ナイトタイムエコノミーとは、夜間の経済活動を意味する言葉で、主に訪日外国人観光客に対して夜間に楽しめるコンテンツを提供する取り組みを指します。
訪日外国人観光客の満足度向上に加え、消費拡大により日本経済の活性化にもつながることが期待されています。
この記事では、日本にある観光資源の新たな活用するために、参考となる海外の先進事例とともに日本国内の動向について解説します。
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ナイトタイムエコノミーとは?
ナイトタイムエコノミーとは、お寺や行楽地の観光といった日中の過ごし方により営まれる経済と対をなす概念で、夜の20時から翌朝午前3時までの間の経済活動を指します。
近年は訪日外国人観光客が増加していますが、日本の夜のアクティビティーが少ないといった不満もあるそうです。

海外のナイトタイムエコノミー最新事例2選
続いては、海外のナイトタイムエコノミー事例を2つ紹介します。
イギリス(ロンドン)の事例
平成29年10月24日に、観光庁が発表した「『楽しい国日本』実現に向けた観光資源活性化に関する検討会議」によれば、ロンドンはナイトタイムエコノミーの実施によって、年間263億ポンド(4兆円)の経済効果と、125万人の雇用を創出しています。
2016年8月には、ロンドン地下鉄の24時間運行をスタートするなど、ナイトタイムエコノミーを積極的に導入しています。尚、ロンドン地下鉄は平成29年10月時点では、5路線は毎週金曜日と土曜日のみ運行となっています。
アメリカ(ニューヨーク)の事例
アメリカ・ニューヨークも、ナイトタイムエコノミーを実施していることで知られています。ニューヨークの人気観光スポットひとつブロードウェイは、ショーの開演時間が20:00以降と遅めに設定されています。そのため観客は、観劇後にも終電を気にする必要がありません。
課題:日本のナイトタイムエコノミーに不満を持つ訪日外国人観光客が多い

日本を観光する際に、英語が通用しないことに不満を抱く外国人が多いのは、ご存じの方も多いと思います。しかし、ナイトライフ体験に不満を持つ外国人も全体の7%と、比較的目立っています(平成28年の公益財団法人日本交通公社調べ)。
議会では2017年にナイトライフエコノミー議員連盟が結成され、法改正なども視野に入れ、活発に議論がなされています。
東京のナイトタイムエコノミー事例7選
1. 東京スカイツリーや東京タワーの夜景鑑賞
東京スカイツリーは夜の22:00まで営業しており、展望回廊の高さは450mで、足元に広がる東京の夜景を一望することができます。
東京タワーは23:00までの営業で、展望台からのパノラマビューは圧巻の美しさ。東京タワーにはワンピースタワーも併設されており、日によっては夜間特別営業を行うなどしてインバウンド集客につなげています。
2. 東京湾クルージング
「東京湾クルーズ」は、老若男女を問わず幅広い世代から人気を集めているフリードリンク付きのナイトクルーズです。運行時間は21:30から22:30となっています。意外と知られていませんが、海や湾を多く持つ東京や神奈川では、ナイトクルージングが非常に盛んで、時間帯も21:00や22:00スタートとなっています。
3. 銀座スカイラウンジ
有楽町にある「東京交通会館」の最上階のレストランです。名前の通り、東京の夜景を一望できる展望台レストランとなっています。「銀座スカイラウンジ」の最大のみどころは、約80分かけて360度回転する空中フロアです。「恵比寿ガーデンプレイスTOP OF YEBISU」や、「天空 LOUNGE TOP of TREE」も23:30まで営業しており、夜景を見ながら日本の旬の食材を使った料理が楽しめます。
4. ビルボードライブ東京
100年以上の歴史を持ち世界で最も信頼する音楽ブランドであるビルボードでは、毎日異なるアーティストの演奏を楽しむことができます100年以上の歴史を持ち世界で最も信頼する音楽ブランドであるビルボードが7本毎日毎日違うアーティストの特別の演奏を楽しむことができます。土日は20:00までの営業ですが、平日は22:00まで開場しています。
5. ロボットレストラン
日本に観光に訪れる外国人の中で知らない人がいないと言われるほど有名な、新宿歌舞伎町にあるROBOT RESTAURANT。年間で12万人もの人が訪れ、そのほとんどが外国人です。外国人のイメージする日本の最先端テクノロジーとレストランを融合させた他にはないアミューズメントスポットとなっています。入場料は飲食別で1人8,000円、一番遅いショーは21:45のスタートとなっています。
[blogcard url="https://honichi.com/news/2018/09/18/robotrestaurantepisode1/"]
6. WA!!
品川のプリンスホテルステラボールで行われている国内最大級のエンターテイメントです。「獣の力」を意味する世界的に有名なアルゼンチン劇団「エルサ ブルータ」が、日本の伝統的な文化を基調として演目を考えました。夜の公演では20:00から始まるものがあるため、ナイトアクティビティーの1つとして、国内外問わず幅広い層に愛されています。
7. ザ・プリンスパークタワー東京
都心でありながら芝公園の広大な緑を目指すことができる、プリンスパークタワー東京。ここの見所は、なんといっても夏季限定で登場する「SUZUMISHI CAFE」です。日本の伝統である夕涼みや、風に揺れる竹灯りは、外国人の心をつかみます。また1着1,000円での浴衣のレンタルサービスも外国人に人気で、最大2時間半の順番待ちも出たほどです。
ナイトタイムエコノミーはインバウンド対策の重要な鍵

今のインバウンド業界では、「モノの消費」から「コトの消費」へと、旅行者の行動特性が変わってきていると言われています。
以前であれば、日本で電化製品や化粧品を買うといった「モノ消費」がメインでした。しかし現在はどこにいても、スマートフォン1つでモノが買える時代です。そうなった今、訪日外国人観光客が本当に求めているのは、日本の伝統的な文化や、地元の人と触れ合うことなど、「日本にいるからこそできる体験」、つまり「コト消費」です。
特に日本では居酒屋を始めとした日本独自の文化がたくさんあります。しかし終電を気にしなければならなかったり、深夜0時どころか、夜の8時を過ぎると営業終了してしまったりと、外国人から不満の声が上がっているのも事実です。
ナイトタイムエコノミーに力を入れることで、今までホテルでゆっくりしていた外国人がより多くの時間外で過ごすことになります。一人当たりの消費量も増加し、結果的にプラスの経済効果を生むことになるでしょう。日中だけでなく夜間の経済活動が盛り上がれば、「1日中楽しむことができる日本」と認識されるだけでなく、さらなるリピーターや口コミを生みます。
ナイトタイムエコノミーとは、インバウンドの強化、さらには日本経済の貢献など、非常に伸びしろのある分野です。インバウンド担当者や企業のはロンドンやニューヨークなどの先進事例をぜひ参考にしながら、日本にある観光資源の新たな活用法を今一度考えてみてみてはいかがでしょうか。
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【2023年インバウンド最新動向を予測】国・地域別デジタルマーケティング戦略
2022年10月からついに入国者数の上限撤廃、短期滞在者のビザ免除等が実施され、訪日観光が本格的に再開されました。
未だ"完全回復"には至っていないものの、観光地によってはすでに多くの訪日外国人観光客が訪れているところもあり、「インバウンド対策」への関心が急速に高まっています。
では、今やるべきインバウンド対策とはなんでしょうか。そしてそれを国・地域別に見ると、どういった違いがあるのでしょうか。
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