キャンピングカーで自由に日本旅 インバウンドに選ばれるレンタルサービス「JAPAN C.R.C.」の実態に迫る

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自分のペースで日本国内を移動し、寝泊まりもできるキャンピングカー。近年、訪日外国人の間でも日本周遊の選択肢として人気を集めており、レンタルサービスの需要が増しています。

今キャンピングカーを借りる訪日外国人は、どんなスタイルで日本を楽しんでいるのか。なぜキャンピングカーを選んでいるのか。人気を集める秘訣はどこにあるのか。

本記事では、「ジャパンキャンピングカーレンタルセンター(JAPAN C.R.C.)」を運営するキャンピングカー株式会社 キャンピングカー事業部長の岩坂佑也氏に話を聞きました。

▲キャンピングカー株式会社 キャンピングカー事業部長 岩坂佑也氏
▲キャンピングカー株式会社 キャンピングカー事業部長 岩坂佑也氏

インバウンド展開のきっかけは「突然の来店」だった

──御社がキャンピングカーレンタル事業を始めたのは、2015年とお聞きしました。事業立ち上げのきっかけをお聞かせください。

当社は、最初からインバウンド向け事業を展開していたわけではありません。キャンピングカーレンタル事業の立ち上げは、当時犬を飼っていた代表(頼定誠氏)が家族旅行をする際、ペット可の宿泊施設の予約が取れず、苦労したことがきっかけでした。そんななか行きついた選択肢が、キャンピングカーだったのです。

しかし、キャンピングカーを購入・保有するには、維持費や置き場所の問題があります。同じような課題を抱えている方が、より気軽にキャンピングカーを旅の選択肢として加えられるようにと考え、立ち上げられたのが同事業です。最初はペットとの旅行や、当時流行り始めたInstagramに映える旅の写真を投稿したい方など、特別な体験を求める層をターゲットとして想定し、事業を展開していました。

──そこから、どのような経緯でインバウンド向けにもサービスを提供するようになったのでしょうか。

当社は東京・恵比寿に最初の拠点を構えた後に、神奈川・川崎や埼玉・草加など各地に拠点を増やしていったのですが、GoogleマップWebサイトを見て、外国人のお客様が「今からキャンピングカーを借りられますか」とアポなしで来店する機会が徐々に増えてきました。

貸し出すにはメンテナンスや配車の手続きが必要なので、当然その場ではお断りとなるのですが、件数が増えるにつれ「これは大きな需要があるのでは」と思うようになりました。そして英語Webサイトを立ち上げ、インバウンド向けサービスを本格化させたのが、コロナ禍直前の2019年のことです。

コロナ禍は訪日外国人がほぼおらず、国内需要に偏っていましたが、訪日需要が活発化すると同時に、インバウンドも戻ってきました。現在は全国40拠点(フランチャイズ含む、2026年6月時点)で150台以上のキャンピングカーを展開し、徐々に訪日外国人リピーターも増えています。

──インバウンド認知を高めるために打った施策などはありますか?

Webサイト多言語対応英語繁体字韓国語タイ語)をしてSEO対策をするなど、基本的な取り組みはしつつも、やはり一番効果があるのはUGC(ユーザー生成コンテンツ)だと感じています。インフルエンサー施策を大きく打ったわけではないのですが、当社がキャンピングカーを貸し出したお客様がたまたまYouTuberインフルエンサーで、彼らの投稿から認知が広がっていく様子を見てきました。

何より、「キャンピングカーに乗ってどんな体験をしたか」がわかるのが良いのでしょう。Google口コミを信用して申し込みをしたといってくださる方も多いです。

レンタル需要が高いのはどの国? 利用日数の傾向は?

──国籍や利用スタイルなど、インバウンドの顧客層について教えてください。

通年で多いのは、台湾香港シンガポールなどアジア圏からの旅行客です。訪日リピーターも多い国なので、いつもと違う体験をするため、まだ知らない日本を探すために車での移動を望んでいる様子が、お客様の声からもうかがえます。

冬になると増えるのは、欧米豪のお客様です。2週間ほど借りてスキー場を渡り歩き、日本のパウダースノーを存分に楽しんで帰るケースが多いですね。

中国は、国際的な運転ルールを定めたジュネーブ条約に加盟していないため、日本で運転できる国際免許証を発行できません。そのため、中国籍のお客様はほぼいらっしゃいませんが、シンガポールなど他国籍を持つ中国系の方には広くご利用いただいています。

──アジア欧米豪でレンタルの傾向に違いは見られますか?

わかりやすいのは、利用日数です。アジアからの訪日客は5〜7日程度、欧米豪から来る方は2週間前後と、2倍ほどの開きがあります。やはり距離など訪日のハードルが高いぶん、欧米豪の方は1回の旅で長く日本に滞在する印象です。

アジア系、特に台湾の方は家族や友人グループと連れ立って複数台借りていくケースが多いです。なかには、20人ほどの大人数で旅行する方もいました。

欧米豪は3~4人の家族連れが多くを占めますが、大柄な方が多いうえ、長期滞在で荷物もたくさんあるため、ゆったりとスペースを使えるよう7~8人乗りの大型キャンピングカーを借りる方が多いですね。

もちろん、一人旅やご夫婦で軽キャンピングカーを借りる方もいらっしゃいます。特に東京エリアでは、一番人気といってもいいほどです。コンパクトで日本の道路事情にも合っていますし、見た目がかわいいとのお声もいただいています。

▲さまざまなサイズ・車種のキャンピングカーのレンタルを手がけている:キャンピングカー株式会社提供
▲さまざまなサイズ・車種のキャンピングカーのレンタルを手がけている:キャンピングカー株式会社提供

アニメの聖地巡礼、乗り捨て需要も 多様化する旅のスタイル

──キャンピングカーを借りて、インバウンドの方々はどこへ出かけているのでしょうか?

