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2016年も残すところあと10日を切りました。今年1年インバウンド業界においても様々な重要キーワード・トレンド・出来事が登場しました。今回は、それらを厳選して「2016年のインバウンド市場で最も話題となった重要トレンド9選」としてまとめました。

詳細な解説記事へのリンクなどもたっぷりあるので、まずは一読。そして年末年始をつかってそれぞれのリンク先をゆっくり読んでいただければと思います。

 

1.訪日外客数2000万人突破!

2016年のインバウンド界隈トップニュースは何と言っても訪日外客数が2000万人突破したことでしょう。観光庁は10月30日、訪日外国人客数が2016年の累計2000万人を突破したことを発表しました。

2016年3月には、インバウンド需要の高まりをうけ、2020年までに2000万人という目標を大幅に引き上げ、4000万人へと改めました。とはいえ、実際に2000万人を突破したのは初。後述の爆買いの衰退、熊本地震などネガティブニュースも多かった2016年でしたが、無事1つの目標を達成することができました。

また、先日JNTOから発表された11月の訪日外客数統計によると、2016年11月までの累計で、前年2015年の外客数を突破する国や地域が続出。特に訪日中国人観光客は600万人達成間近(昨年は500万人)となっています。

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2.リオオリンピック閉会式で「安倍マリオ」が全世界で話題に

2020年に開催される東京オリンピック。その前大会となるリオオリンピック開催が今年開催されました。リオオリンピックの経済効果は4.2兆円と言われ、また東京オリンピックの経済効果は2.5兆〜19.4兆にのぼるとの試算結果が報道されました。

リオオリンピックにおける日本人選手の「金」メダルラッシュで、日本中が感動と興奮に包まれ、2016年の今年の漢字に「金」が選ばれるほどに盛り上がった本大会。日本選手の活躍だけでなく、閉会式で行われた東京オリンピックプロモ「トーキョーショー」の演出、そしてマリオ扮する安倍晋三首相の「安倍マリオ」のサプライズ演出が世界中で話題になりました。

また、リオオリンピック開催期間中も「Tokyo 2020 JAPAN HOUSE」を開催。当初の予定を上回る6万7千人を集客し「Rio to Tokyo」のプロモーションは大成功をおさめました。

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3.高額商品の爆買いが衰退

ネガティブなニュースと言えば、訪日中国人観光客を中心とした「爆買い」現象が収まりを見せたことでしょう。今年の春節が終わった4月頃から各種メディアの「爆買いは終わった」という報道が目立つように。

そして実際に百貨店や家電量販店、腕時計、化粧品メーカーの経営状況にも影響を与え始めます。2016年10月には、日銀が「さくらリポート」にて「爆買いは終息に向かっている」と明言。しかしながら、リポートでは客層の変化、円高や中国の関税政策によって高額商品が売れなくなる一方で、医療品や化粧品などの安価な日用品は順調な伸びを見せていることにも言及しています。

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4.円安から円高へ、為替変動で円ベースのインバウンド消費が目減り

爆買いが終息に向かったクリティカルな要因は

  • 円高元安になってお得感が減ったこと
  • 中国政府の関税引き上げ&チェック強化
  • それに伴うソーシャルバイヤーの減少

で、それにオンする形で、後述のコト消費へのシフトが要因だと考えられます。特に円為替相場の影響はインバウンド消費に直結しており、訪日ラボでも為替相場の上下とインバウンド消費額の上下が一致することを解説しました。

中国の代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の市場規模推移

中国の代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の市場規模推移

特に高額商品であればあるほど、この円高の影響を受けやすく、市場規模19兆円と言われる中国のソーシャルバイヤーが、利幅の減少から日本での爆買いを控えたことが、爆買い収束の最も大きな要因だと考えられます。

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5.熊本地震・鳥取地震・福島地震と震災が連続

インバウンド市場における危機としてインパクトが大きかったのは震災です。4月には震度6強の熊本地震、10月には震度6弱の鳥取地震、そして11月には震度5弱の福島地震と、2016年は震災が多発した年となりました。

「九州ふっこう割お知らせサイト」スクリーンショット

「九州ふっこう割お知らせサイト」スクリーンショット

特に観光としての被害が大きかったのは熊本地震です。九州地方の主要訪日国である韓国を中心として、2016年5月の九州への外国人入国者数は前年度割れするほか、国内旅行需要も減退し、九州の観光業は大打撃をうけました。対応策として「九州ふっこう割」がスタート。発売開始から40時間で21万枚が売り切れるなど、この制度は国内・国外で大きな反響がありました。

