訪日外国人向けに人気の高い東京観光の中でも、任天堂の人気ゲーム「マリオカート」さながらに公道でカートを走らせることが出来るツアーが数年前から人気を集めています。
もともとは「マリオカート」のキャラクターのコスプレをして都内を走行、写真撮影が出来るなどで人気を集めていましたが、商標権の問題などから、現在こうしたサービスを展開するものは、ゲームのキャラクター以外のコスプレをしての走行、写真撮影を売りとしています。
任天堂訴訟へ 外国人観光客にも大人気の公道「マリカー」実は無許可だった…訪日プロモーションでも著作権には要注意
本日2月24日、任天堂株式会社（以下、任天堂）が「公道カートのレンタルサービスに伴う当社知的財産の利用行為に対する訴訟提起について」と銘打った発表をしました。任天堂によれば、特に訪日外国人観光客に人気の体験となっている公道マリオカートレンタルサービスを運営する株式会社マリカーを相手取り、訴訟を提起したとのことです。目次株式会社マリカー、任天堂に訴えられる不正競争行為・著作権侵害行為差止め＆損害賠償1000万円請求の訴訟へインバウンド人気が高かった「マリカー」TripAdvisorでは397...
しかしこうした問題以外に指摘され続けているのが、日本の交通環境に不慣れな訪日外国人による事故の問題です。
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都内には2017年時点で10件のレンタルカート店が存在
2017年（平成29年）時点では、東京都内で、訪日外国人や国内の観光客向けにレンタルカートによる都内のツアーサービスを行うレンタルカート店舗は10店舗。合計でおよそ300台のレンタルカートが存在すると言われています。
これらのサービスが売りにしているの「コスプレをしてレンタルカートで都内を走行する」ツアーで、こうしたサービス事業者は任天堂の人気ゲーム「マリオカート」とは一切関係のないサービスであるとしていますが、「マリオカート」を連想して同じような遊び方をしたいと考える訪日外国人をターゲットとしていることは明らかです。
減らぬ訪日外国人による交通事故
こうしたレンタルカートによるツアーで、一番問題として指摘されているのが訪日外国人による事故です。
リアル「マリカー」訪日客による事故率は77％に及ぶ 法的要件の背景から見る問題点・課題とは
日本のゲームキャラクターは訪日外国人にも高い人気を誇りますが、その中でも任天堂の人気タイトル「スーパーマリオシリーズ」はどの国でも高い認知度を誇るキャラクターです。「マリオシリーズ」の中でもカートで様々なコースを走行するレーグゲームである「マリオカート」は、レースという要素とマリオの面白さが合わさった人気タイトルです。こうした人気を受け、訪日外国人向けに、公道を「マリオカート」さながらに走行出来るというサービスを手がけている事業者が東京の秋葉原を中心に存在しています。しかし近年では 訪日外...
これらの事業者では、日本で有効な国際免許証があれば外国人でも運転出来るとしていますが、警視庁が統計を取り始めた平成29年3月から平成29年12月の9ヶ月間で発生したカートによる事故件数42件のうち外国人による事故は35件で、外国人による事故の割合は8割を超えています。
平成29年は1ヶ月あたり3.8件、外国人によるカート事故が発生していることとなり、平成30年には1月から3月の3ヶ月間で16件のカート事故が発生し、16件全てが外国人による事故です。なお、この3ヶ月間では1ヶ月あたり5.3件ものカート事故が発生しています。
相次ぐ事故を受けてシートベルトの装着や赤色尾灯の装備が義務化
レンタルカートによる事故が減らぬこと、周囲からは車高が低く認識しずらい事もあって、国土交通省は平成29年の時点で規制強化を検討、今年4月から道路運送車両法に基づく保安基準を改正。平成32年4月以降は既存の車両、新規車両に関して、レンタル業者、個人所有者にシートベルトの装備、赤色尾灯の装備を義務化します。また新車に関しては衣類がタイヤに巻き込まれることを防ぐフェンダーの装着、頭部を衝撃から守るヘッドレストの装着なども求められるようになります。
訪日客に人気の公道カート「リアルマリオカート」に警鐘＆新規制 今後は尾灯の装着などが義務付けへ
訪日外国人にとって人気で、ほとんどの人が知っているレースゲームというと何を思い浮かべるでしょうか？「グランツーリスモ」という声も聞こえてきそうですが、実は男女を問わず多くの訪日外国人が知っているレースゲームとは「マリオカート」なんです。「マリオカート」とは任天堂が開発、販売をしているゲームで、同じく任天堂のゲームのマリオに登場するキャラクターがカートに乗ってレースを行うゲームです。こうした訪日外国人のマリオカートに関する認知度の高さ、人気の高さを受けて、東京都内にはいくつかレンタルカートで...
法令整備は進んでいるが…
前述のように、日本で訪日外国人がこうしたカートを運転する際に求められるのは、有効期限が切れていない国際免許証であって、実際に日本の交通ルール、交通標識を理解しているかどうかは問われません。
ましてや、交通量の多い都内を観光で走る事から、運転者の注意が散漫であること、集団走行によるマナーの欠如などが問題視されています。今のところ、平成30年2月に台湾国籍の男性が交差点で10代少年をはねて救護しないまま逃走、平成30年3月に米国国籍の男性がトンネル壁面に激突して重症になった事例以外は重大事故は発生していませんが、このままでは取り返しのつかない事故が発生しないとも言えません。
国土交通省では法令面でのこうしたカートを取り巻く環境の整備を進めていますが、求められているのはレンタルカート事業を展開する業者が、訪日外国人に向けて利用前に日本の交通ルールをしっかりと説明すること、利用者が無謀運転をしないよう、日本人スタッフがカート走行に同行するなどサービス面での見直しなどが考えられます。
日本のインバウンドサービスの中には、ややもすると、日本ならではの美しい景観や地域リソースを消費するだけで、地域や街の生活との共存を意識していないものがあると批判されることもあります。しかし、これから求められていくのは、街や地域の暮らしと共存する形の観光地域づくり、そして持続可能なインバウンドサービスでしょう。
「観光公害」とは何か？京都の夜桜ライトアップ中止に見る実際の観光公害事例
近年日本を訪れる訪日外国人の数は急増していますが、その中でも、京都を訪れる訪日外国人の伸びは他県に比べても圧倒的です。平成27年度の京都観光総合調査によると、平成27年1月〜12月に京都を訪れた外国人の年間外国人宿泊客数は初めて300万人の大台を突破し、過去最高となる316万人を記録 しました。これは 対前年比+約73％(+133万人)の増加 となり、訪日外国人観光客1974万人のうち、約6.2人に1人が京都に宿泊していた ことになります。こうした状況は観光収入という面ではありがたいのは...
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＜参考＞
訪日ラボ セミナー紹介＆最新版インバウンド情報まとめ
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