代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の実態や意味 | 中国19兆円の市場規模

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訪日中国人観光客による爆買いの裏には、代理購入(別名:ソーシャルバイヤー、代購、海淘)があります。

今回は、この代理購入の背景と市場規模について中国でのECサイトの状況や爆買いとの関係、利用者層の観点から解説していきます。

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代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)とは

代理購入とは、その言葉通り、一般消費者が海外の商品を専門業者に代理で購入してもらい輸入することです。専門業者は、その購入手数料を徴収することで成り立っているビジネスモデルです。

特に中国で盛んに行われており、日本では ソーシャルバイヤー」「代理購入」 、中国国内では 「代購(ダイコウ)」「海淘(ハイタオ)」 という名称で呼ばれ、中国向けインバウンドビジネスにおいても注目を集めています。

「代購(ダイコウ)」は代理購入を省略した名称、「海淘(ハイタオ)」は海外製品を見つけ出す意味からつけられた名称です。

パターンとしては大きく2つにわかれ、

  • 事前に代理購入者が希望者を集め、希望購入商品をヒアリングした上で訪日&購入するパターン
  • 売れ筋商品(例:神薬)を爆買いし、中国国内のオークションサイトなどで転売するなどの「転売屋」のようなパターン

といった形式があります。

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2015年の流行語大賞に選ばれた「爆買」という言葉が示すように、日本を訪問する中国人観光客の消費行動に注目が集まっています。観光客は事前に用意した購入リストをもとに、大量の商品を買い込んでいくのです。その背景には、品質が高く、安全でとても信用できるという日本の商品に対するブランドイメージや信頼感があります。中でも、医薬品や、医薬部外品の商品は最も人気があるジャンルです。 さて、中国国内の大手ポータルサイトである「捜狐(SOHU)」が昨年、「日本に行ったら買わなければならない12の“神薬”」...

 

代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)誕生の背景

中国の代理購入の担い手であるソーシャルバイヤーが誕生したのは、中国ならではの習慣、そしてEC市場環境が関連しています。

「信用」を重視する習慣

中国では 「信用」 がおけるかおけないかは、重要視されている指標です。消費においてもその傾向は変わりません。

中国社会には「企業や政府が発表する情報は信用が置けない」という感覚が根底にあります。消費の選択の際には、情報に対し「信用」がおけるもの、つまり 「知人や信頼のおける人物の発信=口コミ」 から情報収集する傾向があります。

訪日中国人対策としてKOLインフルエンサー)マーケティングが有効になるのも、こういった背景があるためです。

KOLとは

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C2CがメインのEC市場

中国のEC市場は、近年になってB2C(*1)が台頭してきているものの、C2C(*2)取引がベースとなっています。

中国EC市場のC2C,B2C比率の推移:hq-inc.jpより引用

中国EC市場のC2C,B2C比率の推移:hq-inc.jpより引用

そのため、ECでの買い物の際も、取引相手が「信用」のおける人物であるかどうかが購買行動の重要な指標となっています。

*1:企業と一般消費者の間の取引。ECにおける代表例はAmazon、楽天
*2:一般消費者と一般消費者の間の取引。ECにおける代表例はヤフオク、メルカリ

海外製品を中国国内で買うと割高

もちろん海外でしか買えない商品を購入したい際もソーシャルバイヤーの出番となりますが、中国国内で購入できる海外製品においても、ソーシャルバイヤーは活躍します。

海外製品の正規輸入品を中国国内で購入しようとすると、 関税増値税 (≒日本での消費税)、 消費税 (≠日本の消費税、いわば「贅沢税」のようなもの)、そして商社のマージンが載せられ、非常に高額になります。

しかしながら、ソーシャルバイヤーを活用した代理購入の場合、個人輸入に該当するため、これらの諸税がかからなくなる、ないし安くなることにより、安価に海外製品を購入することができます。

「コト消費」「モノ消費」とは?最近話題になっている訪日外国人の消費活動の変遷について解説

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つまり、以下の3点

  • EC市場環境がC2C(個人間取引)ベース
  • 「信用」を重要視する習慣
  • 正規輸入品が高額

といった背景によって、安く売ってくれる信用のおける個人=「ソーシャルバイヤー」が重宝されるようになったという経緯があります。

代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の市場規模は19兆円!

