「what3words」はメルセデス・ベンツやドミノ・ピザが活用している新しい住所システムで、地球上を57兆億の3×3mの大きさのマスに分割し、それぞれのマスを3つの単語で表す仕組みとなっています。
what3wordsは東京オリンピックで活用できるのではないかと期待されています。
本記事では、海外の導入事例を用いてwhat3wordsついて解説するとともに東京オリンピックでの活用法についても考察します。
またインバウンド市場における活用方法やオリンピック時に期待されることについても紹介します。
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what3wordsの仕組みと導入事例
英国のスタートアップ企業what3words社が開発したwhat3wordsは、既存の住所システムでは解決できなかった課題を解決すると期待されています。
このトピックでは、what3wordsとは何か、実際にwhat3wordsが活用されている海外のメルセデス・ベンツとドミノピザの事例を紹介しつつ解説します。
what3wordsとは
what3wordsは、地球上を57兆億の3×3mの大きさのマスに分割し、それぞれのマスを3つの単語で表すコーディングシステムです。
あらゆる場所を3×3mの大きさのマスで示すことができるwhat3wordsは、既存の住所よりもピンポイントで位置情報を伝えることができます。
また、たった3つの単語を入力するだけで検索できるので非常に簡単で、音声入力にも適しています。
例えば、九段下駅の1出口を表す3つの単語(3ワードアドレス)は「くみこむ・しまうま・かしだし」です。
このようにピンポイントの場所を3つの単語で表すことができます。
what3wordsの公式ホームページによると、現在の対応言語は日本語を含めて35ヵ国語以上の言語に対応しているそうです。
訪日外国人観光客にとっては見慣れない日本語の住所よりも、母国語の3つの単語で表示される方が圧倒的にわかりやすいでしょう。
what3wordsが誕生したのは、共同経営者であるクリス・シェルドリック氏が音楽イベントを企画開催していた際の経験がベースとなっています。
楽器や各種機材をイベント会場に運び込んでもらう時に、会場が広く特定の場所に機材を運び込む指示が出せなかったことやイベントスタッフやゲストが待ち合わせに戸惑うことが多々あったそうです。
現在では、自動車や物流、eコマース、配車サービス、旅行、緊急サービスといった幅広い分野で活用されています。
「what3words」とは?仕組みとメリット・デメリットを解説!世界中の住所を3つの単語で表す新システム
「what3words」とは、地球上を57兆個のマスに分割し、3つの単語で表現する新しい住所システムです。このシステムを提供する英国のスタートアップ企業what3wordsは、2018年11月にソニーから出資を受けたことでも注目を集めています。見慣れない文字で構成される日本の住所は、訪日外国人にとっては「複雑すぎる」場合がほとんどでしょう。英字表記であっても、聞きなれない地名を覚えるのは至難の業です。観光という観点では、穴場スポットに個別の住所が割り振られていない場合には地図アプリでたどり...
ベンツは音声入力カーナビゲーションに、ドミノ・ピザは宅配サービスに導入
メルセデス・ベンツは、音声ナビゲーションシステムにwhat3wordsの住所を活用しています。
すでに「Navmii」などでも利用されていましたが、音声ナビゲーションシステムに導入されるのは「Mercedes-Benz User Experience」が初めてです。
ドミノ・ピザのオランダ自治領シント・マルテンでは、デリバリーサービスにwhat3wordsを活用しています。
what3wordsの公式ホームページによると、物流にwhat3wordsを使用することで、ドライバーが的確な配送場所を把握でき、配送にかかる時間を最大で42%短縮できるといいます。
場所によっては同じ都市内に同じ名前の路地が複数存在するケースがあります。
また、郵便番号や番地で検索するとピンは建物の中心部に表示され、入り口がわからない場合があります。
what3wordsはそうした課題を解決し、物流を効率化します。
インバウンドでのwhat3wordsの活用方法
上記では、what3wordsについて解説し、海外での事例を紹介しました。ここでは、特にインバウンド 対策に使える活用法を紹介します。
配車サービス
日本語がわからない訪日外国人観光客も3つの単語(3ワードアドレス)で簡単に目的地を伝えることができます。
指定した3×3mのピンポイントの場所に到着できるので、利用者は時間が削減でき、満足度の向上につながります。
また、ドライバーも指定された的確な場所がわかるので、時間と走行距離を大幅に削減でき、効率性を高めることができます。
日本では、国内初タクシー配車サービスアプリS.RIDEがwhat3words と提携しています。
配車サービスの使い方は以下の通りです。
- 利用客は、what3wordsアプリやウェブサイト、または旅行ガイドブックなどで3ワードアドレスを見つける。
