近年日本を訪れる訪日外国人の数は急増していますが、その中でも、京都を訪れる訪日外国人の伸びは他県に比べても圧倒的です。平成27年度の京都観光総合調査によると、平成27年1月〜12月に京都を訪れた外国人の年間外国人宿泊客数は初めて300万人の大台を突破し、過去最高となる316万人を記録 しました。これは 対前年比+約73%(+133万人)の増加 となり、訪日外国人観光客1974万人のうち、約6.2人に1人が京都に宿泊していた ことになります。
こうした状況は観光収入という面ではありがたいのは事実ですが、同時にマナーを守らない外国人観光客に地元からは悲鳴が上がっています。そんな中で、京都ではこうした観光客による観光公害が深刻化 していると言われていますが、そもそも 観光公害 とはどのようなものを指すのでしょうか?
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そもそも観光公害とは
観光公害とは - 観光地を訪れる車両の騒音、排気ガスや渋滞 - 観光地を訪れる観光客が残していくゴミ - 観光客による私有地への無断進入、撮影禁止場所での撮影などによるプライバシー侵害 - 観光客による喫煙禁止場所での喫煙やポイ捨て
などがこれにあたります。この観光公害の最も有名な例として富士山が挙げられるでしょう。2013年に世界遺産に登録された富士山ですが、登山者や観光客のゴミ問題により、その世界遺産登録が抹消される危機に立たされたことはニュースなどでご存知な方も多いのではないでしょうか。また、近年の訪日中国人観光客の爆発的な増加によって、マナー問題についても取り沙汰されています。
訪日客を始めとした観光客のマナー違反(観光公害)などが原因で京都・祇園の桜ライトアップが中止
京都と言えば歴史的な建造物と豊かな景観、そしてその中で映える桜が名物として知られていますが、春の風物詩として人気の京都市東山区の「祇園白川さくらライトアップ」が今年は中止 となっています。
この桜のライトアップは祇園白川一帯で、京都市が平成2年(1990年)から、白川南通り(川端通り~辰巳神社)沿いの約220メートルで行ってきたもので、毎年3月末から4月にかけての約10日間、27年間も続いてきました。祇園の町並みに映える夜桜が人気となり、昼間も含めると約30万人の花見客が国内外から訪れる人気のイベントでした。
観光公害による、27年間続いた京都・祇園の桜ライトアップ中止の背景
中止の背景にあるのは、「安全の確保が困難になってきたこと」「マナー違反の観光客が多過ぎること」 が挙げられます。
ライトアップ中止の背景となった観光公害その1「安全の確保が困難になってきた」
桜を鑑賞することが目的の外国人観光客の多くは周りが見えておらず、立ち止まっての撮影が禁止されている場所で桜の撮影を行う、横断禁止の道路を横切る、撮影に夢中で道路に広がって歩く、撮影に夢中で端から転落するなどの 様々な安全上の課題が噴出。 祇園白川ライトアップ実行委員会でも警備員を配置するなどの対策を行ってきましたが、これ以上の警備員の増員は予算面などで難しいという判断 を下しています。
ライトアップ中止の背景となった観光公害その2「マナー違反の観光客が急増」
桜を鑑賞する全ての訪日外国人観光客のマナーが悪いわけではありませんが、一部の訪日外国人は立ち入り禁止の場所や私有地に無断で入って撮影を行ったり、名所周辺の店舗でトイレだけの利用をしたり、桜を折って持ち帰るなどの行為をするようになっている現状があります。そのため、各言語で「撮影禁止」「立ち入り禁止」などの注意書きを出しているのものの、大きな効果には繋がっていないようです。
また、一部の業者が訪日外国人観光客向けに、桜の下での婚礼向け前撮り写真のビジネスを展開しており、こうした撮影が所構わず行われているのも大きな問題となっています。こうした写真については写真投稿サイトPinterestでも「Pre wedding photo in Kyoto cherry blossoms」のようなキーワードで検索すると大量にヒットすることからも、海外を中心に大きく話題になっている事が伺えます。
まとめ:今回の観光公害による京都の夜桜のライトアップ中止から見えるのは、国土交通省が進めている「観光まちづくり」が必要だということ
国土交通省が進める 「観光まちづくり」 では今まで別々に行われる場合が多かった、地域主体の「まちづくり活動」と「外から人を呼び込む活動」が、まちに根ざした人材や団体、自治体の連携した活動によって一体的に取り組まれることにより、遠くからも人が訪れ、小さな経済活動が活発化し、ひいては空き地や空き家等が活用されるなど、地域の活性化と生活の質の向上に資することを目指しています。
その中で観光地としての持続可能な成長を目指すためにも、「外から人を呼び込む」だけでなく、「外から呼び込んだ人が起こす可能性がある問題」についても十分に検討し対策を講じる事が重要 です。今回の京都の夜桜ライトアップ中止に関しては、受け入れ側地域の負担増をしっかりと検討する前に「観光立国ニッポン」の掛け声で「ニッポンの美=京都」という図式でイメージ戦略を進めてしまった事による「観光公害の問題」が表面化したのだと言えるでしょう。
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