2019年激動の香港デモを振り返る:デモの原因・デモの目的・中国政府の反応

公開日:2019年12月12日

2019年6月9日の大規模デモ行進をきっかけに香港中を巻き込む事態となった香港におけるデモ活動は、年末になっても留まるところを知らず、連日香港各所で集会やデモ行進が相次いでいます。デモ活動の参加者には逮捕者や死傷者も出ており、警察は催涙弾や実弾を用いるまでに至っています。

日本人の逮捕者や負傷者も出るなど、今年1年を通して情勢が一変してしまった香港ですが、そもそも今回のデモ活動はなぜ始まったのでしょうか。

この記事ではデモの原因や目的、中国政府の対応や海外の反応について整理し、激動のさなかにあった2019年の香港について振り返ります。


香港デモ「時代革命」の原因と目的

現在、香港各地で発生しているデモ活動には、若い香港人を中心に主催者発表で最大約200万人、警察発表で最大約33.8万人が参加していると言います。

報道によれば、一連のデモ活動には特定の統率者が存在していないと言われています。スマートフォンアプリ「Bridgefy」や「Telegram」などを通して参加者同氏がコミュニケーションを取り、デモ活動の場所などは話し合いを通して決められています。

断続的に続くデモ活動は、どの活動も同じ目的のもとに動いているとされ、「光復香港」「時代革命」というスローガンが叫ばれています。

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デモの原因:「逃亡犯条例」の改正案

今回のデモ活動が起こる原因となったのは、2019年2月13日、香港立法会に「逃亡犯条例」の改正案が提出されたことです。

この改正は、中国大陸、台湾、マカオで事件を犯した犯人をそれぞれの国に引き渡すことを可能とするものです。

香港市民は、中国政府がこの法律を悪用し、香港への内政干渉へと踏み出すことを懸念し、2019年3月頃から抗議の意を示すデモ活動に踏み切りました。その後、市民の声を受け入れざるを得なくなった香港政府は2019年10月23日、改正案を正式に撤回しています。

デモの目的:「五大要求」の受け入れ

初めは逃亡犯条例の改正に対する抗議の意を示すために実施されていたデモ活動ですが、香港警察による過激な取り締まりなどを受け、2019年8月頃より「五大要求(五大訴求)」を提唱するようになりました。5つの要求内容は以下の通りです。

  1. 逃亡犯条例改正案の完全撤回
  2. 香港における普通選挙の実現
  3. 警察から独立した調査委員会の設置
  4. 逮捕されたデモ活動参加者の逮捕取り下げ
  5. デモ活動を暴動とした政府による認定の取り消し

