リオオリンピック開催!過去のオリンピックから見る五輪の経済効果や東京五輪の影響をまとめてみました

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※新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックは1年延期され、開会式は2021年7月23日(金)、閉会式は2021年8月8日(日)となりました。

先日8月5日(日本時間)から開催されたリオオリンピック。日本は柔道、競泳、体操で合計3つの金メダルを獲得し、好調な滑り出しを見せ盛り上がっています。目標に掲げる金14個の獲得はなるのでしょうか?

さて、昨日の記事でもスポーツツーリズムについて触れましたが、オリンピックはスポーツツーリズムにおいて、その国の国際観光において最もインパクトの大きいものとなります。今回は、歴代のオリンピックの経済効果や、東京オリンピックの推定経済効果についてご紹介します。

 

東京五輪に向け、盛り上がりを見せるスポーツツーリズム:観光資源を組み合わせ、独自性のある地域づくり

2010年頃から、観光庁による取り組みがスタートし、近年、注目を集めているスポーツツーリズム。2020年の東京オリンピック、パラリンピックに向け、さらに盛り上がっていくことが予想されます。今回は、日本におけるスポーツツーリズムの動向、対象となる訪日外国人観光客などをご紹介します。 目次スポーツツーリズムとは古代オリンピックから存在する歴史の長い旅行形態スポーツツーリズムに関する日本の動向日本が目指すスポーツツーリズムのあり方とは他の観光資源と組み合わせ、独自性の強い地域づくり主な対象は韓国...

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リオオリンピックの経済効果は4.2兆円

ブラジルのスポーツ省は、2016年のリオオリンピックによる経済効果を900億レアル(当時レートで4.2兆円)と試算。一方、世界最大規模の金融コングロマリットであるクレディ・スイスは300億レアル(当時レートで1.4兆円)としています。(参照:The Rio Times「Rio 2016: Economic Impact」

HSBC「ブラジル経済の現状と今後の展望」

HSBC「ブラジル経済の現状と今後の展望」</a>

また、リオオリンピックに先立って開催された2014年のサッカーワールドカップにおいては、2010年から2019年の10年間の経済効果を1832億レアル(当時レートで7.1兆円)としており、この2大国際スポーツイベントによっておよそ11.3兆円の経済効果が見込まれています。

実際に、2013年のレポートによれば、リオオリンピック決定後4年間はワールドカップ開催の後押しもあってか、決定年からの成長率は2.7%でまずまずの滑り出しでした。

リオオリンピックが抱える課題・負のオリンピック・レガシー

ブラジルのGDP成長率:THE HUFFINGTON POSTより引用

ブラジルのGDP成長率:THE HUFFINGTON POSTより引用

しかしながら、2014年に入り事態は急展開します。過去100年で最悪の経済危機に直面します。失業率はおよそ11%まで上昇し、ブラジルの通貨レアルも急落、そしてブラジル国債も格下げされてしまいます。

ブラジルスポーツ省は当初、オリンピックで300億ドル以上の外貨投資や経済効果がもたらされると予測したが、経済学者はオリンピックが開催都市や開催国に大規模な経済効果をもたらすという概念に異議を唱えている。オリンピック賛成派は楽観的な見通しだが、すでにブラジル国債の評価を「ジャンク」に下げている格付け会社は、ブラジル政府やブラジルへの投資家に対し、リオ五輪から大きな景気上昇は期待できないと警告している。ーTHE HUFFINGTON POST「リオデジャネイロ・オリンピック目前のブラジルは、全てがおかしくなっている」
と、なんとかオリンピックの開催はできたものの、昨今の経済危機の他、ジカ熱、環境問題、治安問題、インフラの未発達など、オリンピックが引き金となって浮き彫りとなった問題も噴出しています。

オリンピック開催後の影響「オリンピック・レガシー」とは?

「オリンピックレガシー」という概念が有ります。直訳すると「五輪遺産」で、オリンピックが与える長期の影響のことを言います。
> オリンピックの開催が決まると、開催予定都市において各種の施設やインフラの整備、スポーツ振興等が図られます。これによって生活の利便性が高まるなど人々の暮らしにさまざまな影響が出ます。こうしたオリンピック開催を契機として社会に生み出される持続的な効果がオリンピック・レガシーです。ー道日氏総合研究所「オリンピック・レガシーとは何か」

廃墟化したアテネオリンピック施設

廃墟化したアテネオリンピック施設

このようなポジティブなものだけでなく、ネガティブなものもあります。有名なのはアテネオリンピックにおいて建設された施設の廃墟化です。急ピッチな準備、オリンピック後の見通しなき建造は、オリンピック開催後に取り残されてしまい、回収不可能な負の遺産となり得ます。

前回の64年・東京五輪から今までのオリンピックの大会収益:実は赤字が当たり前?

