外国人に人気の観光スポット 全国1位は 「チームラボ豊洲」! 海外で口コミが広まる施設づくりの秘密を取材した

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インバウンド業界最大級メディア「訪日ラボ」が独自に調査した「インバウンド人気観光地ランキング[全国編]*」

同調査では、清水寺や東京スカイツリーなど数々の有名観光地をおさえ、東京・豊洲のアートミュージアム「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」が全国1位の座に輝きました。

国内のみならず、世界で注目を集めるチームラボプラネッツ。なぜこれほどまでに高い評価を得ているのでしょうか。「アートがすごい」だけではない、徹底した施設づくりの秘密を取材しました。

チームラボプラネッツ TOKYO DMM
▲チームラボプラネッツ TOKYO DMM:訪日ラボ撮影

* 全国の観光名所4,700箇所(47都道府県×100施設)のGoogleマップ上の口コミ38,936件(うち外国語口コミ10,950件)を分析。口コミ評価・件数をスコアリングしランキング化した。調査対象期間:2023年11月18日~12月3日

詳細はこちら → インバウンド人気観光地ランキング[全国編]

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チームラボとは?

チームラボとは、最新のテクノロジーを活用したデジタルコンテンツを開発するスペシャリスト集団です。同社が運営する「チームラボプラネッツ TOKYO DMM(以下、チームラボプラネッツ)」は、欧米圏を中心に多くの観光客を集めています。


2023年4月には、訪日外国人の来館数が約17万人を突破。同月の訪日外国人数195万人* のうち、およそ10人に1人が来館するという、驚異的な数字を記録しています。

* 日本政府観光局JNTO)訪日外客統計より

さらに2023年9月には、ワールド・トラベル・アワード(World Travel Awards)による「アジアを代表する観光名所(Asia's Leading Tourist Attraction)」に、国内で初めて認定されています。他にアンコールワットや万里の長城といった歴史的名所が候補となる中での受賞となりました。


訪日ラボ編集部では、チームラボプラネッツへの外国人観光客の反応を、さらに様々な視点から調査してみました。

コロナ後、Google口コミが爆発的に増加

Googleマップ上の「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」の施設情報へ投稿された、口コミ件数の推移を見てみましょう。2018年7月の開館以降すべてのデータです。

一度はコロナ禍で投稿件数が落ち込んだものの、2022年の後半以降はコロナ禍前を大きく超えていることがわかります。

チームラボプラネッツ TOKYO DMMに投稿された口コミの月間推移
▲チームラボプラネッツ TOKYO DMMに投稿された口コミの月間推移 ※実数値は非公開:訪日ラボ作成

英語の口コミも、2022年10月の水際対策緩和を皮切りに大きく伸びています。

【英語のみ】チームラボプラネッツ TOKYO DMMに投稿された口コミの月間推移
▲【英語のみ】チームラボプラネッツ TOKYO DMMに投稿された口コミの月間推移 ※実数値は非公開:訪日ラボ作成

Googleの口コミは、中国など一部を除いて多くの国で参照されている情報です。外国語の口コミを多数集めることは簡単なことではありませんが、一度口コミが投稿されるようになれば、それを見て訪れる外国人観光客が増え、さらに口コミが投稿されやすくなるという好循環が生まれます。

投稿件数の多さや伸び率を考えると、GoogleをはじめとしたWeb上の口コミは、チームラボプラネッツの集客に一定程度寄与していると考えられます。

「インバウンド人気観光地ランキング」全国TOPに

この口コミ数の伸び、そして評価の高さは、全国的に見ても類を見ないものになっています。

冒頭でお伝えした通り、国内の観光名所4,700箇所ものGoogle口コミ評価・件数を分析、スコアリングしたところ、チームラボプラネッツ TOKYO DMMが全国1位となっており、圧倒的な人気を得ていることがわかりました。

ランキングには、2位に清水寺、4位に伏見稲荷大社、7位に浅草寺など、歴史ある観光地が多数ランクインしています。

2018年の開業であるチームラボプラネッツが、これらの観光地を凌ぐほどの人気を持っているとは驚きです。

インバウンド人気観光地ランキング 全国編:訪日ラボ作成
▲インバウンド人気観光地ランキング 全国編:訪日ラボ作成

さらに、「チームラボプラネッツ TOKYO DMM」に寄せられた口コミを「口コミコム 」のキーワード分析* にて分析してみました。

すると「経験」「体験」への言及はポジティブ率が90%を超えており、チームラボの体験が利用客に評価されていることが分かりました。

* キーワード分析:口コミサイト一括管理ツール「口コミコム 」の分析機能の1つ。口コミに含まれる「キーワード」がポジティブ/ネガティブ文脈のどちらで用いられているかをAIで判定するもの

