中国・台湾・香港の違いはどこ?中国語から解説/3つの言語と7つの方言、2つの文字

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

2019年、日本を訪れた中国人は約959万人、台湾人は約489万人、香港人は約229万人にのぼりました。これらの数字を合計すると約1,677万人となり、2019年の訪日外国人約3,188万人のうち約52%中国、台湾、香港出身であったと分かります。

このように、中国語圏からの訪日外国人が市場の半分を占める今日、インバウンド業界における中国語対策は非常に重要な課題のひとつです。

交通機関や観光案内所などをはじめ、中国語に対応した施設は日を追うごとに増しています。多くは「普通話」と呼ばれる中国語を「簡体字」を用いて表記しています。

この記事では、訪日外国人の多い中国、台湾、香港に焦点を当て、それぞれの国で話されている中国語の違いについて解説します。

訪日外国人の出身国に合わせて適切な中国語を使い分けることで、より満足度の高い「おもてなし」につなげられるでしょう。

関連記事
中国と「香港」「台湾」何が違う?歴史や最近の情勢

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

インバウンドの最新情報をお届け!訪日ラボのメールマガジンに登録する(無料)

そもそも「中国語」とは?

中国語というと、中国や台湾で話されている言葉を意味します。実は中国では公用語以外にも様々な言語が話されていますが、まずは中国と台湾の公用語となっている言語について整理します。

中国語は紀元前、甲骨文字の時代からの歴史を持つ伝統ある言語です。漢字を軸とした言語体系が特徴で、日本語、韓国語、ベトナム語の3言語は、中国語の影響を受けた漢字文化圏を形成しています。

中国語は音の高さを区別します。同じ音でも高さにより異なる意味として捉えられます。たとえば、高く「マー」と発声すると「母」という意味、低く「マー」と発声すると「馬」という意味になります。このような言語は「声調言語」と呼ばれ、タイ語、ベトナム語などもこのグループの言語です。

他にもさまざまな特徴のある中国語ですが、以下では最も特徴的な話者数の多さと方言・表記法の違いについて解説します。

「ようこそ、いらっしゃいませ」中国語で歓迎の挨拶がしたい!接客フレーズ10選と翻訳アプリを紹介

2019年の訪日中国人観光客数は、前年比14.5%増の959万人と過去最高を記録し、訪日客全体の約3割を占めています。日本の主要な観光地では中国語が飛び交っていることも珍しくありません。 そのため、飲食店などのサービス業では、中国語への対応が急がれています。 今回は、訪日中国人観光客に接客する際に必要な「いらっしゃいませ」の中国語の発音と書き方、その他接客で使える頻出フレーズや、翻訳アプリについて紹介します。 [com_category_dl_btn name="多言語接客支援ツール...


世界一の話者数を持つ言語

「中国語」という単語を見ると「中国で話されている言語」のように思われがちですが、英語がイギリス以外の国でも話されているように、中国語も世界中の国々で話されています。

中国、香港、マカオ、台湾などの中国語圏だけでなく、マレーシア、シンガポールなどには多くの華僑が居住しており、他にも日本、アメリカ、カナダ、イギリスなどの国でも現地の華僑により中華街が形成され、日常的に中国語が使われています。

7つの中国の方言と、2つの文字

中国語と呼ばれる言語は一般的には中国や台湾の人の話す言語を指しますが、両者は厳密には異なり、前者は「普通話」後者は「台湾華語(国語)」という名前です。

また中国で話されている言語は非常に多く、これを「方言」といいます。中国に存在する方言の分類には主に7つがあり、北方語、粵語、吳語、贛語、湘語、閩南語、客家語に分けられています。これらの方言同士の違いは、日本語のなまりとは異なるもので、異なる方言同士で意思疎通を図ることは多くの場合難しくなっています。

中国の公用語である普通話や、台湾の公用語である台湾華語(国語)は北方語をベースにしたものであり、香港で話されているのは粵語に属する広東語の一方言です。

また、中国語には「繁体字」と「簡体字」と呼ばれる、2つの文字が存在します。例えば日本語の新字体で「楽」と書く漢字は、繁体字では「樂」簡体字では「乐」と書きます。

繁体字は主に台湾や香港・マカオなどで用いられており、簡体字は主に中国大陸やマレーシア、シンガポールなどの華僑の間で用いられています。

普通話・台湾華語(国語)・広東語について

訪日中国人は主に普通話、訪日台湾人は主に台湾華語、訪日香港人・訪日マカオ人は主に広東語をそれぞれ話します。

台湾人や香港人・マカオ人は普通話を理解しますが、それぞれの言語を使い分けることでより良いおもてなしを提供できるでしょう。

ここでは普通話、台湾華語(国語)、広東語の特徴とそれぞれの違いについて整理します。

繁体字の中国語翻訳ツール3選&台湾語翻訳のサービス2選

昨年の訪日台湾人観光客数は475.7万人で、中国(838万人)、韓国(753.9万人)からの訪日観光客数に次いで多い、一大マーケットとなっています。 台湾といえば、現在中国(中華人民共和国)とは異なる政治制度が敷かれているものの、文化面、歴史面では中国のそれと切っても切り離せない地域です。 台湾で話されている言葉は「台湾華語」「國語」と言われますが、文法、基本的な発音、多くの単語が、中国で話されている言語と同じです。単語では一部「タクシー」「自転車」「地下鉄」といった固有名...