それでは、1964年に開催された前東京オリンピック以降の各夏季オリンピックの予算や大会収益はどうだったのでしょうか? 英語版Wikipedia「Cost of the Olympic Games」の表を元に、当時の為替レートで換算、日本円で算出してみました。

開催年 開催都市 予算 日本円(当時レート) 収益 日本円(当時レート)
1964 日本 東京 0.72億ドル 259.2億円
1968 メキシコ メキシコシティー 1.76億ドル 633.6億円
1976 カナダ モントリオール 2.07億加ドル 600.3億円 -9.9億加ドル -2871億円
1980 ソ連 モスクワ 2.31億ドル 468.93億円 -11.9億ドル -2415.7億円
1984 アメリカ ロサンゼルス 3.2億ドル 803.2億円 2.5億ドル 627.5億円
1988 韓国 ソウル 40億ドル 5000億円 3億ドル 375億円
1992 スペイン バルセロナ 8.5億ドル 1062.5億円 0.1億ドル 12.5億円
1996 アメリカ アトランタ 180億ドル 1兆4220億円 0.1億ドル 7.9億円
2000 オーストラリア シドニー 660億豪ドル 4兆0920億円 -21億ドル -2142億円
2004 ギリシャ アテネ 150億ドル 1兆6050億円 -140億ドル -14980億円
2008 中国 北京 440億ドル 4兆7520億円 1.46億ドル 157.68億円
2012 イギリス ロンドン 104億ドル 8008億円

東京オリンピック以降、特に1988年のソウルオリンピックから予算の肥大化が進んでいます。予算肥大化と損益および収益の大小については有意な関連性はなさそうです。大会収益だけをみてみると、半分弱が赤字収益で終わっており、オリンピックの運営そのものでは、あまり「儲け」はなさそうに見えます。

GDPで見る過去のオリンピックの経済効果

オリンピックの運営における収支は以上のものでした。しかし、オリンピックによる経済への影響は大会そのものの収益だけでは測れません。そこで、一国の経済状況を図る指標である「GDP」の成長率を追ってみましょう。

GDPの成長率については日経ビックデータにおもしろいインフォグラフィックが公開されています。

日経ビックデータ「オリンピック開催の経済効果は?」

日経ビックデータ「オリンピック開催の経済効果は?」より引用

1964年の東京オリンピックから現在に至るまで開催された夏季オリンピックにおいて、それぞれの開催国のプレオリンピック4年間とポストオリンピックの4年間のGDP成長率をまとめています。

こちらを参照すると、傾向として開催までの4年間はオリンピック特需の効果もあって右肩上がりに成長していることが確認できます。そして、ポストオリンピックを見てみると、おおよそ開催の翌年に成長率が落ちる傾向がみてとれます。

これは、引用記事にもあるとおり、

一種の“燃え尽き症候群”のようなもので、最大のお祭りを終えた後に過剰に整備したインフラなど、国が負債を大きく抱えた結果、成長が減速する傾向がみてとれる。
と、オリンピック特需の反動で成長が鈍化する傾向がある模様。

東京オリンピックの経済効果は?2.5兆円〜19.4兆円の試算

それでは2020年に控える東京オリンピックの経済効果はどの程度なのでしょうか?観光庁によると、試算をした団体・タイミングによってまちまちですが、およそ2.5兆円から19.4兆円の経済波及効果が見込まれています。

観光庁「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の経済波及効果」

観光庁「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の経済波及効果」

また、オリンピック・パラリンピック開催決定後は 開催国のインバウンド需要が長期間にわたって喚起される傾向があります。

観光庁「オリンピック・パラリンピック開催決定後のインバウンド観光客数の傾向」

観光庁「オリンピック・パラリンピック開催決定後のインバウンド観光客数の傾向」

そのため、昨今の訪日観光ムーブメントがオリンピック・パラリンピック開催によるインバウンド需要を下支えし、長期的な経済効果を生む可能性は高いものと思われます。

まとめ:オリンピック開催の影響とは

今回はリオオリンピックの経済効果や問題点、そして過去のオリンピックの経済効果と東京オリンピックにおいて推定されている経済効果についてご紹介しました。

オリンピック開催における効果の傾向として

  1. オリンピック開催地が決定されると、インフラ整備の後押しによって、開催国の経済成長は高くなる傾向がある
  2. オリンピック翌年は「燃え尽き症候群」的に成長率が落ち込む傾向がある
  3. オリンピックが開催決定されると、開催国のインバウンド需要が換気される傾向がある

などの特徴があります。東京オリンピックの開催に寄ってインバウンド需要が増加することは間違いなく、2020年までは訪日外客数も右肩上がりになるでしょう。

このチャンスを活かし訪日リピーターを捕まえ、オリンピック後の「燃え尽き症候群」を回避し、政府が掲げる「観光立国」への道を開いていくことが今後の課題なのではないでしょうか。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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