に配慮しているように見せかけ、消費者をあざむこうとする行動を指します。
環境への配慮を意味する「グリーン」と、取り繕うことを意味する「ホワイトウォッシュ」からなる造語です。
Booking.comの調査によれば、日本の旅行者の82%が「旅行において、サステナビリティが非常に重要だ」と回答しています。
環境へ配慮していることが顧客に伝わることで、購買決定を後押しすることがわかってきた昨今、それを悪用しようとする動きがあると考えられます。
グリーンウォッシングの問題点
環境保全をアピールすることで、一時的に売り上げが増加するかもしれません。
しかし、それがグリーンウォッシングだと消費者に判断されれば、ブランドイメージを著しく損なうことに繋がりかねません。
ここではグリーンウォッシングがどのような問題を引き起こすかまとめます。
消費者の選択を歪める
グリーンウォッシングは、消費者の選択を歪める行動です。
見せかけの「環境に配慮している」というイメージが、顧客の購買意欲に影響を与えるからです。
実際、Booking.comの調査において、日本の旅行者の82%が「旅行において、サステナビリティが非常に重要だ」と考えており、31%が「今年はサステナブルな宿泊施設に滞在したい」と回答しています。
グリーンウォッシングをする企業が増えるほど、顧客は「環境への配慮を謳う商品・サービス」に対して不信感を抱くようになり、購入を避けるようになってしまいます。
企業イメージ・売上が低下する
「グリーンウォッシング」だと判断されれば、企業イメージや売り上げは低下します。
「見せかけのエコ」によって顧客を騙し続けていたことになるのですから、イメージや売り上げの低下は必至でしょう。
しかし、意図せずしてグリーンウォッシングと取られかねない表現をしてしまうことにも注意が必要です。
本当に環境に配慮している商品だったとしても、広告やホームページなどの文言がグリーンウォッシングと判断される可能性があります。
グリーンウォッシングに該当する表現
悪意がなくとも、広告表現等によってグリーンウォッシングをしてしまう可能性はあります。
グリーンウォッシングに該当する表現として代表的なものが、以下の5つです。
- 環境破壊の隠蔽
- 証拠が不十分な主張
- 環境への効果があいまい
- コントラストを使った環境破壊イメージの低減
- 無関係なものを引き合いに出す
広告やホームページなどで自社の環境保全策についてアピールする際には、グリーンウォッシングの表現に注意すべきです。
環境破壊の隠蔽
グリーンウォッシングに該当する表現として「環境破壊の隠蔽」があります。
何か1つのポジティブポイントを主張することで、その裏に隠れている環境破壊を隠す手法です。
たとえば、サステイナブルな生地で服を作っているが、服の作成過程において多くの二酸化炭素を排出するなどです。
都合が悪いところを隠そうとしないよう、注意しましょう。
証拠が不十分な主張
証拠が不十分な「環境への配慮」という主張も、グリーンウォッシングに該当します。
「専門用語」や「環境に良いイメージのある言葉」ばかりを使って証拠を示さないケースがよくみられます。
この表現を避けるためには、「なぜ環境にいいのか」という部分をしっかり説明することを意識するといいでしょう。
意図せず証拠不十分な主張をしてしまい、グリーンウォッシングだと判断される危険性もあります。
環境への効果があいまい
環境への効果が曖昧な表現も、グリーンウォッシングだと判断されます。
環境への効果が曖昧な表現とは、以下のようなものです。
- 二酸化炭素の過度な排出を改善します
- 自然にやさしい成分を使用しています
- 環境保護を意識してこの製品は作られました
無難な表現にみえるため使いがちですが、実は使うべきではない表現です。
コントラストを使った環境破壊イメージの低減
コントラストを使った環境破壊イメージの低減も、グリーンウォッシングに該当する表現とされています。
つまり、「〇〇に比べたらウチの商品は環境に優しいですよ」という主張をすべきではないのです。
なぜなら、本質的にはどちらとも環境を破壊するものであり、一方が「環境に優しい」というわけではないからです。
何かと何かを比較する際には、それが不適切な比較ではないかチェックが必要です。
無関係なものを引き合いに出す
無関係なものを引き合いに出した表現も、グリーンウォッシングとなります。
「無関係なものを引き合いに出す」とは、販売する商品やサービスとはまったく関係のないものを提示し、あたかも商品やサービスが環境に配慮したものであるかのように見せることです。
たとえば、まったく環境に配慮していない商品を「環境に配慮する」という企業理念と並べて提示するなどです。
一時的に顧客の選択を歪めて売り上げを向上させられますが、長期的に考えると絶対にやってはいけません。
グリーンウォッシングに該当しない例
グリーンウォッシングに該当せず、「環境に配慮している」とアピールできた例もあります。
環境保全を打ち出すのならば、この3つを参考にして広告やホームページを作成するといいでしょう。
アマンリゾーツ
世界的なラグジュアリーホテルチェーン「AMAN」は、ストーリーによってサステイナブルを表現しています。
日本の企業では、「SDGsにおける17の目標」の番号を表記する事業者がよく見られますが、AMANはあえてそのような表現をしません。
特にこのようなラグジュアリーホテルブランドにおいて、サステイナビリティを「流行に合わせて主張している」と受け取られることは避けたいと考えられます。
そうではなく、普遍的、本質的な価値を顧客に感じてもらうために、あえて流行の言葉を使わない態度がうかがえます。
シックスセンシズ
2024年春に京都で開業予定であり、それが日本初上陸となるホテルブランド「シックスセンシズ」は、写真や動画を用いて環境への配慮を紹介しています。
写真や動画の活用によって、どんな人にでもわかりやすいものになっています。
また、動画ではシックスセンシズのシェフがプラスチックフリーのキッチンを紹介してくれるものなどがあり、リアリティを感じられます。
視覚的にも環境への配慮がわかりやすいのが、シックスセンシズのサステイナブルへの取り組み説明の特徴です。
「グリーンウォッシング」と判断されないために
「グリーンウォッシング」と判断されないためには、環境保全に関する表現に注意を払う必要があります。
そもそも「環境へ配慮していることにしよう」という邪な考えがあればグリーンウォッシングに該当するのは間違いありませんが、どれだけ真剣に環境に配慮していたとしても広告やホームページでの表現がグリーンウォッシングに該当しれいれば、顧客は「騙された」とネガティブな印象をもってしまうのです。
自社が環境に対して「どんなことをしていて」「どれくらいのことをしていて」「具体的にどんな効果が出ているのか」などを明確に表記する必要があります。
環境のためはもちろん、自社のためにも「グリーンウォッシング」と判断されないように、広告やホームページでの文言には気をつけるべきでしょう。
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