中華人民共和国の公用語「普通話」

中国の公用語は中国語ですが、中国語では「普通話」とも呼ばれています。日本の中華料理屋でもよく見かける「チャーハン(炒飯)」「ラーメン(拉面)」「チンジャオロース(青椒肉糸)」などは全て普通話由来の単語です。

普通話の表記には簡体字が用いられています。

台湾の公用語「台湾華語」(国語)

台湾華語は台湾の公用語で「国語」とも呼ばれています。台湾には他にも閩語の一種である台湾語や、客家語、そして原住民諸語などの言葉が話されていますが、台湾華語(国語)は台湾全土で通じる標準語です。

中国の普通話と、台湾で話される台湾華語(国語)は、イギリス英語とアメリカ英語の関係に似ています。多くの単語や文法は共通していますが、一部同じものを異なる単語で表現しています。

台湾華語(国語)には、「榻榻米(たたみ)」「哇沙米(わさび)」「歐吉桑、歐巴桑(おじさん、おばさん)」など、日本語からの外来語が色濃く残っており、日常的に用いられていることも特徴の一つです。

台湾華語(国語)の発音は普通話と比べると舌を巻かずに発音する傾向があります。同じ文法・単語を発話したとしても、いずれの地域で生活していたかや、言語を習得したのかを聞き分けられる場合も少なくありません。

台湾華語の表記には繁体字が用いられています。

香港の公用語と広東語

香港の公用語は、広東語の一方言である「香港語」です。広東語は、中国の公的な場で使われている「普通話」とは発音もかなり違います。表記には繁体字が用いられています。

たとえば「こんにちは」を意味する「你好」は「ニイハオ」ではなく「ネイホウ」、「日本」は「リーベン」ではなく「ヤップン」と発音します。

日本語の「シューマイ(燒賣)」「ワンタン(雲吞)」「ヤムチャ(飲茶)」などは全て広東語由来の単語です。

普通話・台湾華語(国語)・広東語を使い分けるコツ

ここまで、北京語・台湾華語(国語)・広東語それぞれの特徴と違いを見てきましたが、実際に各国からの訪日外国人に対してそれぞれの言語を使い分ける場合、どのような対策を講じれば良いのでしょうか。

ここからは資料や看板などの「表記」と、接客において最も重要な「会話」の側面から、各言語をどのように使い分けるべきかを紹介します。

この翻訳機がスゴい!4選|イヤホン型だから手軽・もちろん多言語対応・それぞれの特徴も紹介

日本政府は2020年の訪日外国人旅行者数を4,000万人、訪日外国人旅行消費額を8兆円まで到達させるという目標を掲げており、最も訪日外国人と接する機会の多い接客業では、外国語対応をはじめとする訪日外国人受入体制の整備が急務となっています。 外国語対応の解決策として、外国語が堪能な人材を現場に配置することも考えられますが、人件費が限られている場合、なかなか増員には踏み切れません。しかし、翻訳機であれば機材を用意するだけで複数言語の通訳を担えるため、近年接客業を中心に多くの業界で導入が進...


表記:繁体字と簡体字を併記した資料や看板を準備する

中国では繁体字での書籍は多くありません。また、繁体字に慣れている文化圏の人の場合、簡体字を読むのにストレスを感じることがあります。

インバウンド向けの資料を製作する際や看板などに中国語を表記する際は、繁体字と簡体字の両方を表記すると、いずれの訪日客にとっても印象の良いものとなるでしょう。細かい単語の違いなどはありますが、多くの場合、同じ文章を繁体字・簡体字それぞれで記せば問題ありません。

各言語でコミュニケーションできる環境を整える

普通話と台湾華語の双方は意思の疎通、情報伝達に基本的に問題がありませんので、店舗などで中国人対応スタッフと台湾人対応スタッフを分けるメリットは大きくないでしょう。

香港からの旅行者の多くは、普通話や台湾華語も理解しますが、特に昨今の香港では中国に対する国民感情が悪化していることから、普通話で話しかけられると不快に思う香港人もいるようです。

訪日香港人向けの広東語の言語対応ができない場合には、英語でのコミュニケーションのほうが受け入れられやすいと考えられます。

ただし、店舗などで相手の出身国を探り当てることは容易ではありません。ポケトークなどの翻訳機では、広東語を含めた多様な言語を出力できる機種もあります。これらを上手く活用し接客の質向上を図るべきでしょう。

2019年激動の香港デモを振り返る:デモの原因・デモの目的・中国政府の反応

2019年6月9日の大規模デモ行進をきっかけに香港中を巻き込む事態となった香港におけるデモ活動は、年末になっても留まるところを知らず、連日香港各所で集会やデモ行進が相次いでいます。デモ活動の参加者には逮捕者や死傷者も出ており、警察は催涙弾や実弾を用いるまでに至っています。 日本人の逮捕者や負傷者も出るなど、今年1年を通して情勢が一変してしまった香港ですが、そもそも今回のデモ活動はなぜ始まったのでしょうか。 この記事ではデモの原因や目的、中国政府の対応や海外の反応について整理し、激動...


