民泊検討会、最終報告書を発表:旅館業法とは異なる新たな法制度をつくり、実態把握を図る見込み

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世界的に人気を博しているものの、宿泊業者や地域住民の生活に悪影響を及ぼすおそれが懸念されている民泊。観光地として世界的に有名なフランス・パリでは、ホテルの宿泊率が減少し、家賃相場が上昇し住宅不足が発生。ひどいところでは学級閉鎖まで起こっていると言われています。

民泊の本来的な魅力は、ホテルや旅館では体験しにくい地域住民との関わり、体験の共有など。しかし、低コストで運営できるため、宿泊業者より価格が低く、実際には違法な業者が営業していることも少なくないと言われています。

このような問題があることから、日本では旅館業法改正を考慮した観光庁、厚生労働省が民泊との向き合い方について議論を行ってきました。6月20日、「『民泊サービス』のあり方に関する検討会最終報告書」が発表されましたので、その内容をご紹介します。

 

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これまでの対応策:民泊を簡易宿所として扱い、旅館業法に基づいた許可の取得を促す

旅館業法施行令の改正により宿泊者数が10人未満の場合、玄関帳場(フロント)は不要となった

旅館業法施行令の改正により宿泊者数が10人未満の場合、玄関帳場(フロント)は不要となった

まずは日本が従来の法制度の中で行ってきた対応を確認していきましょう。日本国内では民泊は、旅館業法の許可を受ける必要がありました。観光庁、厚生労働省による検討会の提言を受け、関係省庁はいくつかの対応策を行いましたが、これは主に民泊を旅館業法で定められる簡易宿所と位置づけたうえで、旅館業法の許可取得を促すものです。

たとえば、2016年4月1日、旅館業法施行令が改正され、客室延床面積の基準が33㎡以上から3.3㎡×宿泊者数以上(10人未満の場合)へと緩和。また、宿泊者数が10人未満の場合は一定の管理体制を確保すれば、玄関帳場(フロント)は不要とされました。

言ってみれば、「民泊簡易宿所以上に簡易な宿泊施設」とすることで、既存の旅館業法で対応できるようにしたのです。

 

今後の民泊との向き合い方:家主居住型、家主不在型に分類して対応

コンセプトは、トラブルを回避しつつ民泊需要に応えること

日本での民泊の取り扱いについては、以下の3点を踏まえたうえで検討が行われてきました。インバウンドビジネスの活性化のために民泊が必要であることを踏まえながらも、地域住民への悪影響を抑えるためにはどうすべきかが議論されてきたようです。

  • 衛生管理面、テロ等悪用防止の観点から、宿泊者の把握を含む管理機能が確保され、安全性が確保されること
  • 地域住民とのトラブル防止、宿泊者とのトラブル防止に留意すべきこと
  • 観光立国を推進するため、急増する訪日外国人観光客の宿泊需要や、空きキャパシティの有効活用等地域活性化などの要請に応えること

このような問題意識のもと、高まり続ける民泊の需要に応えつつも、適切な規制を加えるために法整備が急がれています。

旅館業法とは別に、民泊のための法制度を必要視

今後、民泊簡易宿所としてではなく、「住宅を活用した宿泊サービスの提供」と位置づけられます。この際、ホテルや旅館を対象とする現在の旅館業法とは別の法制度が望ましいと考えられています。

民泊には「一定の要件」の範囲内であることが求められ、それを越える場合は旅館業法に基づく営業許可を求める可能性が。一定の要件の例としては、年間提供日数上限を設ける例が挙げられています。具体的に日数は決められていませんが、180日(年間半年)未満になる見込みです。

民泊の不透明性はこれまでにも問題視されてきましたが、行政が実態を把握できる仕組みを構築します。また、管理、安全面・衛生面の確保を行うために、住宅提供者や管理者、仲介事業者に対する規制が課せられます。

住宅提供者、それを代行する管理者、仲介業者は行政庁に届け出

民泊は「家主居住型(ホームステイ)」「家主不在型」を区別したうえで、対応が行われます。両者の違いは以下のとおりです。

  • 家主居住型:住宅提供者が居住する住宅の一部を利用させる
  • 家主不在型:出張や長期旅行などで空けた家を貸し出す

家主居住型では住宅提供者に対し、本人確認を行う利用者名簿の作成、簡易宿所なみの宿泊者一人当たりの面積基準(3.3㎡以上)の遵守、利用者に対する注意事項の説明、近隣からの苦情への対応などが求められます。

家主不在型の場合、住宅提供者に委託され行政庁に登録を行った管理者が代行します。また、民泊の仲介を行う事業者も行政庁に登録を行う必要があり、違法な民泊をサイトから削除する義務などが発生します。

 

旅館業法も現状に合わせて改正

民泊にかかわる制度だけでなく、ホテル、旅館についても規制の見直しが必要だとされています。本記事のテーマから外れるので、検討すべき問題として取り上げられたテーマの大まかな内容を以下に列挙します。

  • 旅館、ホテルを区別する意味がなくなってきており、営業許可の1本化
  • 宿泊拒否の制限規定を見直す
  • 旅館業法の営業許可を持たない事業者に対する罰則強化
  • 無許可営業者に対する報告徴収、立入調査権限の整備

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まとめ:民泊のトラブルを防ぐための法整備が行われる見込み

世界的に人気が高まっている民泊。近隣住民とのトラブルやテロ、感染症の拡大などが懸念されていますが、「観光立国」を目指す日本としては無視するわけにはいきません。

これまでは便宜的に旅館業法における簡易宿所として扱われてきましたが、今後は民泊のための法整備が進められるものと見られます。問題視されてきた民泊の不可視性に対しても対応策がとられる見込み。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

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