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6.プミポン国王死去でタイ市場減退が心配されたものの、影響少

市場別での危機では、タイ国王 プミポン国王(ラーマ9世)の死去によるタイ市場の減退が心配されました。2016年10月13日、プミポン国王が88歳で死去し、タイ国民は悲しみにくれました。その影響力は絶大で、若き日に着用していた靴として、SNSで拡散された「オニツカタイガー」が人気になるほど。

訪日タイ人観光客の訪日外客数推移 〜2016年11月

訪日タイ人観光客の訪日外客数推移 〜2016年11月

国王死去後、「1ヶ月間は自粛期間とする」という声明が首相より発表され、インバウンド市場での影響が心配されたものの、10月、11月ともに前年比増という結果となりました。

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7.宿泊施設不足の救世主として民泊が規制緩和へ

訪日需要が高まりに対して、宿泊施設の整備が追いついていないことが顕になった2016年。京都のシティーホテルでは客室稼働率が90%超えするなど、宿泊施設不足が問題となりました。

民泊は、法的要件としては旅館業法の適用をうけることとなり、現状では一般的な民泊の形式の殆どが違法であると言えます。しかしながら、宿泊施設不足が喫緊の課題となっているため、政府も現状と法制度のねじれを是正し、民泊に対応できるよう、新たな法制度を検討しました。

民泊プラットフォーム最大手のairbnbは絶好調で、2016年1月から10月までで累計300万人の訪日外国人観光客が利用しており、今後も民泊の存在感は日増しに強くなっていくものと考えられます。

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8.モノ消費からコト消費へのシフト

前述の「爆買い」とセットで使われ、2016年のインバウンド業界キーワードの中でも1,2位を争うほど頻出したのが「コト消費」でしょう。

インバウンドにおけるコト消費とは、訪日外国人観光客が経験・体験に対して価値を見出す消費行動のことをいいます。コト消費というキーワードが注目され始めたのは、圧倒的なシェアを誇る訪日中国人観光客の消費行動の変遷にあります。前述の円高傾向、そしてリピーターの増加などの影響があり、ただの買い物だけでなく、日本らしい観光などの体験やサービスに訪日中国人観光客の消費行動が移行しました。この変遷を指して「モノ消費からコト消費へ」などといった使われ方もします。

平成27年7月-9月期と平成28年7月-9月期の訪日外国人観光客旅行支出の費目別割合推移

平成27年7月-9月期と平成28年7月-9月期の訪日外国人観光客旅行支出の費目別割合推移

このコト消費傾向をうけて注目を集めているのが、アニメや漫画、ドラマ、映画などの舞台となった地を訪れる「聖地巡礼」です。昨年は約100万人の訪日外国人観光客が実施し、「アニメツーリズム協会」が発足するなど盛り上がりを見せています。最近では新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」が中国で興行収入新記録を果たしており、舞台となった長野 諏訪、岐阜 飛騨などでのインバウンド需要の増加が見込まれます。

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9.旅マエ・旅ナカ・旅アト、KOL(インフルエンサー)マーケティング

訪日外国人観光客の行動分析として2016年に誕生したのが「旅マエ旅ナカ旅アト」です。前述のコト消費傾向の高まりもあり、今後FIT(個人旅行)客の増加が見込まれます。とすると、各国の旅行代理店へのアプローチだけではインバウンド集客は片手落ちとなってしまい、個々人向けのマーケティング手法が重要になるとして、注目を集めています。

「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」の解説一覧

「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」の解説一覧

それぞれの訪日外国人観光客の動機・行動をもとにして3つのフェーズに区分。そして、その行動の変化に伴って適切なプロモーションをしていくことが、今後のインバウンドにおいて重要になってきます。

各訪日主要国のiPhone(iOS)&Androidユーザー数比較

各訪日主要国のiPhone(iOS)&Androidユーザー数比較

また、中国市場を始めとした東アジア圏向けプロモーション手法として確立したのがKOL(インフルエンサー)マーケティングです。各国のパワーブロガーやフォロワー数の多いSNSアカウントに商品や観光地の紹介依頼をする手法で、スマホSNS文化が日本より格段に浸透している東アジアや東南アジアで効果が高い集客方法として注目を集めています。

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