- 3ワードアドレスを(what3wordsシステム搭載の)配車サービスの検索欄に音声またはテキスト入力する。
- 入力された3ワードアドレスはGPS座標に変換され、従来通りドライバーのナビにマーカーとして表示され、ルート検索される。
- 目的地に到着する。
eコマース
訪日外国人観光客がフードデリバリー等を利用する際にホテルなどの住所の入力が簡単にできます。
フードデリバリーの利用者は、what3wordsを使うことで建物の入り口の場所までピンポイントに指定することができます。
配達業者はwhat3wordsを使うことで、時間通りの配達が可能となり、利用者の満足度向上につながります。
eコマース事業者は自社オンラインのチェックアウトページに、プラグイン・ウィジェット・APIを使ってwhat3wordsシステムを簡単に統合することができます。
フードデリバリーの使い方は以下の通りです。
- what3wordsアプリやウェブサイトで自分のいる場所の3ワードアドレスを検索する。
- 3ワードアドレスを(what3wordsを利用する)フードデリバリーの配達指定場所に入力する。
- フードデリバリー会社は入力された3ワードアドレスを元に配達する。
- 食べ物が配達される。
観光業
日本語がわからない訪日外国人観光客にとって、日本の地名を発音することは難しいでしょう。
what3wordsには言語変換機能があり、日本語で表示された3ワードアドレスを母国語に切り替えることができます。
観光スポットやホテルの住所、ツアーの集合場所などをWebサイトや予約確認メールなどで主要言語の3ワードアドレスで表示しておけば、訪日外国人観光客が迷うことなく目的地につくことができるでしょう。
また、what3wordsはオフラインでも利用できるため、旅行先でWi-Fiがなくても利用することができます。
マップの使い方は以下の通りです。
- 観光スポットの3ワードアドレスを旅行ガイド会社などが事前に詳細ページに記載する。
- 記載されている3ワードアドレスをwhat3wordsのアプリやウェブサイトの検索欄に入力する。
- hat3wordsのアプリやウェブサイト内でグーグルマップやアップルマップを使用し、ルート検索する。
what3wordsを東京オリンピックで活用するには?
what3wordsの共同代表であるクリス・シェルドリック氏は、東京オリンピックでのwhat3wordsの活躍を見込んでいます。
東京オリンピックで活躍が見込まれる理由とは何でしょうか?
簡単に検索ができる
日本政府の発表によると、2020年の訪日外国人数は4,000万人が見込まれると発表しています。
2018年度の訪日外国人数が3,119万人なので、2020年には2018年の約22%増の訪日外国人を見込んでいます。
東京オリンピックを目的に訪日する外国人の中には、日本語に馴染みがない方も多くいることが予想されます。
what3wordsは、母国語で3つの単語を入力するだけで目的地を表示してくれるので、簡単に目的地を把握することができます。
人と物の移動がスムーズに
大きなスタジアムや選手村において正確な位置情報を示すことができる点でwhat3wordsの活躍が見込まれています。
観戦客にとっては、広いスタジアム内で友達や家族と待ち合わせる必要がある場合などに便利です。
選手も自分が行くべき場所を的確に把握できることで、スムーズな移動が可能になります。
訪日外国人観光客は、スタジアムだけではなく、ホテルやレストランなど日本滞在中に利用するあらゆる場所でwhat3wordsを活用できます。
インクリメント社によるwhat3wordsコラボ第2弾「MapFan Quest」
what3wordsはインクリメント・ピー株式会社が提供する地図検索サイトMapFanAPIとコラボしています。
コラボ企画第2弾として、位置情報共有サービス「MapFan Quest(マップファン クエスト)〜まちあわせはぼうけんだ〜」を公開しています。
MapFanAPIの「RPGマップ」を使用し、「待ち合わせの呪文」としてwhat3wordsの日本語ワードを用いることで、どこか懐かしいRPGゲームを連想させるサービスです。
日本のRPGゲームやアニメーションが好きな訪日外国人観光客にとっては、ゲーム感覚で楽しむことができます。
what3wordsは東京オリンピックに向けたインバウンド対策にも活用できる
本記事では、what3wordsについて解説し、海外での事例を紹介しました。
また、インバウンド市場における活用方法についても紹介しました。
既存の住所システムでは示すことのできなかった詳細な位置情報を示すwhat3wordsは、さまざまな分野で活用できる新しい住所システムです。
現在では海外での利用が広がっているwhat3wordsですが、今後は日本でも利用が見込まれます。
特に上記でも紹介した2020年の東京オリンピックでは円滑な大会運営などのために活用が期待されています。
訪日外国人にとっても簡単で利用しやすいwhat3wordsは、ホテルや飲食店、観光業など幅広い業界でインバウンド対策に活用できます。
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