1996年に設立され、月間約180万人のユーザーが閲覧している「ジャパンガイド」では、、英語圏からのアクセスが上位を占めている訪日観光客向けの情報ポータルサイトです。
前回は交通手段について紹介している「Transportation」ページに注目し、国別のアクセス傾向についてみてきました。今回は清水寺、浅草寺等の「スポット」のページにフォーカスを当て、国別の傾向について言及していきたいと思います。
訪日客は日本を何で移動している?
1996年に設立され、月間約180万人のユーザーが閲覧している「ジャパンガイド」では、アメリカ、オーストラリア、シンガポール、イギリスなどの英語圏からのアクセスが上位を占めています。サイトのページ数は約2000ページ。そのうち、約1700ページが観光エリア、スポットを紹介する「Destination」ページ、2番目に多くの割合を占めるのは、旅行計画を立てる際に役立つ情報を集めた「Plan a Trip」ページになります。今回は、「Plan a Trip」ページの中で、交通手段について紹介し...
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欧米豪圏とアジア圏で異なる傾向
図表1~4はジャパンガイド内の”スポット”関連のページへのアクセス数をランキング化し、国別にまとめた表です。
ジャパンガイドへのアクセスが多い国の中から、アメリカ、オーストラリア、イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、イスラエル、シンガポール、マレーシア、タイ、香港の13ヵ国をピックアップし、かつ比較のために世界全体(=サイト全体)の順位を掲載しています。
まず、欧米豪圏、アジア圏に共通しているのは、ゴールデンルート上のスポットが上位にランクインしている点です。
とりわけ「築地市場」は今回抽出したすべての国で10位以内にランクインしており、インバウンドでの関心の高さがうかがえます。
また「伏見稲荷」に関しても、フランス、イスラエル、タイ以外の国で10位以内に入っています。
次に異なる点を整理していくと、まず欧米豪圏では「浅草寺」、「皇居」、「高野山」など、日本文化に関するスポットが多くアクセスされています。一般的に言われていることではありますが、改めてデータとしてもその傾向を読み取ることができます。
一方、アジア圏に関しては、「白川郷」、「札幌雪祭り」、「立山黒部アルペンルート」等、”雪”に関連するスポットが上位に位置しています。
年間のアクセス推移を見てみても、12月~1月にアクセスが集中しており、1月~2月にかけて開催される白川郷における”イルミネーション”、同じく2月開催の”札幌雪まつり”等の情報を取得するためにこれらのページにアクセスするユーザーが多いと推測することができます。
なぜ柴又ページはフランスからのアクセスが多いのか?!
ここまで全体の傾向を整理してきましたが、続いて、各国の傾向について言及していきたいと思います。
まずは他国と大きくトップ10の構成が異なるフランスについてです。
フランスは他国でトップ10圏外の「赤坂サカス」、「下田」、「柴又」がそれぞれ3位、4位、6位にランクインしています。アメリカなどと比較してまだまだアクセス数が多くないため、今後アクセスの増加に伴い順位が変動する可能性はありますが、フランス語で発信されている多くのメディアでこれらのスポットが紹介されているようです。
特に「柴又」に関しては、都心から近いのにもかかわらず”観光客が少なく”、かつ昔ながらの”本物の日本文化”を体験できるスポットとしておすすめされています。
「白川郷」や「嵐山」などの人気スポットもランクインしているため、一概には言えないのですが、観光先進国のフランスには旅慣れた、通常の観光客とは異なるニーズを持った方が比較的多く存在していると言えるかもしれません。
スペインにおける岐阜への関心の高さ
続いてスペインの傾向をみていきます。スペインは今回ピックアップした国の中で唯一「白川郷」関連のページが1位という結果になりました。
欧米豪圏ではイタリア、イスラエル、またアジアではシンガポール、マレーシア、タイでもトップ10にランクインはしていますが、1位というのはスペインのみです。また、スペインでは「妻籠・馬籠」ページが(こちらも唯一)3位にランクインしています。
なぜ岐阜関連のスポットへのアクセスが多いのか?要因の一つとして、岐阜県としてのプロモーションの取り組みが影響していると考えられます。
岐阜県はターゲットの一つをスペインに設定し、数年間に渡りプロモーションを実施してきました。県知事によるトップセールスや日本国内の旅行会社や現地の観光局との提携等、さまざまな施策を講じてきたようです。こうした県をあげての熱心な取り組みの成果がデータでも見て取れる形となっています。
また、スペインに加えてイスラエルに対しても、ユダヤ人にゆかりのある“杉浦千畝”をフックとしたプロモーションを行った結果、2位に「高山」、7位に「白川郷-五箇山」のページがランクインしており、着実に施策が実を結んでいる様子がうかがえます。
インバウンドへの取り組みはじめの段階では誘致できる客層を狭めてしまうおそれもあるため、ターゲットをむやみに絞るべきではないという意見もありますが、フェーズが進むにつれて、しっかり効果測定を行うためにも、こうしたターゲティングが重要になってくるものと考えられます。
まとめ
- 欧米豪圏、アジア圏ともに、ゴールデン上のスポットへのアクセスが多い
- そのなかでも、欧米豪圏は日本文化、またアジア圏に関しては雪関連のスポットへのアクセスが多い様子が見て取れた
- フランスは他とは違うユニークな旅を希望するユーザーが相対的に多いと推測できる
- スペインにおいては、自治体の取り組みの結果、白川郷、妻籠などのページが上位にランクインしている
各スポットが持つ元来の特徴や自治体の取り組みにより、国毎に傾向が異なることがわかる結果となりました。今後のインバウンド施策、ターゲット設定の際の参考になりましたら幸いです。
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
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