コンビニはどうやってインバウンドにおいて地方誘致・地方創生に取り組むべきなのか?
インバウンド市場が盛り上がる中で、コンビニが地方誘致・地方創生によってインバウンド集客で成功する事例が増加しています。都心部での訪日外国人受け入れのノウハウをそのまま持っていって成功する場合もあれば、地方ならではの特色を活かしたり、個別の取り組みが評価されている事例もあります。
このページでは、コンビニの地方誘致・地方創生のインバウンド対策やインバウンド集客における活用について、次の3つの事例を取り上げます。
- コンビニ×地方誘致・地方創生事例その①:早くから免税サービスや指差し会話ツールを導入した「セブンイレブン」
- コンビニ×地方誘致・地方創生事例その②:道内で早くから訪日外国人対策を始めた「セイコーマート」
- コンビニ×地方誘致・地方創生事例その③:徹底した顧客思考の「オレボステーション」に学ぶ訪日外国人対策
地方誘致・地方創生のためのインバウンド集客やインバウンド対策においては、業界・業種やターゲットとする国籍によってかなりその内容が様変わりします。例えば、中国出身の訪日外国人には人気の観光地が、台湾出身の訪日外国人には人気ではなかったり、その消費動向が異なっていたりすることがあります。またこういた訪日外国人の国籍とは関係ない共通の手法が、色々な国からの訪日外国人にしっかりと効果がある場合もあります。
ここでは、コンビニという業界・業種における地方誘致・地方創生の各社の事例を元にして、効果的な地方誘致・地方創生を活用したインバウンド対策やインバウンド集客のケーススタディーをしてみます。それでは見ていきましょう。
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「インバウンドコンサル」の資料を無料でダウンロードする「広告運用」の資料を無料でダウンロードする「展示会出展サポート」の資料を無料でダウンロードする早くから免税サービスや指差し会話ツールを導入した「セブンイレブン」
「セブンイレブン」はアメリカ発のコンビニエンスストアで、テキサス州オーククリフで、1927年にオープンした氷販売店がはじまりです。その後1991年に経営破綻、フランチャイジーのイトーヨーカ堂傘下となりますが、2005年にはセブン&アイグループの完全子会社となり、今では日本のブランドとなりました。日本においてはコンビニエンスストア最大手であり、チェーンストアとしても世界最大の店舗数を展開している企業です。おにぎりや弁当の販売、POSシステムの導入、メーカーとの提携による独自商品の開発などを行う他、その日の天候や周辺住民の構成などに基づいたきめ細やかな売り場設計が特徴で、日本においてまさにナンバーワンのコンビニエンスストアブランドとなっています。セブン-イレブンは日本のコンビニエンスストアチェーンの草分け的な存在で、店舗数はコンビニエンスストア業界で最多で、2018年1月時点で全国に2万店以上の店舗を誇り、1店舗あたりの販売額でも最大となっています。特徴的なのはその出店方針でドミナント戦略と呼ばれる「特定の地域へ集中的に出店する」ことで、物流や広告などの効率向上を狙った店舗展開が特徴です。
早くから免税サービスや指差し会話ツールを導入
セブンイレブンは業界最大手として都心、地方部で様々なインバウンド対策を進めています。中でも2015年から訪日外国人向けの「免税サービス」を開始、英語など外国語での顧客対応に必要な「接客指さし会話シート」の導入などの他、2018年にはトランスコスモスとの協力で、コールセンターによる多言語対応サービスを開始しています。今後も業界最大手のセブンイレブンの訪日外国人対応には目が離せません。
道内で早くから訪日外国人対策を始めた「セイコーマート」
「セイコーマート」日本の北海道で創業したコンビニエンスストアチェーンで、チェーン全体を「成功」させる、創業者の西尾長光の「西」と「光」、から「セイコー」と名付けられています。1号店は1971年(昭和46年)に開店し、国内ではナンバーワンの存在感を誇るセブンイレブンより早くなっています。24時間営業にこだわらず、24時間営業の店舗は2017年時点で茨城県内に1店で、6時から24時までの営業の店舗が多くなっています。「お客様のリクエストがあれば、採算度外視で全力で応える」という姿勢の通り、コンビニエンスストア部門での顧客満足度は、コンビニエンスストア部門で2011年に初めて1位を獲得。その後2015年を除き1位を獲得しています。
道内で圧倒的な存在感を発揮する「セイコーマート」
「セイコーマート」は日本のコンビニエンスストアとしては早い段階となる2010年に三井住友カードと協力し訪日中国人向け決済サービス「銀聯(ぎんれん)」を導入。またニセコのスキー場が訪日外国人に大きな人気となっていることを受け、「セイコーマート」では店舗の訪日外国人向けの商品ラインナップを強化。 訪日外国人がこぞって買う2リットルのペットボトルの水のほか、アイスコーナーには訪日外国人が好む大容量のアイス、スパムなどの缶詰、特に人気が高い「ブリティッシュブレッド」を揃えるなどの他、外貨両替機をコンビニ内に設置するなど様々な工夫を施しています。
徹底した顧客思考の「オレボステーション」に学ぶ訪日外国人対策
地域密着型の独自の経営スタイルで根強いファンが多いのが、福井市に本社を置く大津屋が、市内4店舗、市外2店舗を展開する「オレボステーション」です。「オレボステーション』は、コンビニエンスストアである「オレンジBOX」、弁当・惣菜を扱う「オレボキッチン」、飲食店「オレボ食堂」の3業態による複合店舗からなり、大津屋では「ダイニングコンビニ」とこれらの店舗を呼称しています。大津屋はそもそも1573年創業。酒造業だったものは酒販業に事業を拡大し、1981年に福井発のコンビニエンスストアとなる「オレンジBOX」を開業します。「豊かな食文化の提案」を事業領域とする同社は大手コンビニの福井進出の際も、全国から集めた美味しい酒と肴を提供する形で「ダイニングコンビニ」と言えるイートインスペースを備えた店舗展開を進めます。
常に顧客は何が嬉しいか?という発想は訪日外国人対応に欠かせないもの
「オレボステーション」は店内に惣菜コーナーを常時設置しており、地産地消をテーマにした多くの総菜を店内で製造し、1g1円で量り売りしています。これは全国でも共働き率が高い福井ならではの主婦を助ける工夫でもあり、店内調理の地元の味を好む多くのファンの獲得、また地産地消による地域の農業や水産業の活性化に貢献しています。訪日外国人対応を進める上では、どのような対策が有効なのか迷う場合も多いですが、まずはお客さんがどのような対応やサービスを望んでいるのか?を前面に打ち出した店舗運営、店舗展開に学ぶ部分は多いのではないでしょうか?