ファンの高齢化に立ち向かう「KABUKI」は、この夏ナイトタイムエコノミーで勝負!歴史・伝統・最先端好きの外国人を呼び込め!

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※この記事は2020年1月時点の状況に基づき執筆されています。東京オリンピックは2021年夏に延期しての開催が決定しています。

東京オリンピック2020大会の開会まであと189日となり、新国立競技場も完成しました。会場の整備が完成していく一方で、多くの国や地域からたくさんの人が訪れることへの対策がまだ整っていない面が見受けられます。

特に充実していないと言われている部分が夜の時間の娯楽です。

日没から日の出までの時間の経済活動は、インバウンドが増加している今注目すべき市場であると考えられています。

ナイトタイムエコノミーでといえば飲食店や娯楽施設が想起されるかもしれません。そんな中で訪日外国人が期待する「日本らしさ」「伝統芸能」の双方を備えており、ヒットが期待できるコンテンツが「ナイトカブキ」です。

その概要や、訪日外国人誘客に向けた取り組み、ナイトタイムエコノミーの現状や可能性を紹介します。


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夕食後にみられる歌舞伎「ナイトカブキ」

松竹は、東京オリンピック2020大会に向け「ナイトカブキ」の上演を検討しているそうです。

1964年の東京オリンピック開催中に、松竹は東京・銀座にある歌舞伎座で初の夜間興行を開催しました。ナイトカブキは50年以上の前にすでに挑戦されていたことがわかります。

舞台は、「(オリンピックの)競技観戦後、短時間で日本文化の粋に触れられる」として2部構成で行われたそうです。

第1部は21時40分に開演し、通常の歌舞伎公演と外国人向けの特別興行「ナイト・カブキ」、23時40分からの第2部では赤坂芸妓連中による「日本の踊り・舞妓(まいこ)」が行われました。女形の変化舞踊「手習子」などが披露され、客席の大半は外国人で埋まっていたそうです。

訪日外国人向けの情報が少なかった時代、それでも「KABUKI」絶大な人気

昭和39年11月号の「演劇界」によると、東京五輪の開会式が行われた10月10日の開演1時間ほど前に歌舞伎座へ行くと、切符売場に相当な列出来ていたそうです。

現在のように海外の情報が簡単には入ってこない時代にも、日本の文化である歌舞伎が注目を集めていたコンテンツであったことがわかります。

現在も歌舞伎は、「KABUKI」というワードで世界中で知られる日本文化となっています。

「歌舞伎」「KABUKI」に惹かれる外国人の心理

日本で江戸時代から続く伝統芸能の一つ「歌舞伎」は今では海外の人がJapaneseCultureとして思い浮かべるもののひとつです。

日本で古くから続いている文化であることが理由として大きいようです。また、着物や所作など伝統的な日本文化が集まっているものが歌舞伎であると認識しているようです。

好きな演目だけ、ちょっとだけ見たいというニーズに応えた幕見席歌舞伎の当日券である一幕見席:ひとまくみせき、演目を通しでなく一部だけ鑑賞できる)が特に訪日観光客に人気なようです。

好きな幕だけをお気軽にご鑑賞いただけるのが、一幕見席。 幾度もお運びになるお客様や、歌舞伎を初めてご覧になるお客様のための、歌舞伎座ならではの人気席です。 一幕見席は歌舞伎座4階に位置しております。 全てが自由席となっており、通常公演では椅子席約90名、立見約60名、合わせて約150名の定員でございます。 (但し、宙乗りのある月の公演場合、席数が大幅に減りますので、あらかじめご了承ください。)

(出典:松竹公式サイト)

▲[幕見席について]:松竹公式サイト
▲[幕見席について]:松竹公式サイト
歌舞伎座
▲歌舞伎座を撮影した写真のInstagram投稿:編集部スクリーンショット

Instagram:歌舞伎座を写した投稿(https://www.instagram.com/p/B5E6vC9F0yk/)

歌舞伎は「通だけ」のものじゃない

江戸時代ごろから、大衆演劇として始まった歌舞伎ですが、最近ではファンの高齢化が課題としてあげられています。

若い世代、外国人観光客を取り込むことで解決しようという動きがあります。ここでは3つの事例を紹介します。

1. 人気アニメとのコラボレーション

「スーパー歌舞伎」では、ワンピースやヤマトタケルといったアニメと歌舞伎ならではの演出を融合させた新しい形です。セリフは現代語で行われるなど親しみやすさとわかりやすさが歌舞伎を気軽に見られるものにしていたようです。

2. 最新テクノロジーとの融合

ニコニコ超会議での新作歌舞伎、今昔饗宴千本桜の上演と配信から始まった、最新技術と歌舞伎のコラボレーションが「超歌舞伎」です。

2019年8月には南座開場記念として歌舞伎上演劇場で「八月南座超歌舞伎」が行われました。

サイリウムと大向こうでの一体感がこの歌舞伎の特徴です。(大向こう=舞台から最も遠い客席のこと、歌舞伎の場合は幕見席がこれにあたるとする場合が多い)

市川猿之助がルフィに!?「スーパー歌舞伎」ワンピースも上演:日本をリブランディングする”サブカル×伝統芸能”の取り組み

日本で古くから上演されている歌舞伎と、映画が公開されるなど人気なアニメ「ワンピース」がコラボしたスーパー歌舞伎が映画で上映されるなど、新しい歌舞伎の形が出てきています。今回はこの「スーパー歌舞伎」と、同じく新しい形である「超歌舞伎」について紹介します。目次スーパー歌舞伎とは超歌舞伎とは会場の一体感を味わえる演出サブカルチャーのコンテンツ力とは聖地巡礼歌舞伎×インバウンド、すすむ対策と今後の見通しは?1. Webサイトの多言語対応2. 英語のイヤホンガイド3. 歌舞伎座が海外通販モールにオフ...