3つの中国語を使い分けて、ワンランク上のおもてなしを

インバウンド業界にとって重要な中国語には普通話・台湾華語(国語)・広東語の3種類があります。それぞれの国からの訪日外国人に適切な中国語を選んでコミュニケーションを取ることで、相手に対する思いやりをより明確に伝えられます。

東京オリンピックの開催の折には中国、香港・マカオ、台湾からも多くの観光客が訪れると予想されていますが、まずは3つの中国語の違いをしっかりと把握し、ワンランク上の「おもてなし」を提供することで、日本に対してより良い印象を持ってもらえるでしょう。

インバウンド対策にお困りですか?
「訪日ラボ」のインバウンドに精通したコンサルタントが、インバウンドの集客や受け入れ整備のご相談に対応します!
訪日ラボに相談してみる

訪日ラボ セミナー紹介&最新版インバウンド情報まとめ

日本のインバウンド事業者が知らない「中国現地の最新旅行トレンド」


コロナ禍の収束後、インバウンド需要が順調に回復を続ける中、唯一回復が大きく遅れていた中国市場。

一方、ここ数か月の間は訪日中国人客数が順調に回復してきており、訪日旅行消費額も2024年1〜3月期では台湾を抜き、1位となったことがわかっています。

今、中国市場がどのような動向になっていて、今後どうなっていくのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は訪日ラボから、複数の中国SNSで在日中国人インフルエンサーとしても活動中の熊 孟華(ユウ モウカ)と、中国最大級の店舗・施設検索プラットフォーム「大衆点評」などを活用した中国向けプロモーションのコンサルティングを行う金子 泰士が登壇。

中国SNSや訪日プロモーションの「プロ」である2人が、気になる中国市場の最新トレンドについて語り尽くすセミナーをお届けします。

中国向けのインバウンドプロモーションに取り組んでいる方や、これから取り組もうとしている方は必見です!

詳しくはこちらをご覧ください
日本のインバウンド事業者が知らない「中国現地の最新旅行トレンド」

【インバウンド情報まとめ 2024年4月】3月訪日外国人数「300万人」突破 他


訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月発行しています。

この記事では、2024年4月版レポートから、3月〜4月のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。

最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください!

本レポートの内容は、原則当時の情報です。最新情報とは異なる場合もございますので、ご了承ください。

口コミアカデミーにご登録いただくと、レポートの全容を無料にてご覧いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。
3月訪日外国人数「300万人」突破 / 2月の世界航空需要、コロナ前から完全回復【インバウンド情報まとめ 2024年4月】

今こそインバウンドを基礎から学び直す!ここでしか読めない「インバウンドの教科書」

スマホ最適化で、通勤途中や仕込みの合間など、いつでもどこでも完全無料で学べるオンラインスクール「口コミアカデミー」では、訪日ラボがまとめた「インバウンドの教科書」を公開しています。

「インバウンドの教科書」では、国別・都道府県別のデータや、インバウンドの基礎を学びなおせる充実のカリキュラムを用意しています!その他、インバウンド対策で欠かせない中国最大の口コミサイト「大衆点評」の徹底解説や、近年注目をあつめる「Google Map」を活用した集客方法など専門家の監修つきの信頼性の高い役立つコンテンツが盛りだくさん!

→ 【無料】「インバウンドの教科書」を見てみる4月から観光・インバウンドに関わる仕事に就いたり、関連部署へ異動となり、知識のインプットに追われていませんか? また、より一層事業を推進するために必要な学び直しの機会を設ける担当者も増えてきております。
このセミナーでは、
新担当になって、インバウンドの何から始めたらいいか分からない
インバウンド推進が本格化し、改めて情報やノウハウを学び直したい
そもそもインバウンドに興味があるが、情報を収集できていない
方にとって必要な基礎情報と、知っておきたい新情報をお届けする機会となっております!
詳しくはこちらをご覧ください。
→4月までに学んでおきたい!【基礎から始めるインバウンド対策】 〜ラーチーゴー & ジャパンガイドが教える市場別最新データ〜

完全無料 口コミアカデミー 「インバウンドの教科書」出ました! 国別・都道府県別データ・トレンドをカバー 見てみる

関連インバウンド記事

 

役にたったら
いいね!してください

この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

訪日外国人観光客インバウンド需要情報を配信するインバウンド総合ニュースサイト「訪日ラボ」。インバウンド担当者・訪日マーケティング担当者向けに政府や観光庁が発表する統計のわかりやすいまとめやインバウンド事業に取り組む企業の事例、外国人旅行客がよく行く観光地などを配信しています!

プロモーションのご相談や店舗の集客力アップに