百貨店・デパートはどうやってWEB・メディアをインバウンドに活用すべきなのか?
インバウンド市場が盛り上がる中で、百貨店・デパートがWEB・メディアによってインバウンドで成功する事例が増加しています。このページでは、百貨店・デパートのWEB・メディアのインバウンド対策やインバウンド集客における活用について、次の3つの事例を取り上げます。
- 百貨店・デパート×WEB・メディア事例その①:三越銀座は中国WEBメディア「大衆点評」を活用した口コミ施策を
- まず1つ目は三越銀座店の中国版食べログである大衆点評活用の事例。三越銀座店は2010年頃からインバウンド対策に力を入れており、2015年の爆買いのタイミングではかなりの免税売上を記録したとのこと。そんな三越銀座店のWEBメディアを活用した事例を紹介。
- 百貨店・デパート×WEB・メディア事例その②:松屋銀座越境ECの事例とは?
- 2つ目は松屋銀座の越境ECの事例です。2015年に爆買いの大きな影響を受けた松屋銀座。2017年3月頃には中国へ向けた越境ECを構築。他の百貨店では天猫国際などを活用して越境ECを行っていますが、自前で越境ECを行っている事例になります。
- 百貨店・デパート×WEB・メディア事例その③:5言語に対応している小田急百貨店のWEBサイト
- 3つ目は小田急百貨店のWEBの多言語対応の事例です。小田急グループもインバウンド対策には力を入れており、様々な取り組みを行っています。
近年プロモーションの方法としてWEB・メディアがポピュラーになってきています。WEB・メディアによるインバウンド対策やインバウンド集客のメリットとしては、多くの情報を伝えながらも、顧客のイメージに残りやすいということがあります。伝えたい情報を写真や画像などよりも一度に多く発信できるためその分それぞれの百貨店・デパートの色がはっきりと出やすく、工夫を凝らしたWEB・メディアが求められています。
ここでは、百貨店・デパートという業界・業種におけるWEB・メディアの各社の事例を元にして、効果的なWEB・メディアを活用したインバウンド対策やインバウンド集客のケーススタディーをしてみます。それでは見ていきましょう。
Googleマップによる集客、うまく活用できていますか?
Googleマップでの集客ツール「口コミコム」を詳しく見る >三越銀座は中国WEBメディア「大衆点評」を活用した口コミ施策を
円安などの影響もあり、訪日中国人が日本で驚くほど、買い物をすることから2015年に爆買いという言葉が生まれました。ドラッグストアや百貨店がその爆買いの恩恵を受けたと言われています。
その爆買いの恩恵を最も受けたと言われているのが三越銀座店です。2010年の早い段階から三越銀座店はインバウンド対策に力を入れています。2010年から免税売上額の全館売上に対するシェアが順調に伸び、2015年、まさに爆買いのタイミングでは驚異的な勢いで売上シェアが拡大。
2012年は2%、2013年は5%、2014年は12%、2015年は25%で売上が伸びていました。そんな三越銀座店はインバウンド対策として訪日中国人への対応を重視しており、銀嶺カードのATMやその他のQRコード決済なども導入しています。その中でのWEB・メディアを活用したインバウンド対策として中国版食べログと言われている大衆点評を活用しています。
「大衆点評」は「みんなの口コミ」という意味です。端的に表現するなら「中国版食べログ」。場所やカテゴリでレストランを検索でき、同時に同店に対するユーザーの口コミが閲覧できるサービスです。
2017年のデータによれば、大衆点評のモバイル端末での大衆点評の累計ユーザー数は2017年6月の時点で 約6億人、月間アクティブユーザー数は2.5億超 となっています。一線都市を中心に消費力の高いユーザーによく使われているのが特徴です。
三越銀座店も大衆点評上で登録されており、2018年2月時点で、三越銀座店は782件の口コミがあります。大衆点評は中国版の食べログと言われていますが、三越銀座店のようなデパートやアクティビティやホテルなど色々なものを登録でき、口コミを書くことができます。
そして、中国人のほとんどが大衆点評を活用し、口コミを把握し、飲食店の予約やホテル予約などを行っています。食べログを超えているサービスと言えるでしょう。
訪日中国人を集客するなら、大衆点評は欠かせないツールの一つとなっています。
松屋銀座越境ECの事例とは?
2018/4/12に配信されたニュースによると松屋の2018年2月期は、売上高が前期比4.9%増の905億円、営業利益が同71.1%増の21億円、経常利益が同61.1%増の20億円、純利益が同62.4%増の12億円だったとのこと。2015年の爆買いが終わりを告げて、少し下降傾向にあるように見られていた百貨店業界。
その中でも、松屋は売上を伸ばしています。売上が好調な理由としてはやはり、インバウンド消費が挙げられるでしょう。そんな銀座松屋ではありますが、一体、どのようなインバウンド対策を行っているのでしょうか?松屋銀座が行っている越境ECを活用した中国人対策を紹介いたします。
近年、インバウンドで日本に訪れ、日本の商品を外国人に知ってもらい、自国に戻ってからも購入ができるように各メーカーが越境ECを構築し販売をしているケースが増えてきています。小売店やドラッグストアでも越境ECを構築している企業が多く、例えば、マツモトキヨシも越境ECを構築しています。
このように、越境ECが増えてきていますが、百貨店業界ではまだまだ、越境ECを行っている企業は多くはありません。三越伊勢丹で天猫国際という中国のモールに出店しているくらいです。しかしながら、松屋銀座では2017年3月頃から、天猫国際などのモールを活用するのではなく、中国にむけた越境ECを自前で構築しています。
松屋では訪日中国人によるインバウンド需要が高いことや広告宣伝コストの負担から、中国現地向けのECサイトを立ち上げることを決定。松屋店舗に来店する中国人顧客のリピーター化や、現地での広告効果と安定したECの売上拡大を見込み運営をしています。
このように越境ECを活用することで売上を伸ばしていくことを狙っていく、企業が今後も増えてくるでしょう。
5言語に対応している小田急百貨店のWEBサイト
小田急はグループを挙げてインバウンドに取り組んでいます。1999年頃から「小田急外国人旅行センター・新宿」を訪日外国人向けの案内所としてオープンしたり、小田急グループのUDS株式会社は、新宿にインバウンド関連事業者向けコワーキングスペース「INBOUND LEAGUE」(インバウンドリーグ)をオープンしたりするなど様々なインバウンド対策を行っています
さらに、急増している訪日外国人のさらなる誘致、最訪に繋げるため、外国人目線で良さをSNSなどで発信してもらうため、在日外国人や留学生を対象にしたモニターツアーをを実施しています。
このように数々の取り組みをしている小田急グループ。そんな小田急グループのインバウンドの消費の中心に当たるのが小田急百貨店です。小田急百貨店ではWebサイトを多言語対応しています。
小田急百貨店のWEBサイトを見てみると、英語、中国語(繁体字・簡体字)韓国語、タイ語の5言語に対応しています。小田急グループはタイに対しても対策に力を入れており、タイ語のFacebookページを運用などもしており、数多くのファン数がいます。そのことからWEBサイトもタイ語にも対応していると考えられるでしょう。
他の百貨店ではタイ語対応しているところは珍しく、小田急百貨店くらいと考えられるでしょう。このようにターゲットをしっかりと定めて、WEBも対策していくことはインバウンドにおいて重要になるでしょう。