どの国籍の訪日外国人がどこを訪れているのかを把握することは、インバウンドマーケティングにおいて最重要といっても過言ではありません。訪日ラボにおいても、観光庁が発表する「訪日外国人消費動向調査」平成27年のデータを用いて、国籍別の各都道府県別訪問率をお伝えしました。

今月初め、8月5日にNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が「訪日アジア観光客の東京の街に対するイメージ」調査結果に関するプレスリリースを発表しました。

この調査は、同社が運営するインターネットアンケートサービスを利用し、インバウンド市場において主要顧客である訪日中国人観光客、訪日台湾人観光客、訪日タイ人観光客への調査を実施。日本の観光地の訪問率の他、年代別分析、その観光地のイメージなども調査しており、観光庁の「訪日外国人消費動向調査」に対して、より深掘りした内容となっています。

 

「訪日アジア観光客の東京の街に対するイメージ」概要

本調査はNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社と実践女子大学が共同で実施。NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」を活用し、中国,台湾,タイ在住の海外モニターのうち、直近過去1年以内に観光目的で日本に訪れた経験のある629人を対象に、アンケート調査の実施・分析をしています。

「訪日アジア観光客の東京の街に対するイメージ」総括

プレスリリースによると

アジア系観光客が訪問する国内観光スポットとしては依然として東京・大阪・京都が定番の人気でありますが、タイ人観光客には北海道が人気、20代など若い世代には大阪が人気など、国や年代により傾向に違いが見られ
(略)
都内の観光地に関しても新宿、渋谷、銀座の3大エリアが人気ではありますが、各国の観光客からの自由意見を読み解くと、国籍や年代の違いにより微妙な傾向の違いが見られ

るとのこと。東京・大阪・京都としった定番スポットの人気が強いことや、訪日タイ人観光客の北海道人気など、大まかには観光庁の「訪日外国人消費動向調査」と同様の調査結果の模様です。それでは、本調査の各項目について見ていきましょう。

 

ゴールデンルートを結ぶ東京・京都・大阪の人気は強く、北海道は訪日中国人観光客と訪日タイ人観光客に人気を集める

国内観光での訪問都市(国別):NTTコム リサーチより引用

国内観光での訪問都市(国別):NTTコム リサーチより引用

観光客の国籍別訪問率を見てみると、ゴールデンルートを結ぶ主要観光都市が強く、どの国籍においても東京・大阪・京都の順で訪問者が多いことが分かります。また、名古屋の訪日中国人観光客訪問率が高いことからも、ゴールデンルートが団体旅行の多い訪日中国人観光客にとって定番ルートとなっていることが伺えます。

特徴的なのは北海道。訪日中国人観光客と訪日タイ人観光客が京都と同水準で訪問しています。訪日中国人観光客による北海道人気は、大ヒット中国映画「狙った恋の落とし方。」(中国名:非誠勿擾)のロケ地であったことが主要要因と見られています。また、訪日タイ人観光客にとっては、自国では雪が降らないため、日本の雪の体験は特別な印象であることが北海道人気の理由と言われています。
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北海道の他にもロケツーリズムの影:タイ人による佐賀人気

他に特徴的なのは訪日タイ人観光客による福岡人気です。こちらも北海道同様ロケツーリズムの影響です。2014年公開のタイのヒット映画「タイムライン」が佐賀県をロケ地にした影響で、佐賀のタイ人人気が急上昇しました。

「タイムライン」は佐賀・唐津市内を練り歩く伝統行事「唐津くんち」の様子を盛り込みながら佐賀県の美しい風景を映し出しているハートフルなラブストーリー。映画のヒットの影響で佐賀へのロケツーリズムが流行します。

そのため、佐賀へ訪問するタイ人が九州の玄関口 福岡国際空港を利用。佐賀人気とともに福岡への訪日タイ人観光客の訪問率も上昇したものと見られます。
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若者に人気の大阪・北海道、高齢層に人気の京都・名古屋

年代別の集計を見てみると、世代別の訪日目的が明らかになってきます。

国内観光での訪問場所(年代別):NTTコム リサーチより引用

国内観光での訪問場所(年代別):NTTコム リサーチより引用

東京はどの年代も訪問率に差がないにも関わらず、大阪は20歳代の訪問率が最も高く、年齢が上がるに連れ訪問率は下がります。これは、大阪の訪問目的がユニバーサル・スタジオ・ジャパンがメインであることが要因として考えられます。また、北海道の若年層訪問率の高さは先述のロケツーリズムによるものと考えられ、若年層にとってはアトラクション要素の強い観光スポットが人気であることが分かります。
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それに対し、京都や名古屋は比較的高年齢層になるにつれて訪問率が高くなる傾向があります。京都の古寺や名古屋城といった歴史的コンテンツは若年層にとっては刺激が弱く、高齢層の方が訪問率が高くなるということが考えられます。

若者は刺激的なコンテンツを求め、高齢層は歴史的コンテンツや買い物を楽しむ

都内観光での訪問した街(年代別):NTTコム リサーチより引用

都内観光での訪問した街(年代別):NTTコム リサーチより引用

また、上記の傾向は年代別都内訪問率からも裏付けられます。渋谷や原宿は若年層の訪問率が高く、銀座や新宿、池袋、秋葉原、そして浅草は高齢層の訪問率が高い傾向にあります。

スクランブル交差点の渋谷、カワイイ文化の原宿は街歩きだけで観光コンテンツとなる街です。これらの刺激的なコンテンツが若年層に刺さっていることがデータから伺えます。

銀座や新宿、池袋は三越、伊勢丹、西武、東武といった日本最大手百貨店を擁する街です。そのため、高級品のショッピングを楽しむ余裕のある高齢層からの人気が高いことが考えられます。また、秋葉原も同様に家電製品のショッピング、歴史を感じられる浅草も高齢になるに連れ訪問率が上がっていきます。

東京の街に対するイメージが年代別訪問率の違いに反映か

上記の年代別の都内訪問率の違いは、各街のイメージの定着が影響している可能性があります。訪日外国人観光客も、それぞれの街に対して日本人とほぼ同様の印象をもっています。

新宿のイメージ:NTTコム リサーチより引用

新宿のイメージ:NTTコム リサーチより引用

新宿は「便利」で「にぎやか、活気がある街」として認識。

高級店が集まる銀座は「高級的な」「物価が高い」イメージが持たれています。

銀座のイメージ:NTTコム リサーチより引用

銀座のイメージ:NTTコム リサーチより引用

渋谷のイメージ:NTTコム リサーチより引用

渋谷のイメージ:NTTコム リサーチより引用

渋谷は「最新トレンドを感じる」「楽しめる」というイメージが強いようです。

 

まとめ:データの背景にある要因を推定することがインバウンドマーケティングの第一歩

観光庁やJNTOをはじめとして、近年様々な団体・企業からインバウンドに関する調査やデータが発表されています。そのデータを目にした時に、データの数値を把握することとともに「何故、そうなっているのか」を考えることはインバウンドマーケティングにおいて重要な考え方になります。

 

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