3. セリフのガイドや英語字幕、外国語対応

外国人もチケットの購入などしやすいように松竹のWebサイトは英語で閲覧できます。また、歌舞伎座では演目の開設を英語でみられる字幕ガイド、新橋演舞場と国立劇場では音声ガイドを借りられます。

どの劇場でも、日本語の音声ガイドも用意されているので日本の若い世代にも楽しめるように工夫されています。

古くから続く歌舞伎にも新しい形が取り入れられていることがわかります。

ナイトタイムエコノミーの持つ可能性

その歌舞伎東京オリンピックに向けても注目されている分野が「ナイトタイムエコノミー」です。ナイトタイムエコノミーはオリンピック期間中だけでなく、一年中を通して、特に外国人が多く訪れている場所では注目のキーワードです。

ナイトタイムエコノミーとは、夜の20時から翌朝午前3時までの間の経済活動を指しています。観劇や飲食など遅くまで楽しめるものが訪日外国人に求められているようです。

諸外国と比べ夜に楽しめるコンテンツが少ない日本

2018年に行われた公益財団法人日本交通公社の調べによると、欧米豪からの訪日客がナイトライフに期待するもの1位は「文化」でした。ライトアップ、夜景を楽しみ、食事をしたり、伝統芸能鑑賞、カラオケやバー、クラブなどでの夜遊びを楽しみたい意向が強いようです。()

イギリスのロンドンや、アメリカのニューヨークでは地下鉄の24時間運行やショーの開演時間を遅らせるなど夜の時間を楽しめるようになっていて、ロンドンではナイトタイムエコノミーの実施によって、年間263億ポンド(4兆円)の経済効果と、125万人の雇用を創出しました。

日本では騒音の問題や働き方改革、働き手不足など課題はありますが、ナイトタイムエコノミーを活性化させることは日本経済にとってもプラスになると考えられます。

東京の夜に楽しめるコンテンツ事例

多くの訪日外国人に旅先として選ばれているのが東京です。ナイトタイムエコノミーに関する取り組みにも多数の事例が見られます。

  • 東京湾クルージング

様々な種類のある東京湾クルーズは、屋形船や東京タワー、スカイツリーが見えるコース、21:30出航のコースなど様々ありそれぞれのニーズに合わせて楽しめそうです。屋形船や大江戸宴舞劇のパフォーマンスがみられるクルージングは特に外国人に人気のようです。

  • 銀座スカイラウンジ

有楽町駅からすぐのところにある東京交通会館15階にあるレストランです。

テーブル席すべてが窓に寄り添っているため、360度パノラマを見られます。ピアノの生演奏とフレンチを同時に楽しめ、最大のみどころは、約80分かけて360度回転する空中フロアです。

「恵比寿ガーデンプレイスTOP OF YEBISU」や、「天空 LOUNGE TOP of TREE」も同じように景色と料理を同時に楽しめます。

  • ロボットレストラン

外国人が多く訪れる新宿歌舞伎町にある有名なアミューズメントスポットです。

日本のイメージでもある最先端テクノロジーとレストランが融合した場所です。一番遅いショーは21:45に始まり、日本での夜の時間の楽しみのひとつとして訪日外国人に知られています。

ナイトタイムエコノミーとは?夜間に楽しめるコンテンツ提供:海外事例2選・国内事例7選

ナイトタイムエコノミーとは、夜間の経済活動を意味する言葉で、主に訪日外国人観光客に対して夜間に楽しめるコンテンツを提供する取り組みを指します。 訪日外国人観光客の満足度向上に加え、消費拡大により日本経済の活性化にもつながることが期待されています。 この記事では、日本にある観光資源の新たな活用するために、参考となる海外の先進事例とともに日本国内の動向について解説します。 インバウンド対策にお困りですか?「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整...

日本経済の伸びしろ、ナイトタイムエコノミー

このように日本でもすでにインバウンド訪日外国人)による消費の活性化に取り組んではいるものの、こと「夜間」の消費にはまだまだ伸びしろがあるのが現状のようです。

地方では夜の時間を過ごせる場所や楽しめるコンテンツがないために、そこでの宿泊を諦めて、近隣の大都市へ移動してしまう訪日外国人も少なくないそうです。オリンピックや万博で訪日外国人が増えてくる中で、ナイトタイムエコノミーは注目のキーワードです。

訪日外国人にとって、当然ですが日本に滞在する時間は限られています。昼であれ夜であれ、1分たりとも無駄にはしたくないと考えるでしょう。こうした訪日外国人の目線に立ち、本当に満足する環境とは何なのかを考えることを、日本の誇る「おもてなし」の一つとするべきではないでしょうか。

<参照>

産経ニュース:芸術も“種目” 歌舞伎がKABUKIになった夜

DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査(2018年度版)


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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