やはり人気なのは、富士山周辺ですね。アニメゆるキャン△』のモデルとなっているキャンプ場に聖地巡礼を兼ねて行く方もいらっしゃいます。

また、目的地を細かくは決めずに、RVパーク(車中泊専用の有料駐車スペース)や道の駅に泊まりながら「まだ行ったことのない日本を自由に巡りたい」といって借りていく方も多いです。東北地方を周遊したり、長野や北陸方面へ行ったり、スキーシーズンに北海道スキー場を複数訪れたり、行き先は本当に多様化しています。

──レンタカーではなく、寝泊まりもできるキャンピングカーだからこそ、選べるルートもありますよね。

特に地方だと二次交通の課題もありますし、レンタカーを借りるにしてもホテル旅館を確保して、決まった日程にその土地まで移動しなければなりません。キャンピングカーだとこうした制約がなくなるので、自由に旅ができます。そのスタイルが、多くの方に評価されているのだととらえています。

──長距離を移動するとなると、レンタルを開始した営業所とは異なる拠点で返却する乗り捨て需要などもあるのでしょうか?

時期によって変動はありますが、平均して15〜20%程度の方はワンウェイ(乗り捨て)利用を希望されます。

ワンウェイといっても、利用傾向はさまざまです。入国と出国空港を分けているインバウンドの方も増えているようで、東京都内で借りて大阪や京都などの別エリアで返却されるケースもあれば、羽田や成田空港近辺で借りて、周遊した後に首都圏の別拠点に返しに来るケースもあります。

なかには北海道で借りて大阪で返却されたケースもあり、少し驚きましたね。ほかにも、長期間滞在される方のなかには福岡で借りて九州を巡り、返却後に沖縄へ飛んで現地でもう1回キャンピングカーを借りるといった使い方をしてくださる方もいます。

──先ほどスノーシーズンの話もありましたが、ピークシーズンはあるのでしょうか。

各国の連休シーズンはもちろん該当国からの需要が高まりますが、インバウンドの方は土日やお盆など日本のピークシーズンを避けて借りられているように感じます。平日に借りたほうがレンタル料が安く済むからだと思うのですが、国内向けレンタル事業も行っている当社としては、それぞれの需要と供給のバランスがかなりうまく回っている状況です。

ただ、好評であるがゆえに1〜2月の北海道など、台数が足りないほどの問い合わせが入る時期やエリアもあります。その点は今後サービスの拡大などを検討していきたいと思っています。

道中の困りごとはチャットでサポート コミュニケーションにも寄与

──インバウンドの方のなかには、異国での運転に不慣れな方もいるかと思います。レンタル前や道中でのサポート体制など、インバウンド向けに意識されていることはありますか?

日本語以外での問い合わせにも対応できるよう、外国籍を含め、英語ができるスタッフを半数以上配置するなど、コールセンターの多言語化を進めています。英語以外を母語とする方にも、直近ではSNSの翻訳ツールなどで対応できているので、技術の進歩は素晴らしいなと感じますね。

また、当社では貸し出しが決まった後にSNSでグループチャットをつくり、出発前に日本の交通ルールをまとめたマニュアルや、キャンピングカーならではの注意事項、旅行予定の地域にあるRVパークや車中泊スポットの案内などを送付しています。

インバウンドの方々に特に喜ばれるのは、RVパークや車中泊スポットの案内ですね。RVパークには、メールアドレスや日本の電話番号がないと停車できないところもあり、現地に行ってから困らないよう、事前の情報提供を心がけています。これは「安心して旅が楽しめる」と好評です。

このグループチャットは、道中で事故やトラブルなどがあった際の問い合わせ窓口と位置づけて運用を始めたのですが、なかには旅先で出会った素敵な景色やキャンピングカーと撮影した写真をリアルタイムで送ってくださる方もいらっしゃいます。コミュニケーションの活性化やリピーター創出にもつながっていると感じています。

「まだ知らない日本」を体感できるキャンピングカーの魅力を伝えたい

──さまざまな取り組みの様子がうかがえましたが、最後に今後の展望についてお聞かせください。

すでに全拠点でワンウェイレンタルに対応していますが、フランチャイズを含めネットワークの拡大を続け、インバウンドを含むすべてのお客様に「どこで借りてどこで返してもスムーズだね」といっていただけるような仕組みを整えたいです。これを実現できれば、今まで以上に「まだ知らない日本を体験するならキャンピングカー」と思っていただけると考えています。

また、利用者に目的地を聞いた際に、私たちも把握していない音楽フェスやアウトドア系のイベントの名が挙がるなど、日本の地方にはまだ知られていない魅力的なイベントやスポットがたくさん存在します。これらや、今後インバウンド誘客に力を入れたい自治体や施設と連携するなど、移動と滞在どちらの手段にも使えるキャンピングカーだからこそ広げられる可能性は、まだまだあるはずです。「日本でキャンピングカーを借りるならJAPAN C.R.C.」と、どの国の人にもいっていただけるような存在を目指し、今後もサービス拡大を続けていきます。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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