中国のEC市場の急速な拡大とともに、代理購入の市場規模も爆発的な成長を見せています。

中国の代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の市場規模推移

中国の代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の市場規模推移

米国の調査会社ニールセン・カンパニーの調査によれば、中国国内での代理購入の市場規模は、 2015年は日本円で19兆円 にのぼると発表されました。

代理購入での購入者数は2013年に 1800万人 だったのが2015年には 約倍の3560万人 、市場総額は 2160億人民元 から 363%増(約4.6倍)の1兆人民元 にまで成長しています。

代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)が爆買い現象を呼び起こした

為替相場の訪日外国人観光客1人あたりの旅行支出額への影響

為替相場の訪日外国人観光客1人あたりの旅行支出額への影響

2013年から2015年の間は、丁度為替相場で円高元安から円安元高に進んだ時期、およびそれに伴う訪日外国人観光客1人当たり旅行支出額が上昇した時期と合致し、代理購入が爆買いを下支えしていたことが推測されます。

<関連>

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代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の利用者層は子持ち夫婦

PayPalの調査によれば、代理購入利用者のうち72%が子供のいる既婚者であるとのこと。

中国の代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の利用者の72%が子持ち夫婦:paypalobjects.comより引用

中国の代理購入(ソーシャルバイヤー、代購、海淘)の利用者の72%が子持ち夫婦:paypalobjects.comより引用

特に6歳以下の子供がいる既婚者の利用率が高く、良く購入されている商品として、ファッショングッズ、子供用品、化粧品、家電製品などがあります。

これらの層は、世帯年収が高いことが特徴。海外の高品質な商品、子育てで安心できる商品を求めます。しかしながら、子育てや仕事で忙しいため、手っ取り早く安全で高品質なものを、中国国内価格より安価に購入できる代理購入の利用率が高くなる傾向にあります。

まとめ:今後も日用品・化粧品分野で代理購入に注目

大手メディアでは「爆買いは終わった」という報道が多いものの、化粧品や日用品、ベビー用品などの比較的安価な商品については、まだまだ伸びしろがあると言えます。

ソーシャルバイヤーの誕生背景、そして中国のEC市場の爆発的な伸び、さらに中国国内のベビーブームによる代理購入利用者層(既婚子持ち)の増加など、代理購入が今後も伸びうる要因がいくつもあります。

そのため、今後の中国市場向けインバウンド対策においては、実際にやってくる訪日中国人観光客のみならず、中国国内の一般消費者向けのブランディング戦略も重要課題となっていくるでしょう。

越境ECの舞台となる中国 そのEC事情の今

日本国内でも成長が続く電子商取引(eコマース:EC)ですが、その勢いが止まらないのがお隣中国のEC市場。中国のEC市場は3年前に米国を抜いて世界一位となりました。2015年には6300億ドル(約75兆6000億円)に達し、間もなく100兆円、数年後には200兆円規模に達するだろうと言われています。この爆発的な成長に目をつけ、越境ECに力を入れている企業も増えてきました。中国の小売市場におけるEC比率は約20%にまで達しており、中国の消費者にとって「ネットで商品を購入する」という行為が一般化...

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<参考>

HuaQiao Inc:中国ネット市場規模【EC(C2C)】

Weibo JAPAN:微博のソーシャルバイヤーの実態について

Xinhua:Yearender: China’s multi-billion-dollar “haitao” splurge

PayPal:The Path to Purchase:A One-Stop Guide to China’s Haitao Shoppers

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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