ラブホテルは訪日客の宿泊施設不足の救世主!?:大阪の宿泊施設の41%がラブホテル 政府も改装支援方針決定

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先日7月29日に観光庁より宿泊旅行統計調査の5月の第2次速報および6月の第1次速報が発表されました。観光庁によれば、6月の全体の延べ宿泊者数は3,771万人泊で、前年同月比+0.7%、外国人延べ宿泊者数は、前年比+13.1%とのこと。

そこで問題に上がってきているのが宿泊施設不足です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催時には、およそ1万室以上の客室不足が懸念されています。

その解決策として注目されているのが「ラブホテル(レジャーホテル)」。先月6月11日に、政府がラブホテルの改装にあたって融資の後押しをする方針を決めました。今回は、宿泊施設不足とラブホテルの活用についてご紹介したいと思います。

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政府、ラブホテルの改装において融資を後押し方針発表

政府は6月9日、ラブホテル改装にあたって、条件付きで後押しする方針を固めました。これは、

  • 訪日外国人観光客の急増によるホテルなどの宿泊施設不足の解消
  • 比較的稼働率に余裕があるラブホテルの事業者が観光客向けの一般ホテルに改装することを後押しする

という2つの目的があります。

それに先んじて、厚生労働省が日本政策金融公庫に対し、「(ホテルや旅館業からの)資金に関する相談に特に配慮するよう」通達しました。「(観光立国に資する)一般ホテルへの改装という条件なら、一般ホテルへの融資に該当する」として、ラブホテルから一般ホテルへの改装を後押しする方針。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催時には、さらなる訪日外国人観光客の急増が予測され、ホテルの客室数の大幅な不足が懸念されています。その不足数およそ1万室以上。民泊の規制緩和と併せて、受け入れ体制を強化することが狙いです。

主要観光地、都市部はすでに客室数不足が顕在化:京都では稼働率90.3%

施設タイプ別客室稼働率の推移(全国):観光庁

施設タイプ別客室稼働率の推移(全国):観光庁

それでは、現在の宿泊施設の稼働率はどのような状況なのでしょうか。冒頭でご紹介した観光庁の宿泊旅行統計調査によると、5月の客室稼働率は大阪で79.2%、東京は75.5%、京都で72.5%と、都市部での稼働率が70%超え、大阪に至っては80%近い稼働率となっています。

また、シティホテルにフォーカスを当てると、京都府では90%を超えており、その他の県でも、千葉県、神奈川県、石川県、大阪府、奈良県、広島県、福岡県でシティホテルの稼働率が80%超えをしており、すでに客室数不足が顕在化し始めていると言えます。

 

大阪市の宿泊施設のうち、41%がラブホテル

すでに客室稼働率が80%近くまで上昇している大阪の宿泊施設の状況はどうなっているのでしょうか。昨年10月に大阪商工会議所が発表した「“大阪インバウンド”促進に向けた研究会 提言書 について」に実態の調査があります。

大阪商工会議所によれば、大阪市内の宿泊施設数の実態は

 
宿泊施設計
ホテル
旅館
簡宿
ラブホテル
 
690軒
226軒
73軒
108軒
 283軒

となっており、免許取得上の登録区分が無いラブホテルが全宿泊施設の41%を占めている状況が見えてきました。

渋谷区では条例で新規でホテルが建てられない

「そんなに訪日外国人観光客が押し寄せてくるなら、新しいホテルを作ればいいではないか」とも思われますが、地域によってはラブホテル向けの条例で、観光客向けホテルをオープンできない場合もあります。

渋谷区では、青少年を保護する目的で、2006年に「ラブホテル建築基準条例」を制定しています。同条例ではビジネスホテルとラブホテルの線引として11項目が設けられており、そのうちの1項目「ダブルベッドを備えた客室は、総客室数の5分の1以下にする」がネックとなっています。この項目により、一般的なホテルも新規で建てづらい状況があります。

 

ラブホテルが宿泊施設として活用されている例

「ホテルファイン」の英語版ホームページ

「ホテルファイン」の英語版ホームページ

そんな状況の中、ラブホテルがラブホテルのまま訪日外国人観光客に活用されているケースも存在します。関西を中心に展開するラブホテルチェーン「ホテルファイン」です。

ホテルファインは2011よりWEBから予約できる自社HPをオープン。Expediaに登録をしたところ、訪日外国人観光客の予約が急増したとのこと。現在では英語対応したページも用意しています。

訪日外国人観光客にとっては、”ラブホテルに対する固定概念”がなく、普通の宿泊施設として使われています。広々とした客室や大きなお風呂など、ラブホテルならではの設備、サービスが偏見なしに評価されている模様。

ラブホテルを改装した成功例「カオサンワールド浅草 旅館&ホステル」

「カオサンワールド浅草」では客室パネルを活用している(公式HPより)

「カオサンワールド浅草」では客室パネルを活用している(公式HPより)

政府が打ち出した方針に先んじてラブホテルを改装した成功例があります。訪日外国人観光客に人気の観光地浅草にかまえる「カオサンワールド浅草 旅館&ホステル」です。

「カオサンワールド浅草 旅館&ホステル」は、2013年にラブホテルとして営業していた建物を改装してオープンしました。その特徴は日本独自文化のラブホテルならではの設備を活用した改装です。

ロビーには各部屋の内装が一目で分かるルームパネルがあったり、客室ではラブホテル時代の豪華なお風呂が活用されていたりします。宿泊者の9割が外国人客であるほど、その独特の雰囲気が訪日外国人観光客の人気を得ています。

 

まとめ:ラブホテルの改装は稼働率不足への解決となるか

先述の大阪商工会議所の調査によれば、2020年、大阪市の客室稼働率は100%を超えるとのこと。訪日外国人観光客にとっても、日本人旅行者にとっても深刻な問題となりえます。せっかく訪日意欲が湧いた外国人観光客も、事前にホテルが確保できないとなると意欲消沈。訪日外客数の足止めになりかねない問題です。

ラブホテルの改装や民泊の規制緩和は、「観光立国」という目標達成のためのクリティカルな解決方法としては少々役者不足な印象がありますが、事業者目線からみたらビジネスチャンスが眠っていると言えるでしょう。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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