香港デモを時系列順に解説

香港において、逃亡犯条例の改正に反対するデモ活動が初めて勃発したのは2019年3月31日でした。

この日から現在に至るまで、大小数々の集会やデモ行進が開かれ、複数名の死亡者と多数の負傷者、そして報道によれば6,000名を超える逮捕者が出ています。

ここでは、2019年のデモ活動における一連の流れを時系列順に追って行きます。

2019年3月31日:最初のデモが発生

この日、香港の団体・民間人権戦線(民間人權陣線)が初めてデモ活動を実施しました。デモ活動には約12,000人が参加し、現在まで続くデモ活動の引き金となりました。

2019年6月9日:デモに103万人が参加

この日のデモ活動は事前の予告が功を奏し、主催者の発表によれば約103万人が参加しています。この数字は香港の人口の約1割に相当します。

2019年6月12日:警察がビーンバッグ弾を使用

この日、抗議集会をしていた市民を鎮圧するために出動した警察がビーンバッグ弾を使用し、1人が心肺停止、1人が失明するなどの重傷者を出しました。

2019年6月15日:初の死者

この日、デモ活動に参加していた男性が建物の屋上から落下し、一連のデモ活動では初の死亡者が発生しました。

2019年6月16日:デモに200万人が参加、史上最大規模

この日のデモ活動の参加者は、主催者発表で6月9日の参加者数を大幅に超える約200万人が参加し、香港史上最大規模のものとなりました。

2019年10月1日:警察が実弾を使用

中華人民共和国建国70周年となるこの日、香港では警察が実弾を用いて高校生のデモ活動参加者の左胸を銃撃し、撃たれた高校生は重体となりました。

2019年10月4日:香港政府による緊急事態宣言、覆面禁止法

香港政府は「緊急状況規則条例(緊急狀況規例條例)」を発動し、事実上の緊急事態宣言がなされました。

翌日となる10月5日にはデモ活動参加者のマスクや覆面の着用を禁止する「覆面禁止法(禁蒙面法)」を施行し、デモ活動参加者の顔から個人を特定する動きも始まりました。

2019年11月12日:香港中文大学が衝突の舞台に

香港中文大学警察が強行突入し、構内でデモ活動をしていた学生を大量に逮捕しました。学生側も徹底抗戦し、構内は戦場と化しました。これにより香港中文大学は今学期の授業を全て中止しています。

2019年11月17日:日本人観光客が逮捕される

香港理工大学にて実施されていたデモ活動を見学していた日本人観光客が、香港警察により逮捕されました。その後この日本人観光客は釈放され、日本へと帰国しています。

2019年11月24日:香港区議会議員選挙が実施

2019年香港区議会議員選挙が実施され、有権者全体の約71.2%となる約294万人が投票しました。この数字は香港返還後過去最高となります。選挙結果は民主派議員の圧勝で、中国政府や香港政府は香港市民の声を見せつけられた形となりました。

中国政府の対応と香港の今後は?

中国政府はデモ活動に厳しく対抗する姿勢を見せており、これに呼応した香港政府や香港警察もデモ活動に関与している香港市民を厳しく取り締まっています。しかし、国際社会の対応は異なっており、国際連合、米国、英国、台湾など、多くの国が香港政府の対応を批判する声明を発表しています。

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習近平「一国二制度に挑む許しがたい行為」

中国のの習近平氏は2019年11月14日、ブラジルにて開催されたBRICS会議において香港に言及し、「デモ活動は一国二制度の原則に挑む許しがたい行為であり、香港の司法機関が暴力犯罪分子を厳格に処罰することを断固支持する」と発言しました。

また、林鄭月娥(キャリー・ラム)香港特別行政区長官は2019年9月10日、定例会見において「他国による香港への内政干渉は認められない」と発言し、各国の声明に対抗したほか、警察を擁護しデモ活動を非難するなど、中国政府の思惑と一致する立場からの発言を続けています。

選挙では民主派が大勝利、諸外国もデモを支持

2019年11月24日に実施された香港区議会議員選挙は、香港返還後最高となる71.2%の投票率を記録しました。これにより、香港区議会における民主派議員の割合は選挙前の約3割から約8割まで増加し、香港政府と中国政府は民意を突き付けられた形となりました。

また、1997年まで香港を統治していた英国は警察の実弾使用を非難、米国では香港の自立性を確認する「香港人権・民主主義法案」を成立させました。台湾でも、香港政府や香港警察の暴力を批判する声があがっています。

香港人への「おもてなし」にも注意が必要

今年一年は、香港では中国政府との関係性をより深く考える契機となる出来事が多発しました。多くの香港人が「自分は中国人ではない、香港人である」という考え方を再確認したと考えられます。現在でも日本を訪れる香港人は少なくありませんが、香港人の接客の際には、訪日中国人とはしっかり分けた対応が歓迎されるでしょう。

言語については中国語でもコミュニケーションには問題ありませんが、英語や広東語を好ましく考える層もいます。資料は繁体字を用いたもののほうが読みなれていて印象が良くなるでしょう。

2019年12月現在でも香港は不安定な状況が続いており、香港各地においてデモ活動が予告・実施されています。香港政府は平和的なデモを認める一方で、過激な抗議については厳しく取り締まる様子を見せています。こうした状況でインバウンド市場にも影響が出る可能性もないとは言えず、インバウンドの売上げで香港市場が高い比率を占めるケースでは今後何かしらの対策を練っていく必要も生まれるかもしれません。

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<参照>

CNN:https://www.cnn.co.jp/world/35142485.html

人民網:http://politics.people.com.cn/n1/2019/1114/c1024-31456243.html

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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