小泉氏「気候問題セクシーに」問題から見る、多言語対応の難しさ:機械翻訳の頼りどころと、避けるべきケースとは?

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ニューヨークで行われた「気候行動サミット」で小泉進次郎環境相が発言で用いた「セクシー」の単語について、インターネット上では否定的な意見も多く見られました。

今月15日には「正確な訳出は困難だが『(考え方が)魅力的な』といった意味がある」とする答弁書を閣議決定し、徐々に非難の声も落ち着いてきているようです。

今回は、発言に至るまでのいきさつと多言語対応の難しさについて見ていきます。



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気候変動への対策は「sexy(セクシー)」でなければならない

9月23日、ニューヨークの国連本部にて60以上の国の代表が集まり、気候変動対策の具体策を表明する「気候行動サミット」がグテレス国連事務総長の主宰で開かれました。

日本からは9月11日の内閣改造で環境大臣に選ばれた小泉進次郎氏が出席し、会合では3分間の演説、演説前には記者会見をしました。

その記者会見での小泉環境相の発言で、波紋が広がっています。

以下が英語で行われた演説の中で、問題と指摘されている部分です。

And he said, on tackling on this issue, everything gonna be fun. And she added “also sexy.” I totally agree with that.
In politics, there are so many issues, sometimes boring. But On tackling such a big-scale issue like climate change, it gonna be fun, and it gonna be cool, it gonna be sexy, too.
As I said, young generation is a key.


「セクシー」は発言の一部が切り取られた?

今回日本に伝えられた情報では、「sexy」の部分だけが切り取られてしまい、多くのメディアから誤解された報道をされているように見られます。

報道番組で取り上げられているのは、上記引用文章の後半にあるBut On tackling such a big-scale issue like climate change, からの部分が多く、それ以前の発言はSNS等ではあまり拡散されていなかったようです。

前半を理解していれば、”sexy”という単語が、隣に座る女性の発言を引用したものであることが理解できますが、こうしたインターネット上に広がった情報だけを見ていれば、あたかも小泉大臣がまず最初に”sexy”という単語を選んで、発言したというように見えるでしょう。

翻訳の難しさ

sexyという単語は、オックスフォード米語辞典(2nd edition)にあるように「魅力的な」や、ロングマン現代英英辞典(5th edition)の「話題の」という意味で使われることもある単語です。

しかし、前半の文章を無視して翻訳すれば、唐突に全体の文脈にそぐわない単語を持ち出して話を展開しているようにも見えます。メディアによる報道は多くの場合前半を無視した翻訳となっており、前半があることを知らない読者は不適切な発言をしている印象を強めたことでしょう。

どこからどこまでを訳すことで正確に意味を伝えられるのか、全体から一部を取り出し翻訳をする際には「どのように取り出すのか」という点にも注意が必要でしょう。

安易な多言語対応に注意:「サカイマッスル」事例

今回の報道からもわかるように、安易な翻訳、多言語対応は誤解を招きます

安易な多言語対応による誤訳問題については、訪日ラボで連載を持つアットグローバル代表、小田島氏の記事に詳しく掲載されています。

機械翻訳の誤訳に要注意、多言語対応前に知っておきた機械翻訳ソフトの仕組みと苦手なこと

2019年3月18日、大阪メトロの公式サイトの外国語ページで複数の誤訳が見つかったという理由で、外国語ページが全面非公開に追い込まれるという事態が発生しました。増え続けるインバウンド旅行客の利便性を向上させるつもりが、全く伝わらないどころか、笑いのタネにすらされてしまいました。今回は、そもそも機械翻訳ソフトはどのような仕組みで訳文を作り出しているのか、「機械翻訳ソフト」が「苦手なこと」は何か、インバウンドで成功するためにはどのように「多言語翻訳」に向き合えばよいのかを解説していきます。目次...

この事例では、大阪メトロの公式サイトの外国語ページで複数の誤訳が見つかり、外国語ページが全面非公開に追い込まれてしまいました。

これは、コストを削減しようと「機械翻訳ソフト」を使い、ソフトウェアが出力した訳文を人間がチェックしないまま公開したことが原因のようです。

機械翻訳では、原文の単語や文節と登録された訳文とがぴったり一致しないと、翻訳エンジンがその両者の関連性を正しく認識できず、結果として不自然な訳文が出現します。

機械翻訳が苦手なことを把握しておけば、不適切な場面で機械翻訳を使ってしまうリスクも減らせるでしょう。

以下のような場合には、人による翻訳を検討したほうが良いかもしれません。

  • 長い文章、修飾の多い文章、定型でない文章の翻訳
  • 訳語や文章表記(長音、中黒点、スペース)などが統一されない

多言語の資料を準備の際には、会社のブランディングという側面も考慮して

文法規則に沿っていたり、定型文のものは価格が安く抑えられるため、グーグル翻訳などの機械翻訳ソフトを活用するのも1つの手段です。

一方で、インバウンド対応で翻訳が必要になるものは、ウェブサイトやパンフレットといった会社やサービスの「顔」となる大切な資料です。質の低い翻訳は意味が伝わらないどころか誤解を招く可能性すらあり、最も悪い場合には不信感を抱かれてしまうでしょう。

曖昧な翻訳で集客に大きく影響を与えるリスクを取らないためには、専門家を頼ることも大切です。また翻訳会社にもそれぞれ得意分野があるため、選定の際にはこれまでの実績についても目を向けてみると良いでしょう。


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インバウンド需要の高まりに加えて2025年は大阪・関西万博の開催など、国内旅行者に限らず訪日観光客の増加も加速する日本。今、国内観光の需要は増加する傾向であり、ホテル・宿泊業界は大きなビジネスチャンスの時代を迎えています。このような状況において、宿泊施設としての取り組みやサービスの品質改善は、お客様に選ばれ続けるための最重要課題となっています。

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2025年、日本のインバウンド市場は訪日外客数が過去最高の4,020万人に達するとの予測や大阪・関西万博、IR誘致などによる世界からの注目度の高まりから、新たな変革期を迎えています。一方で、コロナ禍を経た現在、市場環境や事業者ごとの課題感、戦略の立て方は大きく様変わりしました。

「THE INBOUND DAY 2025」は、この歴史的な転換点において、インバウンド事業に携わるすべての企業・団体・自治体・個人が一堂に会し、日本が持つ「まだ見ぬポテンシャル」を最大限に引き出すための新たな視点や戦略的アプローチを探求、議論する場です。

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この記事の筆者

訪日ラボ編集部

訪日ラボ編集部

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