「体験」「経験」に関する口コミの9割以上がポジティブ:訪日ラボ作成
▲「体験」「経験」に関する口コミの9割以上がポジティブ:訪日ラボ作成

実際の口コミを見ると、アート体験に対して「素晴らしい」「本当にすごい」など称賛の声が寄せられていました。中でも「五感が研ぎ澄まされる」「ビデオや写真で雰囲気を伝えられない」など、利用客の感動が口コミ読者に伝わる口コミが印象的でした。

館内での体験のほか、発券機の操作性や、入館までの待ち時間の短さ、アクセスの良さも利用客に評価されているようです。

欧米豪の訪日客から人気。来館者の「口コミ」が人気を形作っている

訪日ラボがチームラボプラネッツに来館した外国人観光客63組、計約200名の方にアンケートを取ったところ、1位はアメリカで14組。次いでオーストラリアが8組、台湾が7組でした。

訪日客数の多い東アジアからの来館は少なく、欧米豪からの来館が多いようです。

【質問.どの国 / 地域から来ましたか?】

  1. アメリカ…14組
  2. オーストラリア…8組
  3. 台湾…7組
  4. カナダ…4組
  5. フランス…3組
  6. 韓国、イギリス、ドイツ、スペイン、スイス…各2組
  7. その他…17組(タイ、チェコ、インドネシア、リトアニア、フィリピン、UAE 他)
    ※該当者なし…中国、香港、イタリア


次に、チームラボをどこで知ったのかを聞くと、最も多かったのは「知り合いからの紹介」。次いで「SNS」「Google Maps」でした。

【質問.チームラボを何で知りましたか?】

  1. 友人知人からの紹介…20組
  2. SNS…18組
  3. Google Maps…7組
  4. チームラボ公式サイト、ブログ…各4組
  5. トリップアドバイザー…2組
  6. その他…7組(TV、Klook、ロンリープラネット、YouTube、リピーター 他)
    ※該当者なし…雑誌

上位である友人知人からの紹介、SNS、Google Mapsに共通するのは、いずれも実際に体験した人の「口コミ」であるという点。

チームラボを訪れた人々が広めた口コミが、今のチームラボの人気を形作っていることがわかります。

現地取材でわかった、チームラボプラネッツがインバウンドから人気を集めるワケ

チームラボプラネッツは、なぜここまでインバウンドに人気なのでしょうか。訪日ラボではその秘密を探るべく、チームラボプラネッツの施設内を取材。当日は運営会社の株式会社PLANETS 広報部 笹原さん、藤畑さんのお二人に案内いただきながら、施設内を巡りました。

「アートがすごい」だけではない、チームラボの施設づくりの秘密をご紹介します。

館内の案内は「英語優先」

施設に入ると、館内で過ごす際の注意点の映像・アナウンスが流れます。聞こえてきたアナウンスは、なんと日本語ではなく「英語」。

株式会社PLANETS 広報部 藤畑さん:

「施設に入る前に靴を脱いでいただくんですが、海外では室内でも基本的に靴を履いたままの場合が多いので、靴を脱がずに入ってしまう方が多かったんです。こういった外国人の方に伝わりづらい注意事項などは、日本語よりも英語優先で案内しています」

チームラボ 館内の案内は「英語優先」
▲館内の案内は「英語優先」:訪日ラボ撮影

さらに、各展示の説明も英語が最初。次が日本語、さらに中国語、韓国語まで書かれています。

興味深いのが、こうした展示の解説が「作品の後」に掲示されている点。各作品のコンセプトや狙いを理解してもらうには「実際に体験してもらうのが一番」と考えているのだそうです。

言語や文化を超えて感じる体験型アートだからこそ、まずは作品を全身で体感し、興味がある方は解説を読んでもらうことでより深く作品を楽しんでもらう、という狙いです。

こうしたところにも施設づくりのこだわりを感じました。

チームラボ 展示の解説も多言語で
▲展示の解説も多言語で:訪日ラボ撮影

没入感あふれる体験型アートの数々に釘付け

もちろん「多言語対応がすごい」だけでは、ここまで人気にはならないでしょう。チームラボの素晴らしさは、やはり何よりもそのアート作品にあります。

実際に施設内を巡ると、次々現れるアートに感動。訪れた人は、飛び跳ねたり、足を水に浸からせたり、光の中を歩いたりと、さまざまな方法で作品の中に没入していきます。

チームラボプラネッツ 施設内の様子
▲チームラボプラネッツ 施設内の様子:訪日ラボ撮影

施設内では、さまざまな形で「光」を展示していますが、そのまま写真に撮るだけでは立体的に見えず、ただの模様にしか見えません。その空間に「人がいる」ことで、影ができ、奥行きが生まれます。施設内の混雑すら味方につける作品群となっていました。

