インターネットを初めとしたネットワークにつながることにより、様々なサービスが利用できる「ユビキタス」社会が提唱されてから短くない時間が経ちました。
近年は、それらの情報が相互につながり、より多くの情報を活用できるようになる「IoT」が話題となっています。
映像などの大量の情報をやりとりする通信や、モノの精密なコントロールが必要となるIoTの活用には通信速度の向上が肝ですが、その鍵ともなるのが「5G」です。
しかし意外にも、日本の多くの経営者が来るべきIoT時代の重要な基盤となる5Gをあまり重要視していないということが、アクセンチュアの最新調査で明らかになりました。
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アクセンチュアの最新調査が浮き彫りにした5Gの課題
総合コンサルティング会社のアクセンチュアは、世界10カ国の様々な業界の大手・準大手企業の企業経営層や技術担当幹部1,800人を対象に、5G技術に対する調査を行い、7月にその結果を発表しています。今回のアクセンチュアの調査によれば、「5Gについて何を知らないかについてもわからない」と答えた経営層はグローバル全体で60%ですが、日本は68%とそれよりも若干高い割合で、5Gについてあまり大きな関心を寄せていないという事実が浮き彫りになりました。また、これは10カ国中でも最も高い水準です。
5Gで可能になる世界とは?
5Gが普及すれば、通信速度と容量の爆発的な向上を見込むことができます。5Gの通信速度は20Gpbs(ギガ・ビット毎秒)で「高速大容量通信」が実現します。現在普及しているLTEと比較した場合、速度は最高で100倍になるとも言われています。この「高速大容量通信」がインフラとして整備されれば、家電や車など多数のデバイスを同時に接続したり、遠隔地でのロボット操作をしたり、テレビ電話の相手がその場にいるように等身大の動画を再生したりなど、巨大なデータ通信を必要とするシステムが実現すると考えられています。
導入に外部のサポートは有効か
5G登場が社会に与えるインパクトの大きさは徐々に一般ユーザーにもイメージが広がりつつありますが、アクセンチュアの同調査によれば経営者の72%以上は、その将来的な可能性や事例を検討する上で、外部のサポートが必要だと回答しています。日本を含むグローバル全体の調査でも、世界の経営層は「5G関連技術が今後、競争上の重要な意味を持つようになる」という認識を示してはいますが、まだまだその「可能性」には漠然とした期待しか抱けておらず、自社のサービスに有効な応用方法についてはまだまだ明確な方針が打ち出せていないことがわかります。
カギは通信事業者?
上記で外部のサポートが必要と答えた72%の経営者のうち、40%が「企業が5Gへの移行を計画する上で通信事業者は主要な提携先の1つである」と回答しています。今後の5G普及のカギとなるのは通信事業者となっていきそうです。
このように5Gの導入において重要な位置を占めるとみられる通信事業者ですが、通信事業者側の経営層はグローバル平均でなんと60%以上が「自社の属する業界の課題を十分に理解していない」と回答しており、非通信事業者側の需要に対する通信事業者側の認識は追いついていないようです。
5Gへの理解度、業界によりばらつき
今のところ、5Gの活用に関心の高い業界と低い業界が存在します。
エネルギー分野が「5G先進業界」に?
エネルギー業界の経営層の過半数が、「5Gは遠隔地や荒地など、従来の通信環境では十分にカバーされなかったエリアもカバーすることで業界に革命的な影響をもたらす」といったかなり具体的な認識を持っているとの結果が出ています。いち早く5Gの利用が進むのはエネルギー分野となる可能性も高いでしょう。
行政・公共分野での活用
5Gに対する理解度が最も低いという結果となったのは、行政・公共分野の経営層です。この分野の経営層は、「5Gの通信速度が4Gの10倍に達する」と認識していたのも59%のみで、全体の回答率67%を下回っています。
また、「5Gの使用により業務上のセキュリティが向上する」と回答した経営層も66%に止まり、こちらも全体の78%を大きく下回っています。実際には、5Gの活用により、公共の場のセキュリティの向上も可能です。こうした現実を認識できていなければ、商機をみすみす逃すことにもなりかねません。
5Gがセキュリティの向上にどのように役立つのかというと、例えば以下のようなものが考えられます。
- 人物や車を検知するエンジン搭載車両による「カーセキュリティ」
- 監視センターなどにおけるAIサーバーでの火災・不審者検知を行う「都市空間セキュリティ」
- 高精細カメラ映像による地域の「広域見守りサービス」
インバウンド市場における5Gの真価とは
今回の調査では、多くの経営層は5Gについての理解がまだ漠然としているという結果になっていますが、インバウンドの分野でもこうした技術の活用により更なる市場の活性化が期待できるでしょう。高精度の動画だったり、あるいはARやVRといった技術と組み合わせてより魅力的なコンテンツを提供すれば、訪日旅行の潜在的需要喚起にもポジティブな影響があるはずです。同時に、日本の経営者の多くは5G活用に対して相対的に理解が浅いということも調査からは判明しています。こうしたビハインドを、観光立国としての日本を打ち出す中でどのように埋めていくかは、今後インバウンド業界が意識するべき点かもしれません。
<参照>
・https://www.accenture.com/jp-ja/company-news-releases-20190725
・http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd133420.html
・https://www.kiai.gr.jp/jigyou/h29/PDF/0608p1.pdf
・http://www.soumu.go.jp/main_content/000593247.pdf
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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。
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【8/5開催】「THE INBOUND DAY 2025 -まだ見ぬポテンシャルへ-」
2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。
「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。
初開催となる今回のテーマは「インバウンドとは」。
参加者一人ひとりが、「自分にとって、企業にとって、地域にとってのインバウンドとは何か」「いま、どう向き合うべきか」「どうすれば日本の可能性を最大化できるのか」という問いを持ち帰り、主体的なアクションへとつなげていただきたいと考えています。
<こんな方におすすめ>
- インバウンド戦略の策定・実行に課題を感じている経営者・担当者
- 最新の市場動向や成功事例を把握し、事業成長に繋げたい方
- 業界のキーパーソンと繋がり、新たなビジネスチャンスを模索したい方
- 小売・飲食・宿泊・メーカー・地方自治体・DMO・観光/アクティビティ事業者
- インバウンド関連サービス事業者、およびインバウンド業界に興味がある学生
→「THE INBOUND DAY 2025」特設ページを見てみる
【インバウンド情報まとめ 2025年6月後編】「2030年6,000万人・15兆円」の目標達成に向けた議論 ほか
訪日ラボを運営する株式会社movでは、観光業界やインバウンドの動向をまとめたレポート【インバウンド情報まとめ】を毎月2回発行しています。
この記事では、主に6月後半のインバウンド最新ニュースを厳選してお届けします。最新情報の把握やマーケティングのヒントに、本レポートをぜひご活用ください。
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