チームラボプラネッツ 施設内の様子
▲チームラボプラネッツ 施設内の様子:訪日ラボ撮影

チームラボプラネッツ 施設内の様子
▲チームラボプラネッツ 施設内の様子:訪日ラボ撮影

外国人観光客の方々も、アート空間をぼーっと眺めたり、写真を撮ったり、思い思いの方法で楽しんでいました。

チームラボプラネッツ 施設内の様子
▲チームラボプラネッツ 施設内の様子:訪日ラボ撮影

株式会社PLANETS 広報部 笹原さん:

「海外のインフルエンサーの方々もよくいらっしゃっています。そういった方々がここで撮影した写真をSNSに上げて、それでまた興味を持ってくださる方が増えて…というサイクルができている感じですね」

藤畑さん:

「お客様が見つけた、我々も知らない面白い写真が撮れる撮影場所があったりするんです(笑)我々が創ったものを見ていただくだけでなく、お客様がいて完成する作品だということを日々実感しています」

チームラボ お客様が見つけたという撮影場所の一つ。大きな球体が鏡に映り、六芒星のような形を創り出している
▲お客様が見つけたという撮影場所の一つ。大きな球体が鏡に映り、六芒星のような形を創り出している:訪日ラボ撮影

施設内はアンケートをもとに「常に」アップデート

笹原さん、藤畑さんのお二人に、さらに詳しくインバウンド対応について伺いました。

ーー外国人観光客の方々から大変な人気を博していますが、最初からインバウンドをターゲットとして対応されていたのでしょうか。

笹原さん:

「最初は、誰をターゲットにするかといった戦略的なことは考えていなかったですね。2016年にお台場(DMMプラネッツ)で作品展を開いた際に、たくさんのお客様に感動していただけたことで始まったのがこの施設(チームラボプラネッツ TOKYO DMM)なので。

オープン当時は日本人が9割でしたが、2019年には3〜5割くらいが外国人の方になり、コロナ禍が明けた今年はさらに増えています。ですが『そこを狙って』ということではなく、結果的に海外の皆様にも評価していただいて、来ていただけたという流れです」

藤畑さん:

「ですので、多言語案内などの対応も最初から完璧だったわけではないんです。実は、今も定期的にアンケートを取り、毎月のように何らかのアップデートをかけています。

以前は日本語・英語にだけ対応していましたが、コロナ禍明けに中国語・韓国語を加える形に変えました。また、英語を優先にするようになったのもこうしたアップデートの結果です。

多言語で案内する目的は、まずはやはりお客様が『安全であること』、これが第一です。そして、ここ以外どこにもない体験をしてもらえること。そのためのチェックとフィードバック、改善を常に実施しています」

株式会社PLANETS 広報部のお二人。 左から笹原さん、藤畑さん
▲株式会社PLANETS 広報部のお二人。 左から笹原さん、藤畑さん:訪日ラボ撮影

ーーチームラボプラネッツは、弊社訪日ラボが調査した日本全国編のインバウンド人気観光地ランキングでも1位ですし、さらに国内で初めて「アジアを代表する観光名所」にも選ばれています。これだけ世界から名実ともに評価されているのは、なぜなのでしょうか。

笹原さん:

「『アジアを代表する観光名所』は、体験していただいた方や旅行業界の方など、チームラボプラネッツに関わっていただいた方からの投票で選ばれています。また、人気観光地ランキングでの1位も、Googleで口コミ評価やレビューを投稿いただいた世界中のお客様のお力添えのおかげです。

お客様の口コミやレビュー、アンケートなどでいただくご意見、ご指摘をもとにしながら『ここでしかできない体験』を提供してきたことが、こうした結果に繋がっていると思います」

お客様の「生きた声」を受け止めながら、アートの世界を提供していく

ーー今後はどういったことに力を入れていくのでしょうか。

藤畑さん:

「お客様の動きを見ていると、施設内で迷ってしまっている方もいらっしゃるようです。『次はどこへ行けばいいんだろう』と迷いながらワクワクするのもこの施設の醍醐味ではあるんですが、一方で『本当に困ってしまう』ことはなくさなければなりません。作品の良さを壊さない形で、案内を改善させていければと思います」

ーー最後に、本記事を読んでいただいている皆様へメッセージをお願いいたします。

笹原さん:

「おかげさまでチームラボプラネッツは、訪日外国人観光客のおよそ10人に1人にご来館いただけるミュージアムになりました。

今後もお客様の口コミやレビューでいただく様々な感想、ご意見やご指摘などの生きた声をしっかりと受け止めながら、世界中の方々に当館のコンセプトである"身体ごと没入"するアートの世界をより一層ご堪能いただけるよう、尽力してまいります」

株式会社PLANETS 広報部のお二人。 左から藤畑さん、笹原さん
▲株式会社PLANETS 広報部のお二人。 左から藤畑さん、笹原さん:訪日ラボ撮影


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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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